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2019年7月12日金曜日

「女媧」



女媧(ジョカ)

古代中国神話に登場する女神で、三皇五帝(サンコウゴテイ)の内の三皇の一柱ともされる。同じ三皇の一柱とされる男神・伏羲(フッキ)とは兄妹であり夫婦でもある。女媧は伏羲と共に蛇身人首、または竜身人首の姿をしており、人間の上半身に蛇または竜の下半身を持った姿をしている。「楚辞」の天問に「女媧は人間を作った。では誰が女媧を作ったのか」という問いかけが記されており、女媧は人間を創造した女神である。後漢時代末の応劭(オウショウ)の「風俗通義(フウゾクツウギ)」によると、天地が出来上がった時、世界には女媧しかいなかった。寂しく感じた女媧は川辺の黄土をこねて、丁寧に人間を作った。しかしこれは重労働で、女媧は程なくしてすっかり疲れ果ててしまった。しかし、そうやって生み出した人間達の数は、広大な大地を満たすにはまだまだ足りない。そこで今度は女媧は縄を手にし、縄を黄色い泥に浸した。そうして、たっぷり泥水を含んだ縄を引き上げ、一振りすると地面に滴った泥水の雫の一雫、一雫が人間になった。こうして地上に人間達は満ちたが、最初に丁寧に一人一人作った人間達は支配階級の貴人に、泥水の雫から生まれた人間達は凡庸な下層階級となり、人間社会に能力の差、貧富の差が生まれる様になった。しかし生み出した人間達には寿命があり、放っておけばいずれ皆、死に絶えてしまう。考えた女媧は人間同士を結婚させ、その間に産まれた子供を養育するよう教えた。こうして女媧は人間を創造した女神だけでなく、婚姻制度の創始者ともされる。また苗族やチワン族に残されている神話では、捕らえられていた雷神を逃がしてあげた伏羲と女媧の兄妹は、じきに地上は大洪水になり、大洪水から逃れる為に、これを地面に埋めよ、と雷神の歯を手渡された。やがて雷神の言っていた通りに地上は大洪水に見舞われ、世界の全てが水の底に沈み、全ての人間が溺れ死んだ。ただ、伏羲と女媧だけは雷神の言い付け通りに、埋めた歯から芽吹いた瓢箪で船を作って乗り込み、無事、大洪水を乗り切った。しかし、水の引いた世界で生き残った人間は、この兄妹だけだった。妙齢に達した兄妹は、実の兄妹ゆえにまず神意を伺ってから結婚し、夫婦となったこの兄妹が今いる全ての人間達の祖になった。また女媧は天地が壊れそうになった時に天地を補修した女神でもある。「淮南子(ワイナンシ)」覧冥訓や「列子」などには、ある時、天を支えていた東西南北の四極の柱が壊れ(もしくは傾いた)、大地は割れて裂け、天は上空からずれてしまった。世界中が火災や洪水に覆われ、妖しい猛獣や猛禽類が現れ人々を襲って食い殺し、世界は破滅的な状態となった。世界破滅の危機に女媧は敢然と立ち向かった。まず女媧は五色の石を練って、それを使い天を補修し、次に大亀を殺し、大亀の足を大地の東西南北の四極に立てて、四極の柱の代わりにした。さらに洪水を引き起こしていた黒竜と戦い、黒竜を切り殺し黒竜の体で大地を修復した。更に頻発していた洪水には芦草の灰を撒いて洪水を抑えた。こうして女媧のおかげで人々は救われた。また女媧は七十回生き返る(または七十回変身する)とされ、この女神は農業神としての性格も持つ。女媧は笙簧(ショウコウ)という楽器の発明者でもある。

出典:
Wikipedia
ドラゴン(新紀元社)
神の文化史事典(白水社)
天界・魔界に生きる幻想生物事典(永岡書店)

作者ひとこと:
女媧のデザインは、女性の上半身と蛇の下半身をしている姿に描きました。手には泥に浸した縄を持っています。

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