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2019年12月24日火曜日

「デンゲイ」



デンゲイ<デゲイ、ンデンゲイ、ンデゲイ>

フィジーの神話に登場する神で、至高神、創造神である。デンゲイは「ロウ・ヴ族」という根の神々の首領であり、デンゲイはフィジーの神々の内で、最も偉大で最も強い神であるとされている。デンゲイは蛇神であり、巨大な蛇の姿をしている(またデンゲイは上半身は巨大な蛇だが、下半身は段々石になっていき、そのまま下半身は大地と一体化している姿であるともされる)。デンゲイは聖なる山の「ナカウヴァンドラ山(カウヴァンドラ山とも)」の洞窟に住んでおり、デンゲイが眠くなり蜷局(トグロ)を巻いて、眠くなって目を閉じると世界は夜になり、デンゲイが目覚めて目を開けると世界は朝になった(朝になると美しい黒い鳩の「トゥルカワ)がデンゲイを起こす)。またデンゲイが洞窟内で動いたり、寝返りを打ったり、体の向きを変えたりすると、それが地上で地震となって起こった。デンゲイには「ロコモトゥ(ロコモツとも)」という息子がいた。ある日、ロコモトゥはデンゲイに命じられて、その時まだ珊瑚礁の海が広がるだけだった下界に、大地を作る事になった。ロコモトゥは海に入ると海底の土を掻き寄せて、珊瑚礁の間を盛り上げて大地を創った。この時、ロコモトゥが長い服を引き摺った部分には砂浜が出来、服を引っ張り上げて動いた時には、その部分の海岸は岩場となった。ある日、デンゲイが二個の卵を産むと、その卵から男の「ロコラ」と女の「ウト」が生まれた(この二つの卵は鷹の卵であり、デンゲイが温めて孵(カエ)したともされる)。男女の二人はデンゲイからバナナを与えられて育てられていたが、ある日二人はデンゲイに「もう、バナナの食事に飽きた」というと、デンゲイは二人にタロ芋と、タロ芋を調理する為の火の起こし方を教えた。他にもロコラとウトにデンゲイは様々な技術を授けた。ロコラには「カウサムバリア」という兄弟がいた。ある日、デンゲイはロコラとカウサムバリアの兄弟に、沢山の人々が乗れる大きなボートの造船技術を授けた。デンゲイは兄弟に造船技術など様々な技術でフィジーの支配者となるよう命じた(この頃、フィジーの人々はボートを造る事も出来ず、島の外を知らなかった)。兄弟は様々な技術を持っていたので、瞬く間にフィジーの島々を統べる支配者となった。やがて兄弟にも子や孫、子孫が出来、ロコラを首長とする、この一族は「船大工族」と呼ばれ、船大工族はフィジーの島々を統べる強大な王国となった。船大工族は「ナンダヴェア」という大きな町を築いた。ナンダヴェアにはデンゲイもしばしば訪れて、更に多くの知識を授けた。ナンダヴェアの町は富み栄え、やがて船大工族は豊かな生活を送れる様になり、次第に傲慢になり、労働も自分達が支配した他の部族の人々にさせて、朝遅くまで寝ている様になった。しかしながら、美しい黒い鳩トゥルカワがデンゲイの洞窟の前で鳴くと、デンゲイが目覚め「朝だ。さあ起きて仕事を始めろ」とナンダヴェアの町に向けて大声で命ずるのだった。ある時、ロコラ達、船大工族はもう働きたくないと再三、デンゲイに訴えたがデンゲイには聞き入れられなかった。それどころか日頃、他の部族を奴隷にして酷使している事や、船大工族の怠惰さをデンゲイは船大工族の代表のロコラとカウサムバリアに指摘し、叱責した。船大工族は遂にデンゲイに反旗を示し、デンゲイとの戦いに備え、奴隷達を酷使して強固な土塁を持つ要塞を築いた。その様子を見たデンゲイは、それでもロコラ達が分別を取り戻す事を期待していた。しかし、ある日、ロコラはデンゲイを起こす役目の黒い鳩トゥルカワを射殺し、デンゲイに謝罪するどころか、デンゲイを挑発した。この行為に、デンゲイも遂に堪忍袋の緒が切れて激怒し、船大工族とナンダヴェアの町に災いをもたらそうとした。しかし己の技術を過信するロコラ達、船大工族は怖れず、更に土塁を高くしていった。その様子を見たデンゲイはナンダヴェアの町とその付近に大雨を降らせた。すると、海はみるみる水位を増し、海岸も、やがて船大工族が築いた土塁をも超えた。遂に海水はナンダヴェアの町になだれ込み、ロコラを始め船大工族と人々の大半を水に沈め、富み栄えたナンダヴェアの町も全く海の下に葬られた。生き残った人々はボートや筏で逃げ出し、船大工族は各地に分散したが、かつて自分達が支配していた部族の土地に逃れて、かつて自分達が従えていた部族の首長の下で奴隷となり働くよりなくなった。

出典:
Wikipedia
神魔精妖名辞典
龍学 ―dragonology― ⇒ンデンゲイと表記
神の文化史事典(白水社) ⇒ンデゲイと表記

作者ひとこと:
デンゲイのデザインは、男の「ロコラ」と、女の「ウト」が入っている二つの卵を頭に乗せた、巨大な蛇の姿に描きました。

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