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2022年1月9日日曜日

「ナーガ・パドハ」


ナーガ・パドハ<ナーガ・パホーダ>

インドネシアのスマトラ島に伝わる神話など東南アジア神話に登場する巨大な海蛇。創世神話では、ヒンドゥー教の神シヴァの化身(アヴァターラ)の一つである「バタラ・グル」が、最初の固い地面を作ったとされる。そこでナーガ・パドハは、海中で身をくねらせ、尾を叩きつけて、バタラ・グルが作った最初の地面を破壊しようとした。しかし、バタラ・グルは英雄の姿となって、ナーガ・パドハを抑えるのに成功した。その際バタラ・グルは、大変な重量をかけてナーガ・パドハを押さえ込んだので、ナーガ・パドハは海底深く沈んでいったという。また、別の神話によると、「マンガラブラン」という神にしつこく言い寄られていた「ボル・デアク・パルジャル」(バタラ・グルの娘)は、これから逃れようとして天から大海へと飛び降りた。この事を燕から聞いたバタラ・グルは、燕に土を持たせ、娘に届けるように頼んだ。ボル・デアク・パルジャルは燕から受け取った土を海に投げつけると、そこは瞬く間に島となった。これで彼女は助かったが、今度は海蛇のナーガ・パドハが自分の領地を侵されたと知って怒り、背を弓なりに曲げて島を遠くに押し流してしまった。そこでバタラ・グルはもっと土を送りつけて島を大きくさせ、またバタラ・グル自身は英雄の姿となって下界へと降り、ナーガ・パドハの背に鉄の重しを乗せた。ナーガ・パドハは身をくねらせてもがいたが、とうとうこの重しを動かす事が出来ず、海の底に沈んでいった。この時のナーガ・パドハが暴れた名残が今の山々や谷である。東南アジアの島々を作り終えたバタラ・グルは島々に種を振り撒いた。これから植物や動物が生じた。また最後にバタラ・グルとボル・デアク・パルジャルによって最初の人間が作られたという。また別の説によると、バタラ・グルの娘がとても醜い神に求婚され、絶望して海に身投げした。娘の叫びを聞いたバタラ・グルは燕に土を運ばせて、海中に小さな大地を作った。だが、この大地は海蛇ナーガ・パドハに壊された為、再び大地を作り、またナーガ・パドハには剣を突き刺した。ナーガ・パドハは、剣を柄のところまで突き刺されたまま、鉄の檻に閉じ込められた。ナーガ・パドハは、檻が狭くて身動きもままならない。だが、それでも僅かな身じろぎで、大地には地震が起こり、山や谷が出来た。この世の終わりには再びナーガ・パドハが現れ、世界を滅ぼすだろう、と言われている。異伝としては、バタラ・グルがナーガ・パドハの背中で筏を作っていた。だが鑿の柄が壊れてしまった。ナーガ・パドハはその衝撃で身をよじる。これが地震である。バタラ・グルは「静かに、柄が壊れただけだ」と答えた、と伝えられている。

出典:
神魔精妖名辞典
東洋神名事典(新紀元社)

作者ひとこと:
ナーガ・パドハのデザインは、巨大な大蛇の姿に描きました イラストのナーガ・パドハには退化した小さな手足もあります

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