金寧蛇(キムニョンサ、キムニョングルグロンイ)
朝鮮半島の南西、日本海、東シナ海、黄海の間にある火山島である済州島(ちぇじゅとう、さいしゅうとう)に伝わる怪物、または幻獣。金寧蛇は、済州島にある溶岩洞窟の「金寧窟」の伝説に登場する大蛇である。済州市舊左邑金寧里の東側にある大きな洞窟は、大蛇が棲み着いている為「蛇窟」と呼ばれていた。近隣の人々は毎年、娘を一人、この蛇窟の大蛇に生贄として捧げ、祈りの儀式を行っていた。そうしなければ、この大蛇は田畑を荒らし、人々を大いに困らせた。しかし「両班(貴族階級)」の家から生贄となる娘を出す事はなく、毎回、平民の娘達が生贄になっていた。その為、平民の娘達は嫁に行く事が出来なかった。その頃、済州に赴任して来た「徐燐」という役人が、人々を苦しめる大蛇の話を聞き、すぐに酒・餅・娘を供えて祈りの儀式をするように、と人々に命じた。そして徐燐は、自ら軍を従えて大蛇の棲む蛇窟に向かった。儀式が始まって暫くすると、蛇窟の中から驚くほど巨大な大蛇が姿を現した。大蛇は供えられた酒を飲み、餅を食べた。続いて生贄の娘を食べようとした。その時、徐燐は軍とともに槍と剣を手に大蛇に飛びかかり、大蛇を退治した。大蛇を退治した徐燐を見て、「ムダン(巫女、またはシャーマン)」が現れ、ムダンは徐燐に「早急に馬を出して城内へとお入りください。その時、どんな事があっても振り返ってはいけません」と言った。徐燐はムダンに言われた通りに馬を走らせ、無事に城内の東門前まで辿り着いた。この時、軍の一人の兵士が「後方から血の雨が!」と叫んだ。これに徐燐が「血の雨など降るわけがなかろう」と言いながら振り返ってしまった。その瞬間、徐燐はその場に倒れて亡くなってしまった。死んだ大蛇の血が空高くに噴き上がり、血の雨となって徐燐の後を追って来ていたのだった。また別の話では、大蛇が棲み、この大蛇に処女を生贄として捧げないと飢饉が起こる「金寧蛇窟(キンニョンサグル)」という洞窟があった。判官によって大蛇は退治されたが、呪術師が振り返らず逃げるように言ったのを判官は守れずに、判官は血の雨を浴びて呪い殺された、という話もある。また別の話では、金寧の蛇窟には大蛇がいて、この大蛇の祭りをしないと大嵐が来て穀物が全く作れなくなった。それで人々は、毎年処女を供物として大蛇の祭りをしていた。ところが、永川の牧使がこの祭りを知り、大蛇を討ってしまった。牧使は大蛇を討ってから済州市の三門に入ると、背筋がぞくぞくした。それで背中を見ると、討った大蛇の血が背中にべったりと付いていた。この牧使が済州島から帰ろうとすると、台風が来て、行けなくなってしまった。牧使は済州島に来て、五百の寺と五百の神堂を壊したが、また古塚などを修理もしたので、牧使の夢に古塚の鬼神数万が現れて、古塚を修理してくれたお礼に、閻魔大王に風を吹かせてもらうので、日が明けてから船で帰るように、と牧使に助言してくれた。こうして牧使は無事に故郷に帰る事が出来たが、やがて牧使が死んで、彼のお墓が造られると、そこに蛇が現れたという話もある。大蛇がお墓で敵討ちをしようと現れたのだというという話もある。また別の話では、亡くなった人を金寧の蛇窟の前に置いておくと、蛇が食べて骨だけが残る。なくなれば、それは「ジャンキナン」だと。亡くなった人の為の儀式が「ジャンキナン」だと、そういったみたいだ。しかし、牧使が済州島に来て、それはいけない事だと言い、こっそり蛇に「ソガン」を抱えさせた。「ソガン」はひどい腫れ物によく効く薬だが、爆発するものでもある。それで、蛇は爆発して死んでしまった、という話もある。
出典:
龍鱗
ピクシブ百科事典(「韓国の妖怪」のページ)
済州観光公社旅行ブログ
作者ひとこと:
金寧蛇のデザインは、体から樹木が生えている程、とても巨大な大蛇の姿に描きました。
0 件のコメント:
コメントを投稿