魍魎(モウリョウ)
中国に伝わる怪物、妖怪の一種。魍魎は、山川木石などのあらゆる自然物の精気から生じた精怪であるという。この魍魎の姿は、前漢時代の皇族・学者である「劉安(リュウ アン)」が学者を集めて編纂された思想書「淮南子」によると、魍魎の姿形は、三歳程の小児の様で、その肌の色は赤黒く、目は赤く、耳は長く(耳はまるで兎の耳の様に長く伸び、とも言われている)、麗しく美しい髪を持つとされている。また、この魍魎は人間に似た声をしているともいう。この魍魎は、水の怪や水神、水沢の神ともされており、「淮南子」によると、罔象(魍魎)は水から生じる、とある。また、中国前漢時代の歴史家「司馬遷(シバ セン)」によって編纂された中国の歴史書「史記」によると、春秋時代の思想家、哲学者、儒家の始祖である「孔子(コウシ)」は、水の怪は龍や罔象(魍魎)であるとした。日本では「魍魎・罔象」に水神を意味する「みずは」と訓じ、この語に他に「水波」、「美豆波」、「弥都波」など様々な漢字で表記される。江戸時代の医師、寺島良安(テラシマ リョウアン)により編纂された類書(百科事典)、「和漢三才図会」の魍魎の項目でも、魍魎に水神を意味する「みずは」の和訓があてられている。また、日本神話に登場する神である「ミヅハノメ」を、奈良時代に成立した日本の歴史書「日本書紀」では「罔象女神(ミツノハノメノカミ)」と表記している。一方、魍魎は人間を化かす妖怪の類であるとか、墓を掘り返して死者の内臓を好んで食べる忌まわしい妖怪であるともされている。中国明の医師・本草学者である「李時珍(リ ジチン)」が著した本草書「本草綱目」には、「罔両(魍魎)は好んで亡者の肝を食べる。それで『周礼(儒教経典の一つ)』に、戈(ほこ)を執って、壙(つかあな)に入り方良(魍魎)を駆逐する、とあるのである。本性、罔両は虎と柏とを恐れる。また、弗述(フツジュツ)というのがいて、これは地下にあり死人の脳を食べるが、その首に柏を挿すと死ぬという。つまりこれは罔両である」と記されている。日本では、魍魎が亡者の肝を食べるという点から、葬式や墓場に現れて、死者の亡骸を奪う妖怪「火車(カシャ)」と同一視されている。
出典:
[妖怪図鑑]新版TYZ
Wikipedia(「魑魅魍魎」、「魍魎」のページ)
図説 妖怪辞典(幻冬舎)
作者ひとこと:
魍魎のデザインは、兎の様な長い耳と、大きな目を持った子供の様な姿の妖怪に描きました。体には獣の様な剛毛が生えています。また死者の肝を食べる、忌まわしい妖怪ともされているので、蹄のある脚と鏃(やじり)の様な先の尾を描いて西洋の悪魔もイメージした感じにしました。
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