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2020年10月31日土曜日

「従従」


従従(ジュウジュウ)<従々、從從>

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の東山経に記されている怪獣。従従は、東山の、山上には金属鉱物と宝石が豊富にあり、山下には青石と碧玉が豊富にある栒状山という山に生息している獣である。従従は、犬の様な姿をした獣であるが、この獣は六本の脚を持っている。また「従従」という名前は、この獣の鳴き声から名付けられたという(この獣が「ジュウジュウ」と鳴く事から「従従」という名が付いた訳である)。

出典:
幻想類書
山海経動物記
神魔精妖名辞典
幻想動物の事典
プロメテウス

作者ひとこと:
従従のデザインは、山海経の記述通り、六本脚の犬の様な姿の獣に描きました。

2020年10月30日金曜日

「馬腹」


馬腹(バフク)

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の中山経に記されている怪獣。馬腹は、中山の、山上には沢山の金や玉があり、麓には竹藪が広がっている蔓渠山という山に生息している獣である。馬腹は、人間の頭と虎の体という姿をしている。この馬腹は、人間の赤ん坊が泣く様な声で鳴く。馬腹は、人間を食べる獣である。

出典:
幻想類書
山海経動物記
神魔精妖名辞典
幻想動物の事典
プロメテウス
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)

作者ひとこと:
馬腹のデザインは、鬼の様な恐ろしい人間の頭と虎の体という姿の獣に描きました。

2020年10月29日木曜日

「霊爽式憑」


霊爽式憑(レイソウシキヒョウ)

中国に伝わる妖怪の一種。霊爽式憑は葬式に現れる妖怪で、ざんばら髪をした人の様な姿をしている。この霊爽式憑は葬式に現れて、死者の霊魂を貪り喰うという。しかし、お坊さんが、この妖怪の前に立ちはだかると、この妖怪は手も足も出なくなってしまうという。だから葬式のある時は、なるべく早くお坊さんを呼んだ方が良い。霊爽式憑は葬式の参列者の中に紛れ込むが、人間には、この妖怪の気配を感じる事が出来るだけで、この妖怪の姿を認める事は出来ないという。

出典:
妖怪世界遺産
Wikipedia(中国の妖怪一覧」のページ)

作者ひとこと:
霊爽式憑のデザインは、ざんばら髪を生やした大きな口だけを持つ頭と、そこから無数の触手の様な手を生やしている姿の妖怪に描きました。

2020年10月28日水曜日

「媼」


媼(オン、オウ)

中国に伝わる怪物、妖怪の一種。媼は、羊、もしくは猪に似た姿をしており、地中に棲んでいる。人間の死体が埋葬されると媼は地中を移動して、その死体の所へ行き、その死体の脳味噌を食べる。秦の穆公(ボクコウ)の時代、陳倉(チンソウ。陝西省宝鶏市)の住民が地面を掘って、地中から異様な生き物が掘り出された。この生き物は、羊の様な猪の様な姿の奇妙な生き物であった。人々は、この奇妙な生き物を穆公に献上しようと、この生き物を引っ張って連れて行く内に、その道中で二人の子供に出会った。子供は、この奇妙な生き物を見て、人々に「これの名前は媼です。これは地中にいて、死人の脳を食べます。これを殺すつもりなら、この媼の頭に柏(ヒノキ類)の枝を突き刺せば媼は死にます」(媼の首に檜や児手柏の枝を突き刺すと媼は死ぬ、という説もある)と言った。すると媼が言い返し「あの二人の子供は名前を陳宝(チンポウ)と言って、男の子供の方を捕まえた者は王者になれるし、女の子供の方を捕まえた者は覇者になれるのだ」と言った。これを聞いた陳倉の人々は、媼を置き去りにして二人の子供を捕まえようとした。すると二人の子供の姿は雉となって飛んで逃げ去った。この事の次第を陳倉の人々が穆公に報告すると、穆公は、この報告を聞くとすぐに、大勢の人を集め、その二羽の雉が逃げた先の山を大々的に山狩りをした。そして遂に雌の雉を捕まえた。すると捕らえられた雌の雉は石に姿を変えた。そこで、その石を渭水の畔に祠を建てて、その中に置いた。一方、雄の雉は南方へと飛んで逃げて行き、落ち着いたのが河南省雉県の地であった。この様な事があった後より、雌雉が変じた石を祀った祠の祭日に、祠で祭祀が行われる度に雉県の方から、長さ十丈余りの赤い光が飛んで来て、祠の中に差し込み、雄雉の鳴き声が響く。

出典:
フランボワイヤン・ワールド
思いて学ばざれば(「光武帝と雉」のページ)
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)

作者ひとこと:
媼のデザインは、猪の牙と羊の角と体毛を持った姿の怪物に描きました。地中にいる妖怪なので、地中にいる虫の姿もイメージした姿にしました。

2020年10月27日火曜日

「野狗子」


野狗子(ヤクシ)

中国に伝わる怪物、妖怪の一種。野狗子は、獣の頭と人間の身体という姿をした妖怪で、「野狗子」という名前の「野狗」とは「野良犬」という意味なので、この妖怪は、犬の頭と人間の身体という姿をしているのであろう。この野狗子は人間の脳味噌を食べる妖怪で、餌食を漁る為に死体が残された戦場や、新たに死体が埋葬された墓場に出没し、死体の頭蓋骨を破って脳味噌を喰らう。しかし必ずしも、脳味噌は死人のものである必要は無く、機会があれば生きた人間の脳味噌でも食べる。野狗子にとって、生きた人間の脳味噌は新鮮なのだが、生きた人間は野狗子の姿を見れば当然ながら逃げたり、野狗子に捕まれば抵抗したりするので、動けない死んだ人間の脳味噌を狙うのである。戦場に野狗子が出没するのは、大量にしかも安易に新鮮な脳味噌が手に入るからである。清代の作家・蒲松齢(ホ ショウレイ)の短編小説集「聊斎志異(リョウサイシイ)」に野狗子の話が記されており、これによると、1661年(順治18年)、山東省栖霞で于七(ウシチ)という人物が農民達を率いて清朝に反乱を起こした。清の軍隊は、この反乱分子を徹底的に掃討、弾圧した為、非常に多くの人が殺された。反乱軍の本拠地から逃げてきた李化竜という人は、たまたま夜間に大軍が行進するのに出会ってしまった。とっさに李化竜は、辺りに転がる死体の中に倒れ込んで死体の振りをして軍隊が通り過ぎるのを待った。ところが軍隊が通り過ぎると、今度は頭の無い死体や、腕の無い死体など、周囲の死体が立ち上がり始めた。その中で、首を斬られたものの、まだ首と身体がくっついたままの死体が「野狗子が来た。どうしよう」と大声で叫び出した。すると、他の死体達も「野狗子が来た。どうしよう」と騒ぎ出した。死体達は、その様に騒ぐと、ばたばたと倒れ、元の様になった。この様子に李化竜がびっくりして逃げようとすると、今度は、人間の身体、獣の頭を持った怪物が出現し、近くにあった死体の頭に齧り付き、そこから脳味噌をずるずると啜り始めた。李化竜は恐ろしくなって頭を死体の下に隠した。その間にも怪物は、身を屈めて、次から次に死体の頭を齧り、そこから脳味噌を啜り食っていた。ついに怪物は李化竜の所にもやって来た。怪物は李化竜が隠れていた死体を跳ね飛ばし、李化竜の頭も齧ろうとした。そこで、李化竜は落ちていた大きな石を握り締め、力任せに怪物の顔を殴った。この一撃は怪物の口の辺りに命中し、怪物は梟の様な悲鳴を上げて口を覆い、そのまま逃げ去って行った。怪物が流した血溜まりの中には、先端が尖って反り返った15センチ余りの歯が残されていたという。

出典:
ファンタジィ事典
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)

作者ひとこと:
野狗子のデザインは、冠を被り、衣を着ている、五つの目を持った犬の怪物の様な姿の妖怪に描きました。

2020年10月26日月曜日

「倀鬼」


倀鬼(チョウキ)

中国に伝わる妖怪、幽霊の一種。倀鬼は、虎に食い殺されて死んだ人間がなる霊である。不幸にも虎に食い殺された人間の霊魂は、そのまま、自分を食い殺した虎に捕らわれ、その虎の配下となってしまう。これが倀鬼である。倀鬼は、主である虎に服従しており、主である虎の指示に従って行動する。倀鬼は、主である虎に獲物を(特に人間を)捕らえる手助けをする。時に倀鬼は、生きている人間を騙して、主である虎のいる場所に連れて行ったり、主の虎が、人間を捕らえて食事をする際には、倀鬼が獲物の人間の服を脱がせたり、逃げないように押さえつけたりする役目をする。こうして主の虎に新たな人間の犠牲者を差し出す事で、倀鬼は自分の仲間を増やしていく。この様に、虎に服従している倀鬼達は、主の虎が死ぬまで成仏出来ないのである。

出典:
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)
日本と世界の「幽霊・妖怪」がよくわかる本(PHP文庫)

作者ひとこと:
倀鬼のデザインは、縦の口と、頭から辮髪(べんぱつ)を生やしている、虎柄の小鬼の様な姿の魔物に描きました。

2020年10月25日日曜日

「合窳」


合窳(ゴウユ)

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の東山経に記されている怪獣。合窳は、東山の剡山という山に生息している獣である。合窳は、人間の頭と豚の様な獣の体(猪や、猪の子の様な獣の体という説もある)という姿をしており、その体の色は黄色で、尾は赤い色をしている。この合窳の鳴き声は、人間の赤ん坊が泣く様な声で鳴く。合窳は、虫や蛇、そして人間を食べる獣である。この合窳が現れると天下が洪水に見舞われるという。

出典:
幻想類書
山海経動物記
神魔精妖名辞典
幻想動物の事典
プロメテウス
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)

作者ひとこと:
合窳のデザインは、大きく裂けた口を持つ人間の頭を持った豚の姿に描きました。

2020年10月24日土曜日

「当康」


当康(トウコウ)<當康、當庚>

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の東山経に記されている怪獣。当康は、東山の金や玉が豊富な欽山という山に生息している獣である。当康は、豚の様な姿の獣で、牙を持っている。その生えている牙が大きい所から「牙豚(ガトン)」という別名でも呼ばれている。別の説では、当康の姿は、豚に似た獣で、全身は青色二つの大きな耳を持ち、口の中には四本の長い牙を持ち、その四本の牙が、象の牙の様に外側を剥き出ている、とも言われている。また「当康」という名前は、この獣の鳴き声から名付けられたという(この獣が「トウコウ」と鳴く事から「トウコウ」という名が付いた訳である)。この当康が現れると天下が大豊作になるという。中国古代史の研究者である「伊藤清司(いとう せいじ)」は、当康の「康」が「」の字に通じ、これが元来は、実の熟した堅い籾を示していた事から、当康(必ず実る)と鳴いて出現するこの野生獣は豊作の招来者として歓迎されたのである」と述べている。

出典:
神魔精妖名辞典
[妖怪図鑑]新版TYZ
プロメテウス
和漢百魅缶
幻想類書
山海経動物記
幻想動物の事典

作者ひとこと:
当康のデザインは、当康が豊作をもたらす聖獣の様な獣なので、頭に冠を被り、手に笏を持った豊作の神の様な姿に描きました。

2020年10月23日金曜日

「大水獣」


大水獣(ダイスイジュウ)

中国に伝わる幻獣、怪獣または、中国で目撃されている未確認動物。大水獣は、湖北省の自然保護区である神農架林区内の、南坡新華郷石屋頭村と猫児観村付近の湖で目撃されている未確認動物である。大水獣は、灰白色の体と茶碗程の大きさの目を持った姿をしており、1mもある口から水を高々と噴き上げるという。そして、この大水獣が出現した後には、なぜか雨が良く降ると言われている。

出典:
本当にいる世界の「未知生物」案内(笠倉出版社)

作者ひとこと:
大水獣のデザインは、魚の様な、象の様な、マナティやジュゴンの様な姿の怪獣に描きました。

2020年10月22日木曜日

「棺材獣」


棺材獣(カンザイジュウ)

中国に伝わる幻獣、怪獣または、中国で目撃されている未確認動物。棺材獣は、湖北省の自然保護区である神農架林区で目撃されている未確認動物である。「棺材獣」という名前は、この動物の胴体が長方形である事から、棺桶に例えて命名された。棺材獣は、体長4m、黒い体に薄く毛が生え、頭には角が一本生えている。神農架林区では、1万年前に絶滅した「ケサイ(毛犀)」の化石が出土する事から、この棺材獣もケサイの生き残りではないか、とも言われている。

出典:
本当にいる世界の「未知生物」案内(笠倉出版社)

作者ひとこと:
棺材獣のデザインは、頭から大きな一本角が生えている、犬の様な、象の様な、犀の様な姿の怪獣に描きました。

2020年10月21日水曜日

「并封」


并封(ヘイホウ)<屏蓬>

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の海外西経や海外北経、大荒西経に記されている怪獣。海外西経によると、并封は、巫咸国(フカンコク)という国の東に生息している獣であるという。并封は、体の前後、両方ともに頭がある豚の様な姿(猪の様な姿をした獣、という説もある)をした獣で、その体の色は黒色であるという。山海経の注釈を書いた、中国六朝時代の東晋の学者、文学者である「郭璞(カクハク)」によると、この并封は、双頭蛇である「弩弦蛇(ドゲンダ)」という蛇と同じ類であるとされる。また、この并封は毒気を吐くとも言われる。

出典:
幻想類書
山海経動物記
幻想動物の事典
プロメテウス
ピクシブ百科事典

作者ひとこと:
并封のデザインは、上半身だけの豚が前後にくっついた様な姿の獣に描きました。

2020年10月20日火曜日

「聞𧲂」


聞𧲂(ブンリン)

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の中山経に記されている怪獣。聞𧲂は、中山の几山という山に生息している獣である。聞𧲂は、白い頭と白い尾を持ち、体が黄色い猪の様な姿(猪の子の様な姿をした獣、や、豚の様な姿をした獣、という説もある)をした獣である。この聞𧲂が現れると天下が暴風に見舞われるという。

出典:
幻想類書
山海経動物記
神魔精妖名辞典
幻想動物の事典

作者ひとこと:
聞𧲂のデザインは、暴風を引き起こす雲を身に纏った豚の様な姿の獣に描きました。

2020年10月19日月曜日

「山膏」


山膏(サンコウ)

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の中山経に記されている怪獣。山膏は、中山の苦山という山に生息している獣である。山膏は、豚の様な姿(「逐(チク。豚の仲間)」や、子豚の様な姿をした獣、という説もある)をした獣で、その体は、火の様に真っ赤な色をしている(山膏の体は、丹(ニ)の様に赤い色をしている、とも言われる)。この山膏は、人間を罵る事を好み、人間を見かけると見境なく罵る。

出典:
幻想類書
プロメテウス
和漢百魅缶
山海経動物記
神魔精妖名辞典(「山海経付表」のページ)

作者ひとこと:
山膏のデザインは、火の様な真っ赤な色の体を持っているという事から、火の様な鬐(タテガミ)を持った豚の姿に描きました。

2020年10月18日日曜日

「冶鳥」


冶鳥(ヤチョウ)<治鳥(ジチョウ)>

中国に伝わる怪物、幻獣、または怪鳥。冶鳥は、越(エツ。現在の浙江省の辺り)の山奥に生息している鳥である。この冶鳥は、鳩くらいの大きさで、青い羽毛を生やした鳥である(黒い羽毛の鳥である、という説もある)。冶鳥は、山奥の大木に穴を開けて巣としており、その大木の内部の巣は5、6升の器程の大きさがあったが、巣の出口は数寸程であった。冶鳥は、その巣の周囲を紅と白に塗る習性があり、紅白の両色が同じ間隔で配置され、それはまるで、矢の的の様であった。しかし、冶鳥の生息する、越の地の木樵は、この冶鳥の巣の木を見ると、避けて通った。この冶鳥は、昼は鳥の姿であるが、夜になると人間の姿になる。人間の姿の時、その身の丈は3尺程である。人間の姿の時の冶鳥は、谷川に下りて、谷川の水に潜り、蟹を捕まえる。そうして蟹を捕まえると、冶鳥は人間の側にやって来て、人間に、自分の捕らえた蟹を火で焼いてもらうのであった。また、この冶鳥は、虎を使役する事が出来た。

出典:
プロメテウス(第十二巻:捜神記を翻訳してみた」のページ)
幻想動物の事典
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)

作者ひとこと:
冶鳥のデザインは、冶鳥が虎を使役する事から、虎と鳥が合体した様な姿の怪鳥に描きました。

2020年10月17日土曜日

「怪哉」


怪哉(カイサイ)

中国に伝わる怪虫、または妖怪の一種。中国の南北朝時代、南朝斉から梁にかけての官僚である「殷芸(インゲイ、またはインウン)」が書いた「小説」によると、前漢の武帝が東方朔(トウホウサク)を伴って旅行に出かけた際、行く道の途中に、頭、目、牙、耳、鼻、歯が人間の様に揃って生えている姿の奇妙な虫が沢山いた。それを見た武帝が「怪哉(あやしかな)」と言ったので、この虫達にその名が付けられた。東方朔は武帝の問いに答えて、「これは秦の時代、始皇帝が厳しい法律で人々を縛ったので、罪を受けた者達の魂が虫に変化したものと考えられます」と言った。それに重ねて武帝が、「では、どうすればよいのか」と東方朔に尋ねると、東方朔は「古来から、酒を飲めば憂いを忘れると言います」と言って、虫達を酒の入った瓶に入れた。すると、虫達はみな、満足した様子で散り散りにその場を去って行った。後に、古地図を元に調べてみると、虫達の現れた場所は、秦の時代に牢獄があった場所であった、とある。

出典:
怖い話します(「否哉と裏表」のページ)

作者ひとこと:
怪哉のデザインは、怪哉が人間に良く似た頭を持った怪虫であるそうなので、人面から、ジンメンカメムシをモデルにした姿に描きました。

2020年10月16日金曜日

「蜮」


蜮(ヨク)

中国に伝わる怪物、妖怪、または怪虫の一種。蜮は、後漢の光武帝の時代に、長江や揚子江に出現した怪物である。蜮は、砂を口に含んで、それを人めがけて吹きかける。この蜮が吹きかけた砂に人が当たってしまうと、当たってしまった人の筋肉が引きつり、その後、頭痛と発熱の症状が現れ、ひどい時には、その様になった人は死んでしまう。この蜮は、常に長江や揚子江の水中にいる怪物で、人間が川岸の上や川の水上を通過すると、口に含んだ砂を、川岸や川の水上にいる人間の体若しくは、その人間の影めがけて吹きかける。蜮の吹きかけた砂を、体はもとより、影に当てられてしまっても、その人間は病気になってしまうという。この蜮の吹きかけた砂が命中した人間の10人中、6、7人は死んでしまったという。この蜮は、羽を持つ甲虫の様な姿をした怪物であるという。また別の説では、蜮は、三本脚を持った鼈に似た姿の怪物であるとも、三本脚を持った大亀の姿をした怪物であるとも言われている。この蜮は、長江や揚子江の水中で男女が水浴をした時に、そのまま水中で男女が戯れあった際の淫乱の気が怪物となったものであると言われている。ある人が、蜮を捕らえて、その蜮の体を引き裂いてみると、蜮の肉から石や砂が出てきたという。

出典:
幻想動物の事典
プロメテウス
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)

作者ひとこと:
蜮のデザインは、8本脚の虫の様な姿の怪物に描きました。

2020年10月15日木曜日

「蠪蛭」


蠪蛭(ロウシツ)<蚳(ロウチ、リョウチ)>

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の中山経に記されている怪獣。蠪蛭は、中山の、山上に赤銅が豊富にある昆吾之山という山に生息している獣である。蠪蛭は、豚の様な姿(猪の子の様な姿、という説もある)をした獣で、頭には角が生えている。この蠪蛭の鳴き声は、大声で叫ぶ様に鳴くという(蠪蛭の鳴き声は、人が大泣きしている時の様な声、という説もある)。この蠪蛭を食べると目が霞まなくなったり、塵などが目に入って、目が見えなくなるという事がなくなるという(蠪蛭の肉を食べると、悪夢を見る事がなくなる、という説もある)。

出典:
幻想類書
プロメテウス
山海経動物記
神魔精妖名辞典(「山海経付表」のページ)

作者ひとこと:
蠪蛭のデザインは、頭から角が生えている豚の様な姿に描きました。

2020年10月14日水曜日

「狪狪」


狪狪(トウトウ)

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の東山経に記されている怪獣。狪狪は、東山の、頂上に玉が多く、麓に金が多い泰山という山に生息している獣である(泰山とは、現在の山東省の泰山のことと思われる)。狪狪は、豚の様な姿をした獣で、珠を持っている(狪狪の体内に珠があるという説もある)。また「狪狪」という名前は、この獣の鳴き声から名付けられたという(この獣が「トウトウ」と鳴く事から「トウトウ」という名が付いた訳である)。

出典:
幻想類書
プロメテウス
幻想動物の事典
山海経動物記
神魔精妖名辞典(「山海経付表」のページ)

作者ひとこと:
狪狪のデザインは、蹄のある手に珠を持ち、体にも珠が沢山付いている豚の様な姿の怪獣に描きました。

2020年10月13日火曜日

「蠕蛇」


蠕蛇(ゼンダ)

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の海内経に記されている怪蛇。蠕蛇は、木の上に住んでいる蛇で、この蠕蛇は体が赤い色をした蛇の姿をしている。この蠕蛇は「木食する」とあるが、この木食とは、五穀を絶って木の実だけを食べ続ける修行の事だが、その木食をする蠕蛇とは、この蛇が肉食ではなく、木の実など、植物質のものばかりを食べる蛇であるという事を言いたいのだろう。

出典:
山海経動物記
神様コレクション
よくわかる「世界のドラゴン」事典(廣済堂出版)

作者ひとこと:
蠕蛇のデザインは、頭に一本角の様な触角の様なものを付け、尾が四又に分かれている蛇の姿に描きました。

2020年10月12日月曜日

「𧌁䗤」


𧌁䗤(ジョウヨウ)

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の東山経に記されている怪蛇。𧌁䗤は、東山の独山(獨山とも)を流れて漢江に注ぐ、末塗水という川に多く生息している蛇である。𧌁䗤は、魚のヒレを持った蛇の様な姿をしており、この𧌁䗤の体色は黄色であった。この𧌁䗤は、川などの水中から出入りする際に、眩しい光を放つという。この𧌁䗤が国に現れると、その国は大旱魃に見舞われるという。

出典:
神魔精妖名辞典
幻想類書
山海経動物記
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)
よくわかる「世界のドラゴン」事典(廣済堂出版)

作者ひとこと:
𧌁䗤のデザインは、魚のヒレを持った蛇の姿に描きました。水中にいる事から、尾鰭も付けて、ウナギの姿もイメージしています。

2020年10月11日日曜日

「鬼弾」


鬼弾(キダン)

中国に伝わる怪物、妖怪の一種。鬼弾は、益州(現在の四川盆地と漢中盆地一帯を指す)の永昌郡(現在の雲南省西部)の不韋県を流れる禁水という川の中に棲んでいる妖怪。この禁水という川の水には毒気があり、禁水を渡った人は、この川の水の毒気に当たり必ず病気になって死んでしまうという。しかし、11月~12月の2カ月間だけは、どうやら川の水の毒気が薄れるらしく、この間だけは、禁水を渡っても病気になって死ぬ事はない。この禁水の水中に鬼弾がいて、この妖怪は声らしきものを発するものの、一切姿が見えず、全く正体の分からない化け物であるという。この鬼弾は、水中から、川を渡ろうとする人や、川の近くにいる人をめがけて、何かをぶつけてくる。これが木に当たると木はへし折れ、人に当たれば、当たった人は大怪我をする。ひどい時には、これに当たった人は青く爛れて死んでしまうという。この鬼弾の害がある為に、永昌郡では護岸工事などの工事を禁水で行う時には、罪人達を引き連れて来て、罪人達を人夫として使い、護岸工事などの工事をした。しかし、この様にして護岸工事をしても、10日と持たずに全ての人夫達は鬼弾にやられて死んでしまい全滅したという。この禁水の護岸工事をさせた罪人達の中で、10日以上生きた罪人はいないという。

出典:
真・漢楚軍談
幻想動物の事典
怪異・妖怪伝承データベース
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)

作者ひとこと:
鬼弾のデザインは、「鬼弾」という名前から、水中に棲む鬼の様な姿の妖怪を想像し、四つの目を持った鬼の様な姿の妖怪に描きました。

2020年10月10日土曜日

「呑口」


呑口(ドンコウ)

中国に伝わる怪物、妖怪の一種。呑口は、四川省に現れる水の妖怪である。呑口は、一つ目、一本足の姿をしていて、その姿は、人間の膝から下だけの足の部分と、人間でいうと丁度、膝にあたる部分に一つ目と大きな口を持った頭が付いた、頭とその下から直接、一本足が生えている姿をしているという。呑口は、河に棲んでいる妖怪で、一本足でピョンピョンと跳ねながら、大きな口で人間を襲うという。また、河の近くを通り掛かった人間を河に引きずり込んで喰ってしまうのだという。

出典:
Gs Laboratry(「悪魔召喚研究所」内の「真・女神転生悪魔事典」のページ)
神様コレクション
イラストレーターテンゴク

作者ひとこと:
呑口のデザインは、飛び出た一つ目と牙の沢山生えた口を持った頭と、その下から一本足の生えた姿の妖怪に描きました。

2020年10月9日金曜日

「肥𧔥」


肥𧔥(ヒイ)

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の西山経に記されている怪蛇。肥𧔥は、西方にある鳥獣のいない山、太華山に生息している蛇である。また肥𧔥は、英山という山にも生息しているという。肥𧔥は、六本の脚と四つの翼を持った蛇の姿をしている。この肥𧔥が現れると天下が大旱魃に見舞われるという。

出典:
神魔精妖名辞典
幻想動物の事典
幻想類書
山海経動物記
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)

作者ひとこと:
肥𧔥のデザインは、六本の脚と四つの翼を持った蛇の姿に描きました。

2020年10月8日木曜日

「肥遺」


肥遺(ヒイ)

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の北山経に記されている怪蛇。肥遺は、北方にある草木の生えない荒涼とした山、渾夕山に生息している蛇である。肥遺は、一つの頭と首に二つの体と尾を持った蛇の姿をしている。この肥遺が国に現れると、その国は大旱魃に見舞われるという。

出典:
神魔精妖名辞典
幻想動物の事典
幻想類書
山海経動物記
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)
よくわかる「世界のドラゴン」事典(廣済堂出版)

作者ひとこと:
肥遺のデザインは、一つの頭と首、二つの体と尾を持った蛇の姿に描きました。

2020年10月7日水曜日

「鳴蛇」


鳴蛇(メイダ)

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の中山経に記されている怪蛇。鳴蛇は、中山の鮮山を流れ、河南省の伊水に注ぐ鮮水という川の水中に多く生息している蛇である。或いは、鳴蛇は、帝囷山を流れる帝囷水という川の水中に多く生息している蛇であるとも言われている。鳴蛇は、四つの翼を持った蛇の姿をしており、この鳴蛇の鳴き声は磬(ケイ。「へ」の字形をした石(または玉、銅)製の板を吊り下げて、それをバチで叩いて音を出す、古代中国の楽器)の音の様な鳴き声で鳴くという(鳴蛇の鳴き声は、巨岩が転がり落ちる様な音の鳴き声である、という説もある)。この鳴蛇が国に現れると、その国は大旱魃に見舞われるという。

出典:
神魔精妖名辞典
幻想動物の事典
幻想類書
山海経動物記
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)
よくわかる「世界のドラゴン」事典(廣済堂出版)

作者ひとこと:
鳴蛇のデザインは、頭に触角の様な飾り羽を生やし、トンボやカゲロウの様な羽を生やした怪蛇の姿に描きました。

2020年10月6日火曜日

「鸞」


鸞(ラン)

中国に伝わる幻獣、または霊鳥の一種。鸞は、神霊の精が鳥と化したものであるとされている。この鸞は、善良な為政者が徳を以て世を治めた時にのみ姿を現すという。この霊鳥の雄を「鸞(ラン)」といい、雌を「和(ワ)」というとされる。この鸞の姿は、鳳凰に似ているといい、五色の羽を持った美しい鳥であるという。見分け方としては、体色に赤色の多いものが鳳凰で、体色に青色の多いものが鸞であるという。また鸞は、五音を含む鳴き声を発するという。別の説では、鸞の姿形は雉をより豪奢にしたようで、青っぽい羽毛を持ち、鳴き声は鶴に似ているという。鸞と鳳凰は似ているとされるが、この鸞と鳳凰との関係も様々に伝えられている。鸞は鳳凰に次ぐものであるとされ、鸞は鳳凰を助けて支えると言われている。また鸞は鳳凰の仲間の霊鳥であるとされていたり、鳳凰が歳を経ると鸞になるとも、鳳凰から鸞が生まれ、鸞が諸鳥(様々な鳥)を生んだという話もある。鸞は瓊樹(ケイジュ。玉のように美しい樹。玉樹)の上に住むという。その鸞の雛は醜いという。親鳥は大変美しく煌びやかな姿をしているが、その美しい姿の親鳥を雛が見ても、雛は自分の親とは思わず、かえってその派手な姿で雛は怖がってしまうという。怖がっている雛は親鳥が餌を持って来ても、その餌を口移しで食べようとしないという。その為、親鳥はあえて自分の体を泥で汚して、自らの姿を雛に似せ、それから雛に餌を与えるという。また鸞の血は、非常に粘りが強く、膠の代用品として、弓や琴の弦の接着に最適であるという。

出典:
Wikipedia
ピクシブ百科事典
ひみずなく
図説 妖怪辞典(幻冬舎)

作者ひとこと:
鸞のデザインは、鳳凰の様な、孔雀の様な、鶴の様な姿をした霊鳥に描きました。

2020年10月5日月曜日

「双睛」


双睛(ソウセイ)

中国に伝わる幻獣、または霊鳥の一種。双睛は、古代中国の神話伝説時代の5人の帝王「五帝(ゴテイ)」の内の一人であるともされている「堯(ギョウ)」が在位70年の時、その在位70年を記念して、堯の元へ献上された霊鳥であるという。双睛は別名を「重明の鳥(チョウメイノトリ)」といい、両方の名前の「双」と「重」は、どちらも「2」という意味で、「睛」と「明」のどちらも「瞳」という意味である。何故このような名前が付けられたかというと、双睛の目の中には瞳が二つあることから、この名前が付けられたのである。双睛は鶏に似た姿の鳥で、この鳥の鳴き声は、鳳凰の鳴き声に似ているという。また、双睛は、羽毛が抜け落ちても、羽根の無い翼で空を飛ぶという。この双睛は、邪悪を払う力を持ち、虎や狼などの猛獣を追い払い、様々な災害や様々な悪を防ぐ能力を持っているという。双睛は滅多に現れない霊鳥であるが、その性格はきまぐれで、1年の内に数回現れる事もあれば、数年の間、全く姿を見せない事もあったという。しかし双睛は邪悪を払ったり、災いを防ぐ霊鳥である為、人々は双睛が巣を作ってくれる事を願い、家の前を掃ききよめたり、門や戸を洗ったりして綺麗にしていたという。また、双睛が現れない時には、木や金を使って双睛の像を作って門や戸に置いておくと、それだけで魑魅魍魎や様々な妖怪も自然に退散してしまうという。

出典:
Wikipedia
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)

作者ひとこと:
双睛のデザインは、目の中に瞳が二つある鶏の様な姿の霊鳥に描きました。

2020年10月4日日曜日

「䖪鼠」


䖪鼠(シソ)

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の東山経に記されている怪鳥。䖪鼠は、東山の栒状山という山に生息している鳥である。䖪鼠の姿は、鶏の様な鳥だが、体の毛は鳥の羽毛ではなく鼠の毛の様だという。また、雉の様な鳥だが、体の毛は鳥の羽毛ではなく鼠の毛の様である、という説もある。また、鶏の様な鳥だが、鼠の様な尾を持っている、という説もある。この䖪鼠が国に現れると、その国は大旱魃に見舞われるという。

出典:
神魔精妖名辞典
幻想動物の事典
幻想類書
プロメテウス(「山海経を読もう! No.4 五蔵山経東山経編」のページ)
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)

作者ひとこと:
䖪鼠のデザインは、鼠の尾を生やした、鶏の様な姿の怪鳥に描きました。

2020年10月3日土曜日

「鴸」


鴸(シュ)

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の南山経に記されている怪鳥。鴸は、南山の柜山という山に生息している鳥である。鴸は、人間の頭と鳶に似た鳥の体を持った姿をしている。また、鳶の様な鳥で、人間の手の様な脚を持った姿をしているという説もある。また「鴸」という名前は、この鳥の鳴き声から名付けられたという(この鳥が「シュ、シュ」と鳴く事から「鴸」という名が付いた訳である)。この鴸が現れると、特別な理由もないのに国外追放にされる人が増えるという。

出典:
神魔精妖名辞典
幻想動物の事典
幻想類書
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)

作者ひとこと:
鴸のデザインは、冠を被った人間の頭と鳶に似た鳥の体を持った怪鳥の姿に描きました。

2020年10月2日金曜日

「貔貅」


貔貅(ヒキュウ)<豼貅>

中国の神話や伝説に登場する幻獣または霊獣。貔貅は猛獣であり、その性格は荒々しいという。その為、「貔貅」という語は勇ましい兵士や将兵を指す言葉としても使われた。貔貅は、貔と貅で分けられ、「貔」が雄で、「貅」が雌であるという。貔貅は虎や豹の類の動物であると考えられており、その姿は豹や虎に似た頭を持った獣であるとされている。前漢時代の歴史家「司馬遷(シバセン)」によって編纂された中国の歴史書「史記」の、古代中国の神話伝説時代の5人の帝王「五帝(ゴテイ)」について書かれている。「五帝本紀」には、後に五帝の最初の帝「黄帝(コウテイ)」となる「軒轅(ケンエン)」が、「三皇(サンコウ)」と呼ばれる三人の神の一人「神農(シンノウ)」の子孫「炎帝(エンテイ)榆罔(ユモウ)」と争った戦い「阪泉の戦い」に臨む前に、軒轅は、自分達の軍備と国力を増した。政策の中の一つとして、自らの側の兵士とする為に、熊、羆、虎、貙(チュウ。虎に似た猛獣)、貔、貅の6種の猛獣を飼い馴らし、戦いを教えて調教し、自らの軍に加えたと記されている。また、三国時代など古代中国では、貔貅は荒々しい性質で相手を恐れ怯ませた猛獣であるとして、戦旗に貔貅の意匠が好んで用いる事が多かったという。また、その貔貅の荒々しく、相手を恐れ怯ませる性質は、邪悪を退ける力があると考えられていき、いつしか、貔貅は邪を退け、悪霊を祓う破邪の瑞獣、霊獣と考えられるようになった。後代になると、貔貅は風水、道教に取り入れられ、その性質は邪を退ける霊獣から、財運などの幸福を司る瑞獣、または財神とされていった。姿形も風水や道教に取り入れられて、それらの影響を受けて変化していった。時に貔貅は、龍の頭、馬の体、麒麟の脚を持った姿をしており、天空を飛び回って、天上を巡視しており、妖魔や疫病、魔物などを祓う役目を持っているとされた。貔貅は、虎や豹に似た頭と胴体を持ち、首は龍に似ているともいう。その虎や豹に似た頭部からは一本角が生えており、その角は前ではなく後ろ向きに伸びている。更に肩からは一対の翼が生えている、という外見をしているともされている。この貔貅は四方の財を招き集める力や、幸運をもたらす力、禍を福に転じる力を持っているという。また貔貅は金、銀、数々の財宝を常食としており、飲み込んだ金銀、玉に応じて体色が変化するという。しかも貔貅には尻の穴が無く、金銀財宝を食べても、排泄する事は無く、体内に金銀財宝が貯め込まれていく。そこから、蓄えた富を逃がさない蓄財の瑞獣とされている。また貔貅は、よく眠る動物であり、貔貅の主となった者は「牛鈴」という貔貅を起こす為の鈴を鳴らし、度々その眠りを覚まさなくてはならないという。そうする事で起きた貔貅は、居眠りをせずに主の為に招財を行うという。風水において貔貅は、「四霊(シレイ)」という霊妙な4種の瑞獣、麒麟(キリン)・鳳凰(ホウオウ)・応龍(オウリュウ)・霊亀(レイキ)にならぶ瑞獣として扱われている。

出典:
Wikipedia
プロメテウス
ひみずなく

作者ひとこと:
貔貅のデザインは、一本角と翼を持った獅子の様な姿の幻獣に描きました。

2020年10月1日木曜日

「不化骨」


不化骨(フカコツ)

中国に伝わる妖怪、または怪異。不化骨は、土葬されて地中に葬られた死体が、大地の精気を吸って変化してなるものであるとされる。不化骨は、その死体の人間が生前に、体の中で最もよく使っていた部分の骨の中の一部分が、他の肉体の部分が朽ちてしまった後でも、大地の精気を吸い続けて朽ち果てる事が無くなり、変化したものである。その様にして骨から変化してなる不化骨というものは、黒い玉の様な形をしているという。例えば、生前、銀細工師の様に指先を使う職人であった人の死体であれば、その指の骨が不化骨に変化するという。この不化骨は、生きている人を祟る能力を持っているという。

出典:
フランボワイヤン・ワールド
幻想世界の住人たちⅢ<中国編>(新紀元社)

作者ひとこと:
不化骨のデザインは、睨みつける目が中に見える玉の様な姿に描きました。祟る力を持っているのを表す為、玉の周りに邪気をイメージした点描を描きました。