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2019年6月25日火曜日
「アグニ」
アグニ
インド神話に登場する火の神。その姿は赤色の体に炎の衣を纏い、二つの頭を持ち腕が二本で、口の中に七枚の舌を持った姿とも、全身が燦然と輝き、髪は炎で出来ており、背中と顔がバターに塗られ、口の中に舌を3枚または7枚持った麗しい姿とも、髪が炎で出来ており、三つの頭を持ち口の中に3枚または7枚の舌を持ち、黄金の顎と歯を持った姿ともされる。アグニは火の神であると共に火そのものを象徴している。アグニは天上にあっては太陽として輝き、空中においては稲妻として煌めき、地上では人間達の儀式で使う祭火として燃える。家庭内では竃の火として、森では山火事として燃える。また、人間の体内や動物の体内では食物の消化作用(消化の火)として存在し、栄養を全身に行き渡らせて人間や動物達に健康をもたらし、また人間達に子孫繁栄や財産(家畜)の増大などをもたらす。また人間の心の中で怒りの炎、思想の火、霊感の火としてもアグニは存在し燃える。アグニは自らを信奉する者を守護し、彼等を害する悪魔達を炎で焼き払い、容赦なく悪魔達を全滅させ、信奉する者を危機から守護し救済する。またアグニは、地上の人間達と天上の神々の仲介役を務めており、人間達が儀式で使う祭火の中にいるアグニは、人間達が神々への供物として祭火の中に投じたバター(ギー)やチーズなどの供物を煙に乗せて神々の元へと運び、また神々を祭場へ召喚する役割を担う。インドではアグニは初期ヴェーダ時代から信仰されてきた古い神で、悪魔を除く力を持つ清浄な神として人々に盛んに崇拝された。「リグ・ヴェーダ」では冒頭でアグニへ讃歌が捧げられ、アグニへ捧げられた讃歌の数は神々の帝王・インドラへ捧げられた讃歌に次いで数が多く、アグニは神々の中でも極めて重視されていた。アグニの起源は、竃の火など火を崇拝する拝火信仰と考えられ、古代ペルシアを起源とする宗教「ゾロアスター教」に登場する火の神・アータルと起源を同じくする。アグニは創造神ブラフマーの創造した蓮華から誕生したとする説や、太陽または石から生まれたとする説、天空神・ディヤウスと地母神・プリティヴィーの間に生まれたとする説がある。アグニはあまりにも空腹であった為、誕生後直ぐに両親を食い殺したとも言われる。後の時代になるとアグニは、世界を護る八柱の守護神の一柱に据えられた。この八柱の神々は、それぞれが各方位を守護しており、アグニは東南の方角を守護する。しかし時代が下るにつれてアグニは影が薄くなっていき、叙事詩「ラーマーヤナ」では魔王・ラーヴァナによって尻尾に火を付けられたヴァナラ(猿族)の英雄・ハヌマーンの治療をするために登場した程度である。仏教では火天と呼ばれ、足が3本または2本で、腕が4本または2本の仙人の姿をしており、火天后及び多くの仙人、天女達を眷属にしている。火天は八方(東西南北の四方と東北、東南、西北、西南)を護る八方天に天地の二天と日月の二天を加えた十二柱からなる仏法の護法善神「十二天」の一柱である。火天は十二天では東南の方角を守護している。
出典:
Wikipedia
神の文化史事典(白水社)
ゼロからわかるインド神話(イースト・プレス)
作者ひとこと:
アグニのデザインは、二つの頭と四本の腕を持った姿で描きました。
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