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2019年6月12日水曜日
「ヴァーユ」
ヴァーユ
インド神話に登場する風神。「リグ・ヴェーダ」にはヴァーユの他にもヴァータという風神が登場するが、ヴァータは自然現象としての風をそのまま神格化した神であるのに対して、ヴァーユはより擬人化が進み、風を支配する独自の人格神と考えられる。「リグ・ヴェーダ」の宇宙創造賛歌によれば、ヴァーユは原人プルシャの生気(プラーナ)から生まれた。ヴェーダの自然を司る神々の中でもヴァーユは重要な位置を占め、ヴァーユに捧げられた賛歌も多く、火の神アグニ、太陽神スーリヤと共にバラモン教三大神として祀られた重要な神である。またヴァーユは雷神インドラとも密接に結び付き、ヴァーユは神々の長であるインドラと並ぶ神だとして言及される。ヴェーダの神々は三界(天界、空界、他界)に分類されるが、ヴァーユはインドラと共に空界に属しており、空界をこの二柱で占めている。ヴァーユは速い神と言われ、その速い事はしばしば駿馬に譬えられる。ヴァーユはいつも二頭の赤毛の馬が牽く輝かしい車に乗って駆け回るが、インドラと同乗する時は千頭立ての黄金の馬車で駆け巡る。ヴァーユはその息で、あらゆるものに生命を吹き込む事が出来る。また、生きとし生けるものを守護し、生類を脅かす敵を駆逐して生類を守る。人間達には名声、子孫、家畜、財宝を授ける神でもある。ヴァーユは何よりも神々の飲料ソーマを好み、他の神々に先んじてソーマを飲む。後代になると雷神インドラの地位が低下し、ヴァーユも神としての地位が低下してしまう。後に世界を護る八柱の守護神の一柱に据えられた。この八柱はそれぞれが各方位を守護しており、ヴァーユは北西を守護する神になった。「マハーバーラタ」の英雄ビーマや「ラーマーヤナ」の猿将ハヌマーンはヴァーユの息子である。ヴァーユはイランでは風神ワーユにあたり、ゾロアスター教の善悪二元論では、ワーユはインドラと共にダエーワ(悪魔)と見なされた。仏教ではヴァータと共に風天と呼ばれ、八方(東西南北の四方と東北、西北、西南)を護る八方天に天地の二天と日月の二天を加えた十二柱からなる仏法の護法善神「十二天」の一柱になった(風天も北西の守護神)。
出典:
Wikipedia
神の文化史事典(白水社)
ゼロからわかるインド神話(イースト・プレス)
作者ひとこと:
ヴァーユのデザインは、4本の腕を持つ男神の姿に描きました。赤毛の馬の車以外にもカモシカに乗るとも言われているので、カモシカも描きました。
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