年(ネン)
中国や台湾に伝わる怪物。年は口と角が異常に大きい龍の姿で、人間の言葉を話す事が出来るが、その声はとても不快で非常に大きい。その性格は獰猛で貪欲、ずる賢い。年はいつもは深山や深海に棲んでいるのだが、365日に一度、非常に空腹になって人里にやって来る。そして旅人の姿に変化して、哀れな旅人のふりを装い、家々の戸口を叩く。その旅人を哀れんで戸口を開けた人間は、元の姿に戻った年に食い殺されてしまう。何の対策もなかった時代、人々はただ悪戯に年の犠牲になっていた。しかし、ある年の大晦日、一人の見ず知らずの老人がこの里に現れて、年に怯える村人に知恵を授けた。それによると、魔除けとなる赤い色の紙を戸口に貼るという事だった。これにより年は人里にやって来るものの、人々に手出し出来なくなり、ただ悔しげに鳴くばかりとなった。後に、この恐ろしい声をなんとか遠ざけようと、一人の村人が爆竹を焚いた。すると年はこの爆竹の音を大いに恐れ、二度と人里へ現れる事はなかった。この戸口に赤い魔除けの紙を貼ったり爆竹を焚いたりする習慣は、今も「過年(グオニエン)」=新年に盛んに行われている。
出典:
カラー版徹底図解 幻獣事典(新星出版社)
作者ひとこと:
年のデザインは、鋭い角を持った龍の姿に描きました。沢山、人間を食べて肥え太った感じで、貪欲さをイメージしました。
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