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2019年12月18日水曜日

「ルマカカ」



ルマカカ

ニュージーランドの先住民であるマオリの伝説に登場する海の巨人。伝説ではある日、二人の兄弟が魚釣りをしていたところ、沢山魚が釣れて兄弟が乗っていたボートが魚でいっぱいになった。すると、そこへ波間からルマカカが姿を現し、自分にも獲物の分け前を要求した。兄は何匹かの魚を巨人の方へ放ってボートで逃げた。しかし、それで満足しなかったルマカカは、また兄弟のボートに付きまとい、兄弟もボートで逃げながらルマカカに魚を放っていたので、遂には獲った魚が全部無くなってしまった。それでもまだルマカカは飽き足らずに、兄弟のボートに付きまとい魚を求めた。遂に必死になった弟が自分の腕を切り落としてルマカカに投げ与える事を提案し、兄は渋々ながら弟に言われた通りに実行した。安全な陸地に辿り着くにはまだ長い道程があったからだ。だがルマカカは弟の腕を食べ尽くして更に要求を続け、弟の残った腕、弟の足の一本、弟の残ったもう一本の足と与えた。結局ルマカカは弟の両腕、両足を全て食べ尽くし、ようやく満足した。兄弟もようやく陸地に辿り着いたが、両腕両足を切り落とされた弟は既に死んでいた。嘆き悲しんだ足は弟の胴体を祖父の所に持って行った。兄と祖父は悲しみに暮れながら弟を埋めた。すると弟を埋めた所から木が生えてきて、この木が地上で最初のココヤシの木であった。それ以来、人々はココヤシから必要なもの全てを供給するようになった。

出典:
世界の怪物・神獣事典(原書房)

作者ひとこと:
ルマカカのデザインは、鱗や鰭が生えている半人半魚の巨人の姿に描きました。

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