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2019年11月18日月曜日
「ヤルムル」
ヤルムル
オーストラリアの先住民であるアボリジニの中でもカカドゥ人に伝わる霊魂、死霊。カカドゥ人の伝承によると人間の霊魂はヤルムルといい、死んで人間はヤルムルになると自分の葬儀が終わるまで自分の骨を監視している。そして無事、葬儀が終わるとヤルムルはヤルムルと「イワイユ」に分かれ、長い間、自分の遺骨のある場所にいる。このヤルムルとイワイユの関係は、人間と、その人間の影の様なものであるとされる。しばらくしてヤルムルは再生を望むと、ヤルムルとイワイユは自分の遺骨から離れる。まずイワイユはブッシュ(茂み)へと行き、ブッシュの中で食物を探しにきた人々を探す。食物を探しに来ている人々を見つけると、ヤルムルはイワイユを鮭の姿に変えてブッシュにある食物に付ける。人間はイワイユが付いているのに気付かずに、その食物を自分の村へと持ち帰る。こうしてヤルムルとイワイユは村へと辿り着いたが、二つの霊魂は一旦、自分の遺骨のある居場所に帰る。そして夜になると再びその村へと来て、村のキャンプでその村の男女達を見守る。夜更けになり、全ての人々が寝静まるとイワイユは寝ている男女達の寝床に次々に入り、男達を嗅いでいき、父親となる男を見つけ、今度は女達を嗅いでいき、先に見つけた男を夫とする女を見つけると、イワイユはその女の体内へと入る。しかしヤルムルは、それを見届けると再び遺骨のある居場所へと戻る。イワイユが見つけた男女が結ばれて、イワイユが体内に入った女が子供を孕み、その子供を誕生させると、その子供の体内にイワイユが入っている。子供が誕生した夜、その子供の父親の元へヤルムルが現れて、その子供の名前と、この子供のトーテムを告げる。その後ヤルムルは、この子供の成長を見守り、この子供が老いるまで、保護の役割を果たす。いよいよ、この子供も年を取り、死ぬ時期になるとヤルムルは、見守ってきた者の体内にいるイワイユと、次に誕生させる子供と、その子供のトーテムについて相談する。その後ヤルムルは役目を終えて、イワイユが新たなヤルムルになる。
出典:
幻想動物の事典
作者ひとこと:
ヤルムルは体中に模様がある幽霊の様な姿に描きました。
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