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2019年9月3日火曜日

「ラクシャサ」



ラクシャサ<ラクササ、ラクシャス、ラークシャス、ラクシャーサ、ラークシャサ>

インド神話に登場する邪悪な人食いの悪鬼。ラクシャサという名前はサンスクリット語で「保護する事」、「守護する事」という意味。ラクシャサ達は創造神ブラフマーを守護する為に創られた種族で、ブラフマーの足から生まれた。彼等は、まだ天地創造が始まったばかりの頃にブラフマーによって生み出された。創造が進んでいない段階で生まれた為、生み出された彼等は皆飢えてしまった。彼等の飢えは深刻になり、いよいよ自分達を創り出した父であるブラフマーまで食べてしまおうとする者達までいた。さすがのブラフマーもこれには堪らず、自分の身を守る為に父を食べるべきではないと諌めた。この時ブラフマーの言う事を聞き、おとなしくなった者達がヤクシャとなった。それに対してブラフマーの言う事を聞かず、なおもブラフマーを食べようとした血の気が多い者達がラクシャサとなった。ラクシャサは黒い身体を持ち、空を自由自在に飛行し、地上では足が速く、怪力と神通力を持ち、様々なものに変身する事も出来、それによって人間を魅了したり惑わしたりして、人間を食い殺す悪鬼である。また人間の新生児を食べるともされる。ラクシャサは人間と敵対する悪鬼、悪魔とされ、ラクシャサは打ち破られるべきものの代名詞とされる。ラクシャサ達を治めているのは富と財宝の神クベーラであり、ラクシャサ達の王クベーラとラクシャサ達は南方の島・ランカー島(現在のスリランカ)を根城としている。叙事詩「ラーマーヤナ」ではクベーラの異母弟ラーヴァナがクベーラと戦い、結果ラーヴァナがランカー島の覇権を握り、ラクシャサ達を率いて神々に戦いを挑むが、コーサラ国の王子ラーマに退治される伝説が語られている。ラクシャサ達には男と女があり、男はラクシャサ、女はラークシャシーと呼ばれる。男のラクシャサは醜いが、女のラークシャシーは美しいとされる。ラークシャシーは人間の妊婦に流産を起こしたり、産褥における幼児に死をもたらす。元々ラクシャサ、ラークシャシー達の起源はアーリア人がインドに侵入する以前からインドにいた人々が崇めていた木石水界の精霊達と思われる。仏教ではラクシャサは「羅刹」と漢訳され、仏法の守護者とされる。羅刹は四天王に仕える八種の鬼神・八部鬼衆(ハチブキシュウ)の内の一種であり、羅刹達は北方を守護する多聞天(毘沙門天)に眷属として仕えている。また八つの方位と天地、日月を守護する十二の護法善神「十二天」の内、西南の方角を守護する神として「羅刹天」と呼ばれる。羅刹天は「捏哩底王(ネイリチオウ、ニリチオウ)」とも言われ、破壊と滅亡を司る神である。羅刹天は全身黒色の肌と真っ赤な髪を持った鬼の姿とされ、身体には鎧を身につけている。左手は剣印という印契を結び、右手には剣を持っている。この剣で人々の煩悩を断つといわれている。ラークシャシーの方は「羅刹女」と呼ばれ、法華経(ホケキョウ)陀羅尼品に説かれる十羅刹女(ジュウラセツニョ)などが知られる。

出典:
Wikipedia
神の文化史事典(白水社)
ゼロからわかる インド神話(イースト・プレス)
図説 幻獣辞典(幻冬舎)

作者ひとこと:
ラクシャサのデザインは頭に骸骨を載せて、手に剣を持った三つ目の鬼の様な姿に描きました。

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