ページ

2021年5月29日土曜日

「芋明神」


芋明神(イモミョウジン)

日本で信仰されている神。芋明神は、疱瘡(天然痘)の守護神である。中部地方では疱瘡のことを「いも」と呼んでいた。これは恐らく疱瘡の症状の一つである発疹、つまり「疣(いぼ)」が転訛したものだと思われる。近代医療が発達し、種痘が普及するまでは、疱瘡は恐ろしい病の一つであった。感染力や致死性が極めて高い伝染病で、たとえ生き延びて完治したとしても、多くの場合、発疹の痕が残り、醜い痘痕面(あばたづら)になってしまう。江戸時代の文化・文政期に編まれた武蔵国(現在の東京都、埼玉県、神奈川県の一部)の地誌「新編武蔵国風土記稿」によれば、寛永年間(1624年~1643年)に、慶珊寺に仕える茂右衛門(もえもん)なる寺男が蛇を殺したのを見た住僧の伝雅が、殺された蛇に経をあげたところ、霊童子の姿となった蛇が伝雅の夢に現れ、「経文の功徳により成仏できたので、今からは疱瘡患者を守護する」という旨を伝雅に伝えてきた。夢から覚めて起きた伝雅は、枕元に蛇の抜け殻があるのを見て、これを神意と見て社を建て、楊柳観音(ヨウリュウカンノン)を本地仏とする「芋明神」を祀った。

出典:
東洋神名事典(新紀元社)

作者ひとこと:
芋明神のデザインは、観音菩薩の様な上半身と蛇の下半身という姿をした神に描きました。

0 件のコメント:

コメントを投稿