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2022年12月1日木曜日

「イイェルケト」


イイェルケト


カナダ北部一帯やアラスカ州、グリーンランドに居住する民族であるイヌイットに伝わる精霊。イイェルケトという名前は「目のあたりが独特なものたち」という意味である。また「自らの姿を(例えば山のクレバスに)隠すものたち」という意味もあるらしい。イイェルケトは、山のクレバスの中に住んでいる精霊達である。その目は瞬きをする時に、上から下にではなく、横に瞼が動く またイイェルケトは足が非常に速く、カリブーでさえ追い越す事が出来る。しかし、その他の生活は人間達と変わらない。昔の事、二人のイヌイットの女性が燃料を集めようと外に出たところ、イイェルケトの気配がした。しかし、このイイェルケトは彼女達をつかんで自分達の家に運び去ってしまった。女性達は何とかして外に出ようと努力の限りを尽くしたが、どうしても出る事が出来なかった。仕方ないので女性達はそのままイイェルケトの村に住むことにした。そんなある日、イイェルケト達が外に走りに出たが、イイェルケト達は非常に足が速い為、女性達はイイェルケト達についていく事が出来なかった。そこでイイェルケトは彼女達をつかまえて、脚を水の中に浸してやわらかくし、だんだんと腫れ上がってきたところで、脚から何かを切り出した。それは普通の人でいうところの脛の前部と骨の間の何かで、しかし骨でもなければ軟骨でもなく、「イグリグトルケト」と呼ばれるものだった。それが外されて親指から抜き出されたのである。すると女性達の足は非常に速くなり、イイェルケトと同じくらい走れるようになり、そしてカリブーを捕まえるくらい俊足になった。というわけで彼女達はイイェルケトの村から逃げ出し、人々の元へと帰った。それから彼女達は偉大なシャーマンになった。それから人々は、イイェルケトは強く、勇気があり、大胆で素早く助けてくれる精霊である、と言うようになった。

出典:
幻想動物の事典

作者ひとこと:
イイェルケトのデザインは、人間とよく似た姿の精霊に描きました しかし目だけは、横に瞼がある縦型の目をしています。

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