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2020年1月31日金曜日

「黄泉醜女」



黄泉醜女(ヨモツシコメ)

日本神話に登場する女の妖怪、または怪物の様な存在。黄泉醜女は日本神話において地下にあるとされる死者達が住んでいる死後の世界「黄泉国(ヨミノクニ)」に住んでいる鬼女である。黄泉醜女は醜く恐ろしい顔をしているとされ、またその脚力は一飛びで千里(約4000km)を走るとされる。元々、黄泉醜女は黄泉国を統治している神である「黄泉神(ヨモツカミ)」に仕えていたが、地上で伊邪那美命が火の神である「火之夜藝速男神(ヒノヤギハヤヲノカミ)」を生んだ時、女性器に火傷を負ってしまい、その火傷が致命傷となり死んでしまって黄泉国にやって来ると、黄泉醜女達は伊邪那美命に仕えるようになった。「古事記(コジキ)」によると、その後、死んだ伊邪那美命に会いたくなった伊邪那岐命が黄泉国にやって来て、伊邪那美命に「愛しき我が妻よ、私と貴女が作った国は、まだ出来上がっていません。だから、帰ってきなさい」と語りかけた。すると伊邪那美命は「私は、黄泉戸喫(ヨモツヘグイ)をしてしまいました(黄泉国の食べ物を飲食してしまった者は、黄泉国に属してしまう事)。けれど、愛しき我が背の君が来ていただいたのは恐れ多い事。帰りたいと思うので、黄泉神と相談しますから、その間は決して私の姿を見ないでくださいね」と答えた。言われて事を守って黄泉国の御殿の扉の前でじっと待っていた伊邪那岐命だったが、遂に待ちきれなくなり、髪に差していた櫛の歯を一本折り、これに火を付けて黄泉国の御殿の中に入った。すると御殿の中にいた伊邪那美命は身体がすっかり腐敗しており、それにウジが湧き、その身体に八体の雷神が纏わり付いている恐ろしい姿となっていた。その姿に恐れをなして逃げ出した伊邪那岐命に対して、伊邪那美命は「私を辱めたな」と自分の配下である黄泉醜女達に逃げた伊邪那岐命を追わせた。逃げる伊邪那岐命は追い掛けて来た黄泉醜女達に後ろ手に、髪飾りである「黒御鬘(クロミカヅチ)」を投げると、黒御鬘は地面に落ちて、そこから葡萄が実った。黄泉醜女達が葡萄を食べている隙に伊邪那岐命は逃げたが、暫くするとまた、黄泉醜女達が追い掛けて来た。そこで、今度は右の角髪(ミヅラ)に差していた「湯津津間櫛(ユツツマグシ)」という櫛の歯を折って後ろ手に投げると、櫛の歯が落ちた所から筍が生えてきた。黄泉醜女達がその筍を食べている間に伊邪那岐命は逃げた。しかし、また暫くすると黄泉醜女達が追い掛けて来た。しかも黄泉醜女達ばかりではなく、伊邪那美命の身体に纏わり付いていた八体の雷神達や、黄泉国の悪鬼の兵隊「黄泉軍(ヨモツイクサ)」が1500も追い掛けて来た。伊邪那岐命は追い掛けて来たこれらの魔物達相手に、身に付けていた「十拳剣(トツカノツルギ)」を抜いて後ろ手に魔物達を牽制しながらも逃げた。やがて伊邪那岐命は、生者の世界と死者の世界である黄泉国との境にある坂「黄泉比良坂(ヨモツヒラサカ)」の下に辿り着いた。すると黄泉比良坂の下に桃の木が生えていたので、伊邪那岐命は桃の木から桃の実を三つもいで、追い掛けて来た黄泉国の魔物達に投げると、桃の実を投げられた黄泉醜女や八体の雷神、黄泉軍は全て逃げ去った。黄泉醜女という名前は「黄泉の国の醜い女」という意味である。なお醜女とは古くは「強い霊力を持つ女」といった意味であったとされるが、いつしか「醜い」という意味の変化から、恐ろしい顔の女の姿が想像されるようになったと言われている。また黄泉醜女というのは死の穢れを神格化した存在であると考えられる。

出典:
Wikipedia
神魔精妖名辞典
ピクシブ百科事典
図解日本神話(新紀元社)
図説 妖怪辞典(幻冬舎)
よくわかる「魔界・地獄の住人大事典(廣済堂ペーパーバックス)

作者ひとこと:
黄泉醜女のデザインは、頭と両腕だけの鬼女の姿に描きました。怪物や鬼というよりは、黄泉国にいる邪悪な霊のイメージです。

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