天之水分神(アメノミクマリノカミ)
「古事記(こじき)」において、「速秋津日子神(ハヤアキツヒコノカミ)」と「速秋津比売神(ハヤアキツヒメノカミ)」の二柱の間から、「国之水分神(クニノミクマリノカミ)」とともに生まれた三組目の神。水田の灌漑(かんがい)を司る神。「ミクマリ」は「水配り」で、農の水を掌る神をいい、多く分水嶺や山の口に祀られていた。「神名帳」にも、いくつかの水分神が登録されているが、特に「祈年祭祝詞」等に記された「吉野」「宇陀」「都祁」「葛城」にある水分社が有名である。「天」「国」は、特別な意味を有する場合もあるが、この場合は神名を対にするため添えた接頭語であろう。速秋津日子・速秋津比売の生む神々が、海のことからミクマリのことに及んだのは、どちらも水に関するからで、「海幸彦(ウミサチヒコ)」「山幸彦(ヤマサチヒコ)」の物語の段に、ワタツミの神の言として「吾水を掌(し)れる故に」とあることからも、両者が同じ範疇に属していたことがわかる。
出典:
古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)
東洋神名事典(新紀元社)
新版 古事記 現代語訳付き(角川ソフィア文庫)
作者ひとこと:
天之水分神のデザインは、「水分神」と書かれた石に宿っている、鳥頭の龍の姿をした神というイメージで描きました。
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