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2021年12月9日木曜日

「ペナンガラン」


ペナンガラン<ポンティアナク>

マレーシアに伝わる吸血鬼の一種。ペナンガランは、自由に空を飛び回る女性の首で、首の下には胃袋や内臓をぶら下げているという姿をしている。ペナンガランという名前は「tanggal(タンガル)[切り離す]」という語に由来する。ペナンガランは夜空を飛ぶ際に、内臓を蛍の様に光らせて飛び回り、その飛び回る様はまるで火の玉の様に見えるという。このペナンガランは、黒魔術を実践する魔女が修行の末に姿を変えたものであり、ペナンガランは日中、普通の人間の女性として暮らしている。このペナンガランになるための儀式として、まずお酢を湯船に張って、その中に身体を沈め、頭だけを出して瞑想をする。こうすると、やがてペナンガランになれるのだという。日中ペナンガランは、普通の人間の女性として生活しているが、夜間ペナンガランの姿になって活動すると、その時、また臓器を酢に浸す必要がある。だから、ペナンガランは常に酢の匂いがする。日中、普通の人間の女性として生活していても、その身体から漂う酢の匂いで正体がばれる事もあるという。夜間、吸血鬼ペナンガランが狙うのは妊婦と胎児で、高床式の伝統的なマレーシアの家では、ペナンガランは床下に潜り込み、そこから長い舌を伸ばして妊婦と胎児の血を吸う。このためマレーシアでは、女性が妊娠すると、パンダナスというトゲのついた植物の葉を散らしたり、割れたガラスを撒いて、妊娠の身をペナンガランの魔の手から守ったという。これらのトゲやガラスがペナンガランの臓器を傷付ける為、ペナンガランは近づけないのだという。また、枕の下にハサミを入れるなどの予防策も知られている。ペナンガランは首と内臓の姿になって外出している時、残った身体はそのまま家に置いてきているので、臓器が抜け出した穴にガラスの破片を入れたり、残っている身体を燃やしてしまえば、日の出と共にペナンガランは死んでしまうという。また、身体の向きを変えておくと、戻って来た時に前後を間違えてくっついてしまい、次の日には正体がばれるという方法も伝わっている。また、ペナンガラン誕生について、別の話も伝わっており、ペナンガランは、人間であった頃、助産婦であったという。この助産婦は魔力を欲していた。魔力を得るために彼女は悪魔と契約した。しかし「40日間肉を食べない」という悪魔との契約を破ってしまった為、彼女は悪魔に呪われて吸血鬼ペナンガランという今の姿にされてしまったのだという。

出典:
ファンタジィ事典
ピクシブ百科事典
Wikipedia

作者ひとこと:
ペナンガランのデザインは、伝承通り、首の下に内臓をぶら下げている女性の吸血鬼の姿に描きました。イラストのペナンガランは、大きな耳を翼にして羽ばたかせながら飛び回るイメージです。

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