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2023年5月6日土曜日

「愛染明王」


愛染明王(アイゼンミョウオウ)

梵名を「ラーガラージャ」といい、訳して愛染明王という。原語の「ラーガ」とは「赤色・愛欲」の意味で、愛染明王は、愛欲煩悩が即菩提である事を開示した明王とされ、この愛染明王は、「金剛薩埵(コンゴウサッタ)」または「金剛王(コンゴウオウ)」「金剛愛菩薩(コンゴウアイボサツ)」の化身とみなされている。また愛染明王は、和合・親睦を祈る敬愛法(けいあいほう)の修法本尊としても祀られる。愛染明王の日本における信仰は、12世紀頃、白河・鳥羽院政期に真言宗の広沢流(仁和寺)系の僧侶によって、もっとも華やかに展開をみたとされている。愛染明王の造の形は通常、「金剛峯楼閣一切瑜伽瑜祇経(こんごうぶろうかくいっさいゆがゆぎきょう)」(瑜祇経)の所説にもとづき、宝瓶に活けられた蓮華座上で赤い円相を光背にして結跏趺坐し、頭部には獅子冠をいただく1面3目の赤肉色の6臂像としている。持物は左右第1手には金剛薩埵を象徴する五鈷杵・五鈷鈴を、左右第2手には金剛愛菩薩を象徴する弓と矢をとり、右第3手には未敷蓮華、左第3手は何も持たずに金剛拳とする。なお、台密の「阿娑縛抄(あさばしょう)」によると、この左第3手には修法の目的に応じて特別に持物をとらせる事があり、息災法には日輪、増益法には珠、敬愛法には蓮などを定めている また愛染明王像には、異形像も多く、左右第2手が手にする弓に矢をつがえて、いままさに天空上に向けて射ようとする「天弓愛染(てんきゅうあいぜん)」と呼ばれるものや、「不動明王(フドウミョウオウ)」と愛染明王が合体した「両頭愛染(りょうずあいぜん)」などがある。この愛染明王は、インド神話の愛の神「カーマ」が仏教に取り入れられたものと考えられている。

出典:
神魔精妖名辞典
エソテリカ事典シリーズ(1)仏尊の事典(学研)

作者ひとこと:
愛染明王のデザインは、六つの腕を持った明王の姿に描きました。

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