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2022年7月10日日曜日

「レムレース」


レムレース(単数形「レムール」)

ローマ神話に登場する霊の一種。レムレースは、騒々しく有害な死者の霊、または影を意味し、生きている人々を騒がしたり、怖がらせたりするという意味で悪霊「ラルヴァ」に近い。「レムレース」は文学にも稀に使われる語で、ホラティウスの作品やオウィディウスの「祭暦」で使っている。このレムレースは、埋葬や葬式や心のこもった祭儀を行ってもらえなかった霊が彷徨い出し、恨みを抱くようになったものを意味する事もある。また、墓や奉納文があるからといってレムレースにならないとは言えない。オウィディウスはレムレースを、放浪し常に満たされず執念深い、地下世界の祖先神(マネス神、またはパレンテス神)と解釈していた。オウィディウスにとって、それらの信仰儀礼は不可解なほど古風で、半ば神秘的で、おそらく、かなり古い伝統の根ざしているだろう事を示唆していた。後のアウグスティヌスは、レムレースとラルヴァの事を、騒がせたり怖がらせたりする悪い「マネス」だとし、一方で守護神ラレースを良い「マネス」だとした。霊であるレムレースは形を持たず、ほとんど知覚できないもので、レムレースは、暗闇や暗闇によってもたらされる不安と結びついている。共和制時代からローマ帝国時代にかけて、5月の9日、11日、13日をレムレースを慰め、家庭内から追い払う祭り「レムーラーリア(またはレムーリア)」の日としていた。家長がその夜、立った状態で黒い豆を後ろに投げ、豆の転がっていった方向を注視しないようにする。レムレースはその豆を好むものとされていた。レムレース自体は恐ろしいものであり、彼らが、家長の提供したものに満足出来なかった場合、青銅の壷を強打して打ち鳴らし、びっくりさせる事があると言われていた。また一方で、生前に悪行を働いた者は悪霊「ラルヴァ」になるが、逆に生前によい行いをした者は「レムレース」になるとも言われている。レムレースはよい行いをした者達の霊で、レムレース達は人間の姿をしている。しかし、レムレースもずっと無害だったわけではなく、放っておくと、家や地上にとどまり悪さをするようになってしまい、ついには邪霊になってしまうのだという。また元々、レムレースとラルヴァには厳密な区別がなかったとも言われている。そこで、ローマでは毎年5月になるとレムレースの祭りを行い、死後の霊達を祖霊として接待、もてなした後で、冥界へと追い払う儀式をした。レムレースの祭りの日の真夜中になると、家長は黒くなるまで乾かした豆を口に含んで外に出る。それから、レムレース目掛けて、その豆を吹きつけながら立ち去るよう呪文を唱えた。

出典:
Wikipedia
幻想世界幻獣事典(笠倉出版社)
幻想世界の住人たちⅡ(新紀元社)

作者ひとこと:
レムレースのデザインは、四本の髭を生やした精霊の姿に描きました。

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