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2019年8月26日月曜日
「タクシャカ」
タクシャカ
インド神話に登場する、蛇の姿をした半神の種族「ナーガ」の中でもナーガ達の王達である「ナーガラージャ」の一人。タクシャカという名前は「切るもの」という意味である。聖仙カシュヤパと妻であるカドゥルーとの間に生まれた1000人のナーガの内の一人である。タクシャカはナーガ達の中でも、その性格は特に狡猾である。またタクシャカは雷神インドラの友人でもある。タクシャカは叙事詩「マーハーバーラタ」にも登場している。英雄アルジュナの孫であるパリークシット王が、ある時、狩猟に興じていて獲物の鹿を追って密林に入って行くと、その密林では聖仙シャミーカが瞑想していた。パリークシットはシャミーカに鹿の行方を尋ねたが、瞑想にふけっているシャミーカはパリークシットに気が付かなかった。「王を無視するとは」と立腹したパリークシットは腹いせに近くにいた蛇を一匹殺し、その死骸をシャミーカの頭に乗せて立ち去った。シャミーカの頭に蛇の死骸が乗せられているのを見つけたシャミーカの息子であるシュリンギンは怒り、パリークシットに「この許されぬ侮辱を行ったパリークシットは7日以内に蛇王タクシャカに咬み殺されて死ぬ」という呪いをかけた。パリークシットは、この呪いを知り恐れて、この呪いの対策を練った。パリークシットはタクシャカが近付けない様に宮殿を要塞に変えた。その宮殿は海に立てた巨大な柱の上に建っており、その宮殿自体にも厳重な警備を敷いた。更に、もし咬まれた時の為に蛇の毒の解毒を専門とする医者や呪術師、聖仙を雇って用心に用心を重ねて警戒した。やがて呪いの期限が切れる間近の日の夕刻、タクシャカは眷属のナーガを聖仙に化けさせ、その手にパリークシットに献上させる果実を持たせた。そして自分は虫に変身し、その果実の中に身を潜めた。このナーガの化けた聖仙と、その手に持っている果実はパリークシットの宮殿に潜入した。パリークシットは夕食後デザートの果実を手に取り、果実を切った時、中から虫が這い出てくるのを見つけた。パリークシットは一瞬、驚いたが「蛇が出てくるかと思えば虫か」と安堵の息を吐き、果実にかぶりついた。その瞬間、虫に化けていたタクシャカは元の姿に戻り、パリークシットの首筋に咬み付いて猛毒を注ぎ込んだ。そしてタクシャカは宮殿に雷を落とし天へと飛び上がって姿を消した。雷の為、宮殿は燃え上がり、パリークシットは身体中に回った。タクシャカの猛毒に苦しみながら炎上する宮殿で死んだ。パリークシットの跡を継いだ息子ジャナメージャナ王は父であるパリークシットの亡骸を葬ると、父を殺したナーガ族への復讐を開始した。ジャナメージャナは聖仙達を集め、蛇を犠牲に捧げる供物「サルパサトラ」を行った。サルパサトラの儀式の炎に引き寄せられ、ナーガ族の殆どが焼き滅ぼされた。慌てたタクシャカはインドラの宮殿に逃げ込んだがサルパサトラの炎はインドラの宮殿にも及び、タクシャカを保護していたインドラすらもサルパサトラの炎に焼かれそうになった。慌てたインドラはタクシャカを見放した。タクシャカがサルパサトラの炎に焼かれる寸前に神々は、ナーガであり解毒の女神であるマナサーに助けを求め、マナサーは息子のナーガでありバラモンでもあるアースティーカを遣わした。アースティーカは炎に焼かれそうになっていたタクシャカを助け、マナサーから命じられていたアースティーカはタクシャカとジャナメージャナを仲裁させた。これによってナーガ族は絶滅を免れた。仏教では釈迦如来(シャカニョライ)の眷属である八柱の神々・天竜八部衆(テンリュウハチブシュウ)に所属する竜族を率いる八柱の王・八大竜王の一柱。タクシャカは漢訳では「徳叉迦竜王(トクシャカリュウオウ。龍王とも)」と呼ばれ、他の八大竜王と共に水中の主であり、幾千万億の眷属の竜達を率いている。徳叉迦竜王は「視毒」とも呼ばれ、その竜王が怒って凝視した相手は、息絶える。日蓮宗系において法華経(ホケキョウ)を守護するとされる女神・七面天女(シチメンテンニョ)は徳叉迦竜王の娘とされている。
出典:
Wikipedia
神の文化史事典(白水社)
ドラゴン(新紀元社)
作者ひとこと:
タクシャカのデザインは、林檎の様な果実と髑髏を持った半人半蛇の姿に描きました。
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