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2024年4月12日金曜日

「天之狭土神」


天之狭土神(アメノサヅチノカミ)

「古事記(こじき)」において、「大山津見神(オオヤマツミノカミ)」と「野椎神(ノヅチノカミ)」の間に、「国之狭土神(クニノサヅチノカミ)」とともに生まれた一組目の神。「記伝」にはサヅチのサを坂の意とし、これを坂路の神としているが、このサは次の「天之狭霧神(アメノサギリノカミ)」のサと同じく接頭語のようだから、これは文字どおり土の神なのであろう。この段の神々の名は、いわば連想的に列挙されているにすぎないように思われる。「日本書紀(にほんしょき)」に、「国常立尊(クニノトコタチノミコト)」の次に「国狭槌尊(クニノサツチノミコト)」が成ったとあるのは、クニノトコタチの音にひかれてそうなったのであり、一書(あるふみ)に、そのまたの名を「国狭立(クニノサタチ)」という、とあるのは、それがさらに国常立の「立」に同化されたのである。天之狭土神が土の神の意だとすれば、それをおびき出したのは野槌のツチであろう。火の神「迦具土(カグツチ)」からもわかるように、連体助詞「ツ」と「チ(霊)」の結合形「ツチ」は、容易に「土」に転じえたのである。

出典:
古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)

作者ひとこと:
天之狭土神のデザインは、土で出来た身体を持つ、巨体の神の姿に描きました。

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