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2021年5月7日金曜日

「角盥漱」


角盥漱(ツノハンゾウ)

日本に伝わる妖怪で、江戸時代中期の画家、浮世絵師の「鳥山石燕(とりやま せきえん)」の妖怪画集「画図百器徒然袋(がずひゃっきつれづれぶくろ)」に描かれている。画図百器徒然袋には、角盥(つのだらい)の妖怪が描かれている。角盥とは漆塗りの洗面道具で、宮中などの女性が用いていた道具の一つである。解説には「なにを種とてうき草のうかみやらぬもやらぬ小野の小町がそうしあらいの執心なるべしと、夢心におもひぬ」と記されている。平安時代前期の女流歌人「小野小町(おの の こまち)」には、「草紙洗小町(そうしあらいこまち)」として知られる「草紙洗(そうしあらい)」の逸話がある。平安時代の歌人、官人である「大伴黒主(おおとも の くろぬし)」は、歌合(うたあわせ)で小野小町を相手にすることとなった。しかしとても勝ち目がないと考えた黒主は、歌合の前日、小野小町の邸に忍び込み、小町が明日のために詠んだ歌を盗み聞きする。歌合当日、歌人達が居並ぶ中で小町の歌が詠み上げられるが、黒主は「その歌は既存の古歌である」と難ずる。証拠として黒主が取り出した万葉集(まんようしゅう)の草紙には、確かにその歌が書き込まれていた。実はこれは、前日小町の歌を盗み聞いた黒主が、万葉集の草紙に予め書き足しておいたのである。窮地に立たされた小町だが、小町は黒主の入れ筆と見破り、歌人達の許しを得て、角盥に入れた水の中で、草紙のその問題の箇所の部分を洗う。するとたちまち黒主の書き足した歌は消え失せ、黒主の罪が明らかになったというものである。鳥山石燕は、この小野小町の草紙洗の伝説を題材にして角盥の妖怪を創作したのだろうと考えられている。また、この角盥漱は、古い器物に霊が宿って誕生する妖怪「付喪神(つくもがみ)」の一種とされており、角盥漱は角盥の付喪神であるとされる。一説には、この角盥漱は小野小町が草紙洗で使用した角盥が付喪神となったものであるとされる事もある。

出典:
Wikipedia
ピクシブ百科事典
日本妖怪大事典(角川書店)

作者ひとこと:
角盥漱のデザインは、「画図百器徒然袋」の絵を参考にして、角盥の妖怪の姿に描きました。

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