自己紹介

このブログでは、僕が描いた神話や伝説などに関する絵や、その絵の解説を載せています。
(イラスト、記事の執筆:マゴラカ、ワンタ) ※2024年度より、月・水・金曜日の21時に更新していきます。

2025年2月5日水曜日

「陰摩羅鬼」


陰摩羅鬼(オンモラキ)


中国や日本に伝わる怪鳥。この陰摩羅鬼は、漢訳仏典を総集した「大蔵経」にその名があるとして紹介される怪鳥である。林羅山による怪異小説集「怪談全書」には、中国宋代、廉布の「清尊録」にあるものを訳した「陰摩羅鬼」の話が収録されている。宋の時代、鄭州の崔嗣復(さいしふく)という人が、都の外にある寺の法堂の上で休息し、やがて眠りに落ちた。法堂の上で寝ていると、崔は、何者かが自分を叱りつける声で目が覚めた。驚いて起き上がってみると、そこにいたのは、鶴の様な形の鳥で、色は黒く、眼を灯火の様に光らせ、羽を振るい、高く荒々しい鳴き声を発していた。崔が恐れをなして廊下へ逃げ出すと、その怪鳥は姿を消してしまった。翌朝、そのことを寺の僧に話すと、僧は「ここにそのような化物はおりません。しかし、十日ほど前にここへ運ばれた死体を仮に納め置いたものがあります。もしかするとそれかもしれません」と答えた。崔が都に帰ってから、開宝寺の沙門にこのことを話すと、沙門は「『蔵経』の中に、まだ新しい屍の気が変じてこのようになり、これを陰摩羅鬼と名付けるとある」と言ったという。鳥山石燕はこれを参照し、「今昔画図続百鬼」に陰摩羅鬼を描き、「蔵経の中に、『初て新なる屍の気変じて陰摩羅鬼となる』と云へり。『そのかたち鶴の如くして、色くろく目の光ともしびのごとく羽をふるひて鳴声たかし』と『清尊録』にあり」という説明を添えている。鳥山石燕が描いた陰摩羅鬼は仏具の磬子(けいす。大型の鉢の形をした銅製の鳴物)に留まり、口から火のようなものを吐き出している姿である。

出典:
日本妖怪大事典(角川書店)
【妖怪図鑑】新版TYZ

作者ひとこと:
陰摩羅鬼のデザインは、大きな眼のある頭と、真っ黒な身体を持った怪鳥の姿に描きました。

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