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2024年4月3日水曜日

「大雷」


大雷(オオイカズチ、オホイカヅチ)

日本神話に登場する雷神。「古事記(こじき)」や「日本書紀(にほんしょき)」において、「伊邪那美命(イザナミノミコト。伊弉冉尊)」の死体に生じていた八体のうちの一体。古事記によると、頭にいたのが大雷で、胸には「火雷(ホノイカヅチ)」、腹には「黒雷(クロイカヅチ)」、陰部には「拆雷(サクイカヅチ)」、左手には「若雷(ワカイカヅチ)」、右手には「土雷(ツチイカヅチ)」、左足には「鳴雷(ナリイカヅチ)」、右足には「伏雷(フシイカヅチ)」がいた。日本書紀では一書(あるふみ)にしか記述がなく、それによれば、首にいたのが大雷で、胸には「火雷」、腹には「土雷」、背には「稚雷(ワカイカヅチ)」、尻には「黒雷」、手には「山雷(ヤマイカヅチ)」、足の上には「野雷(ノツチ)」、陰部には「裂雷(サクイカヅチ)」がいたという。記と紀一書は明らかに同系統の伝承だが、殺された「迦具土(カグツチ。軻遇突智)」の身体に八神の「山津見(ヤマツミ。山祇)」が化成した話と同じように、ここも身体の各部分に八つのイカヅチの名をかなり適当にわりふっている。適当といっても拆雷(裂雷)の名はホトにちなんだものに違いないが、その他は漠然と配当されている模様である。要するにその意味は、女神のただれた死体にさまざまな恐るべき形相のイカヅチが成ったというにある。

出典:
古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)
日本書紀 一(岩波文庫)

作者ひとこと:
大雷のデザインは、大きな身体を持った鬼や悪魔の様な姿の、魔物の姿の雷神に描きました。

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