大首(オオクビ)
江戸時代中期の画家、浮世絵師である鳥山石燕(とりやま せきえん)の「今昔画図続百鬼」に描かれた妖怪で、【大凡(おおよそ)物の大なるもの皆おそるべし。いはんや雨夜の星明りに鉄漿(かね)くろぐろとつけたる女の首おそろし。なんともおろかなり】とあり、お歯黒をつけた巨大な顔が描かれている。大首という名前での妖怪出現記録は見当たらないが、石燕のいた江戸時代には、女の大きな顔だけの妖怪に出会ったという人が何人もいるらしく、随筆集や怪談集にいくつかの話をみる事ができる。例えば、山口県岩国の怪談を集めた「岩邑怪談録」は、「古城の化物の事」として次のような話を収めている。上口というところのある家の下働きの女は、御城山という古城跡で毎朝ワラビを採るのを日課としていた。ある日の早朝、いつものように御城山に登ったところ、どこからともなく一丈(約3m)ばかりもの女の首が現れ、古城の台の上から女を見ながら笑いかけた。女は転がりながら帰り、以後その山には近づかなかったという。
出典:
日本妖怪大事典(角川書店)
作者ひとこと:
大首のデザインは、口にお歯黒をつけた、巨大な女性の頭だけの姿の妖怪に描きました。
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