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2023年1月8日日曜日

「鵜葺草葺不合命」


鵜葺草葺不合命(ウガヤフキアエズノミコト)<鸕鷀草葺不合尊>

日本神話に登場する神の内の一柱。鵜葺草葺不合命という名前は「産屋の鵜の羽で屋根が葺き終わらないうちに産まれた」という意味である。鵜葺草葺不合命は「火遠理命(ホオリノミコト)」と「豊玉毘売命(トヨタマビメノミコト)」の子である。海の宮殿から地上にやってきた豊玉毘売命が子を産む時に、海岸の鵜の羽を用いて屋根を葺き、産屋が作られた。しかし、その産屋の屋根がいまだに葺き合えぬうちに、豊玉毘売命は出産の時が来てしまった。豊玉毘売命は火遠理命に、産屋の中で出産している様子を絶対に見てはいけないと言って産屋に入る。ところが好奇心を抑えられなくなった火遠理命が約束を破り、産屋の中を覗いて見ると、豊玉毘売命が巨大なワニになっているところを見た。ワニの姿を夫に見られた豊玉毘売命は、いたたまれなくなり、出産後、豊玉毘売命は産まれた子、鵜草葺不合命を海辺に置いたまま、海の宮殿へと帰って行った。海の宮殿に帰った豊玉毘売命であったが、夫が恋しくて耐えきれず、妹の「玉依毘売命(タマヨリビメノミコト)」を地上に遣わして子供、鵜葺草葺不合命の養育を頼む。やがて鵜葺草葺不合命が成長すると、養母であり、かつ、実の母親の妹である玉依毘売命を、妻として迎えるのであった。玉依毘売命と結婚した鵜葺草葺不合命は、「五瀬命(イツセノミコト)」「稲氷命(イナヒノミコト)」「御毛沼命(ミケヌノミコト)」「神倭伊波礼毘古命(カムヤマトイワレビコノミコト)(神武天皇)」の父となる。

出典:
神の文化史事典(白水社)
日本の神々 完全ビジュアルガイド(KANZEN)
東洋神名事典(新紀元社)

作者ひとこと:
鵜葺草葺不合命のデザインは、頭から稲が生えている男神の姿に描きました。

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