自己紹介

このブログでは、僕が描いた神話や伝説などに関する絵や、その絵の解説を載せています。
(イラスト、記事の執筆:マゴラカ、ワンタ) ※2024年度より、月・水・金曜日の21時に更新していきます。

2021年4月28日水曜日

「ちゃんころりん石」


ちゃんころりん石(チャンコロリンイシ)

日本に伝わる怪異、または妖怪の一種。ちゃんころりん石は、群馬県安中市に伝わる石の怪異である。安中はその昔、中山道の宿場町として栄えていた。その頃の話。ある夜、いきなり街道を「チャンコロリン、チャンコロリン」とお囃子の様な音を立てて移動するものが現れた。宿場の人々は驚いてこっそりと様子を探ると、お囃子の様な音を立てて移動していたのは、一抱えもある大きな石であった。しかもこの石、ひとりでに転がりながら動いている。この光景を見て、人々は怖じ気づいてしまったのである。この「チャンコロリン」と転がる石は毎夜のように現れる。ある人が恐る恐る、この石の後を付けて行くと、この石は宿場にある「大泉寺(だいせんじ)」という寺の境内に入って行った。こうして、石の正体が分かったので、この石を退治しようと安中藩の侍が石を斬り付けたが石は全く動じる気配がない。更にと、石を鉄砲で撃ってみたが、石に少し穴が開いただけで何も変わらない。そのうち、この怪しい石の噂が近隣に広まり、安中の宿場に泊まろうという者がいなくなってしまい、宿は閑古鳥が鳴く始末となった。宿場の人々は、とうとう大泉寺の住職に、石を法力で封じてもらえないかと頼み込んだ。この頼みに住職は快く引き受けると、お経を唱えながら石に近付いて、やにわに石に釘を打ち付けたのである。すると、その夜から石は町に出る事もなく、また「チャンコロリン」という音を立てる事もしなくなったという。大泉寺の境内の片隅に、いまだにチャンコロリンの怪石が残されている。供養塔の様になっている、その真ん中の丸石がチャンコロリン石の正体であるという。今でも刀傷や鉄砲傷が付けられているのが確認できる。

出典:
日本伝承大鑑

作者ひとこと:
ちゃんころりん石のデザインは、丸い石の姿の妖怪に描きました。「チャンコロリン」とお囃子の様な音を立てると言われているので、浮かれている様な顔にしてみました。

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