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2019年5月14日火曜日

「ヒョウスベ」


ヒョウスベ

日本の佐賀県や宮崎県をはじめとする九州地方に伝わる妖怪。ヒョウスベは河童(カッパ)の仲間と言われ、佐賀県では河童やガワッパ、長崎県ではガアタロの別名ともされるが、ヒョウスベは河童よりも古くから伝わっている存在とも言われる。この妖怪の元の起源は古代中国の水神、武神である兵主神であり、日本へは秦氏ら帰化人と共に伝わったとされる。しかし名前の由来は諸説あり、春秋の彼岸の時期に渓流沿いを「ヒョウヒョウ」と鳴きながら行き来した為、その鳴き声からヒョウスベと名がついたとも言われる。佐賀県武雄市では、嘉禎3年(1237年)に武将・橘公業が伊予国(愛媛県)からこの地に移り、潮見神社の背後の山頂に城を築いたが、その際に橘氏の眷属であった兵主部も共に潮見川へ移住したと言われ、その為に現在でも潮見神社に祀られる祭神・渋谷氏の眷属は兵主部とされている。また、かつて春日神社の建築時には、当時の内匠工が人形に秘宝で命を与えて神社建築の労働力としたが、神社完成後に不要となった人形を川に捨てたところ、人形が河童に化けて人々に害をなし、工匠の奉行・兵部大輔島田丸がそれを鎮めたので、それに由来して河童を兵主部と呼ぶようになったともいう。潮見神社の宮司・毛利家には水難・河童除けの為に「兵主部よ約束せしは忘るなよ川立つをのこ跡はすがわら」という言葉がある。九州の太宰府へ左遷させられた菅原道真が河童を助け、その礼に河童達は道真一族には害を与えない約束をかわしたという伝承に由来しており、「兵主部よ、約束を忘れてはいないな。水泳の上手な男は、菅原道真公の子孫であるぞ」という意味の言葉なのだという。河童の好物が胡瓜と言われる事に対し、ヒョウスベの好物が茄子と言われ、初なりの茄子を槍に刺して畑に立て、ヒョウスベに供える風習がある。人間に病気を流行させるものとの説もあり、ヒョウスベの姿を見た者は原因不明の熱病に侵され、その熱病は周囲の者にまで伝染する。茄子畑を荒らすヒョウスベを目撃した女性が、全身紫色になる病気になって死んでしまったという話もある。またヒョウスベは大変毛深い事が外観上の特徴であり、ヒョウスベが民家に忍び込んで風呂に入ったところ、浸かった後の湯船には大量の体毛が浮かんでおり、その湯に触れた馬が死んでしまった。似た話では、ある薬湯屋で毎晩のようにヒョウスベが湯を浴びに来ており、ヒョウスベの浸かった後の湯には一面に毛が浮いて臭くなってしまう為、わざと湯を抜いておいたところ、薬湯屋で飼っていた馬を殺されてしまったという話もある。

出典:
Wikipedia
日本妖怪大事典(角川書店)

作者ひとこと:
ヒョウスベのデザインは、頭の禿げた全身毛むくじゃらの猿に似た姿に描きました。

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