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2019年10月31日木曜日
2019年10月30日水曜日
「トゥナ・ロア」
トゥナ・ロア<トゥナ>
ニュージーランドの先住民であるマオリ族をはじめとしたポリネシアの神話に登場する鰻の化身、または鰻の神。トゥナ・ロアは人間の姿に変身する事が出来、雷鳴や大波を自在に操る事も出来る。ある言い伝えによると、神であり英雄でもある「マウイ」の妻が水中で身体を洗っていると「嫌に肌がすべすべした男」が近付いて来て、彼女にいかがわしい行為を働いた。後になって、この怪しい男の話を妻から聞いたマウイは、この怪しい男が鰻の神であるトゥナ・ロアが変身した者である事を知り、トゥナ・ロアを退治した。また別の伝承では、トゥナ・ロアは美しい人間の娘である「ヒナ」(時には女神であるともされる)に恋をし、人間の男の姿に変身して彼女の元へと毎日現れたが、やがてヒナを取り合ってマウイと戦った。マウイとの戦いにおいて、トゥナ・ロアは大波を起こしてマウイを攻撃したが、最後はマウイによって倒された。いずれの伝承にも共通するのは、トゥナ・ロアは最後マウイによって首を刎ねられ、その頭を地面に埋められる。するとトゥナ・ロアの頭を埋めた所からココヤシの木が生えてきたという事である。
出典:
Wikipedia
世界の「神獣・モンスター」がよくわかる本(PHP文庫)
作者ひとこと:
トゥナ・ロアのデザインは、鰻と人間が合わさった怪人の様な姿に描きました。
2019年10月29日火曜日
「テ・ツナ」
テ・ツナ
タヒチやフランス領ポリネシアのソシエテ諸島、ポリネシアのクック諸島の伝承と信仰、神話に登場する海に棲んでいる怪物の一種。テ・ツナは海に棲んでいる巨大なウナギの様な姿の怪物である。クック諸島に伝わる神話では、昔、マンガイア島に「ヒナ」という名前の少女が住んでいた。島の切り立った崖の下には泉があって、その泉の水はとても暖かくて、良い香りがした。この泉はヒナ以外の人々には知られていなかったので、ヒナは毎日、人知れずこの泉で水浴びをするのを日課としていた。この泉には沢山のウナギが住んでいて、ある日ヒナが泉でいつもの様に水浴びをしていると、泉にいるウナギ達の中でも一番大きな、巨大ウナギがヒナに近寄って来て、ヒナの身体に纏わり付いて、彼女の身体をこする様に動き回った。これはヒナにはとても気持ちが良かったので、それから毎日この巨大ウナギのしたいようにさせておいた。いつもの様に泉に水浴びをしに、ヒナは太陽も昇りきっていない早朝から泉に行くと、あの巨大ウナギが、ハンサムな若い男に変身し、自らを「ツナ」という名のウナギの神であると名乗り、ヒナが美人なので、ツナはこの泉から去って、ヒナと一緒に暮らしたいと、ヒナに申し出た。それを了承したヒナはツナと共に家に帰って来て、恋人同士として仲睦まじく暮らした。しかし、ツナは時々、元の巨大ウナギに戻ってしまう為、ヒナは恋人であるツナの事を誰にも秘密にしていた。やがて時が経ち、ある日ツナは突然、ヒナの元を去らなくてはいけなくなった事を伝えた。その事を聞いたヒナは別れがたく、大いに悲しんだ。悲しむヒナにツナは悲しんではならないと言い、実は今夜この島に大雨が降り、洪水が起こって島全体が海に沈んでしまう、という事を伝えた。驚くヒナに話を続けて、洪水になった時にツナがヒナの元に会いに来る事を伝え、それまでは水が入って来ても決して逃げずに待っていて欲しいと伝えた。更にツナが到着すると、そこで首を突き出すから、ヒナはツナの首を斧で切り落とし、その首を持って水をかき分けて山を登り、水の来ない所まで辿り着いたら、そこに首を埋め、そして毎日埋めた跡がどうなっているか確かめて欲しいと伝えた。そう言い終えたツナは、ヒナの前から姿を消してしまった。その夜、ツナの言う通りに大雨が降り始め、水かさも増していき、朝になる頃には辺り一面水没し、ヒナの喉の辺りまで水かさが増していた。ヒナはそれでも、ツナの言い付けを守って、ツナが来るのを待っていた。すると戸口に巨大ウナギがやって来た。ヒナは夢中で斧を掴むと、巨大ウナギの頭を切り落とし、その頭を抱いたまま、山上へと向かい、そこに丁寧にその頭を埋めた。頭を埋めると大雨は止み、水も引いていった。それから毎日、ヒナはツナの頭を埋めた場所に通った。しばらくすると、そこから一本の緑の芽が出て来た。翌日にはもう一本の芽が生えてきて、互いにゆっくりと育っていき、真っ直ぐに何処までも伸びていった。ヒナもこの時、身籠っており、やがて産まれた子供はすくすくと育ち、ツナの頭を埋めた所から生えた芽も木に変わっていて、子供はその木に登って実った実を採って来た。この木がココナツの始まりで、ツナの所から生えた二種類のココナツからはジュースが採れたり、白い果実が採れた。またそのココナツの白い果実は「テ・ロロ・オテ・ツナ(ツナの脳みそ)」と呼ばれた。
出典:
神魔精妖名辞典
ハワイの神話と伝説
世界の怪物・神獣事典(原書房)
作者ひとこと:
テ・ツナのデザインは、巨大ウナギの姿に描きました。神話にちなんで、斧に巻き付いています。
2019年10月28日月曜日
「チーローニア」
チーローニア
オーストラリアの先住民であるアボリジニの伝説に登場する、人間を貪り食う恐るべき怪物。チーローニアは犬の頭と人間の体を持った獣人の姿をしており、この怪物の腕は地面に引きずる程長い。首の皮はたるんでおり、たるんでいる皮が腹まで垂れ下がっている。いつもチーローニアはナラボー平原で人間を狩っては貪り食っていた。ある深刻な旱魃の時、人々は水を求めて、この辺りで唯一の水場に集まっていると、そこに雄のチーローニアが現れた。チーローニアを見て震え上がっている人々を尻目に、この怪物は屈んで水を飲み始めた。しかし大量に水を飲んだせいで嘔吐した。チーローニアが口から吐き出したのは、この辺りで行方不明になっていた人々の頭蓋骨や骨の残骸だった。チーローニアは周りで見ていた人々を睨みつけ、「今見た事を他で話したら生かしておけぬ」と言い放つと、茫然と立ち尽くす人々を残して水場から立ち去った。その晩、人々はこの人食い怪物から家族を守る為には何が出来るかを相談した。そして、この状況を救えるのは呪医である「ウィンジャーニング兄弟」をおいて他にいないという結論になり、さっそく兄弟は呼ばれて、人々からこの辺りの部族を守ってほしいと依頼された。それからウィンジャーニング兄弟の指示の元、人々は枝を集めて、集まった枝は水場に2列に積み上げられた。その後、人々は水場近くの岩陰に隠れ、戦士達は積み上げられた枝の山の背後に隠れて身構えた。夜が明け始める頃、チーローニアの群れが藪を抜けて、この水場に向かって来た先頭のチーローニアは水場近くの積み上げられた枝の山付近に来た瞬間に、ウィンジャーニング兄弟の一人が投げたブーメランによって、首を刎ねられた。続くチーローニア達もブーメランによって全て頭を刎ねられた。チーローニアを全て倒すと、倒されたチーローニアの尻尾が切り取られ、尻尾は枝の山に並べられた外から見ると、あたかもチーローニア達が獲物を追い詰めているかの様に見せたのである。間もなく、残っていたチーローニアが獲物を探して、この水場にやって来たが、積み上げられた枝の山の辺りに来た途端、隠れていた人々の棍棒はこの怪物の頭蓋骨を打ち砕いた。このチーローニアが死んだ後、今度はこのチーローニアの妻である雌のチーローニアがやって来た。しかしこのチーローニアも隠れていた戦士達によって体を切り裂かれた。こうしてチーローニア達は皆殺しにされたが、雌のチーローニアは事切れる前に子供を産んで、この子供が母親の腹から出て来た。しかし人々はこの子供を見逃してしまった。この子供は怪物蛇に変身して茂みの中へと這っていった。チーローニアはいなくなったが、今度はこの怪物蛇が人間を食べる様になった。
出典:
神魔精妖名辞典
世界の怪物・神獣事典(原書房)
作者ひとこと:
チーローニアのデザインは、犬頭の怪人の姿に描きました。
2019年10月27日日曜日
2019年10月26日土曜日
2019年10月25日金曜日
「トゥム=ライ=フエナ」
2019年10月24日木曜日
「デュアー」
デュアー
パプアニューギニアに伝わる幻獣、または未確認動物。デュアーは翼竜の様な姿をしており、翼長は7m程で、口の中に歯は持っておらず、頭部(後頭部)が後ろにせり出している、プテラノドンを彷彿とさせる姿をしている。デュアーが主食としているのは専ら魚であり、普段は海に出て獲物を捕らえている。しかしデュアーは非常に攻撃的な性質を持ち合わせており、デュアーに襲われて死者も出ている。デュアーは腹部に発光器官を備えており、夜間は輝きながら上空を飛行する。
出典:
UMAファン~未確認動物
本当にいる世界の「未知生物」案内(笠倉出版社)
作者ひとこと:
デュアーのデザインは、腹部に発光器官があるプテラノドンの様な翼竜の姿に描きました。
2019年10月23日水曜日
2019年10月22日火曜日
「ナトマテ」
ナトマテ
南太平洋のバヌアツ共和国にあるニューヘブリディーズ諸島のファテ島に伝わる死霊。人間は死ぬと死霊であるナトマテとなって、あの世である「アボカス」に行くが、アボカスへは日没になるまで行けない為、人々は死んだ者の葬儀を夕刻に行う。葬儀を終えたナトマテは、トゥキトゥキの砂浜の近くに生えている一本の大木の上に止まる。すると海から「タファトケイ」という者が現れ、大波でナトマテを攫って行く。タファトケイによって大波で攫われたナトマテは、アボカスの入り口に辿り着いており、そこで「サラ・タウ」という神によって尋問される。この尋問で何も問題がなければ、ナトマテはアボカスに行く事を許される、アボカスは6~7層よりなっており、ナトマテは一つの層で死んでは一つ下の層へ行き、また死んでと繰り返し下の層へと下がって行く。最終層に辿り着いたナトマテは無に帰るとか、蛇や鼠になるとか言われている。
出典:
幻想動物の事典
作者ひとこと:
ナトマテのデザインは、蛇の尾を持った土偶をモチーフにした人型の姿に描きました。
2019年10月21日月曜日
2019年10月20日日曜日
「ニオノ」
ニオノ
パプアニューギニア領のビスマルク諸島にあるニューブリテン島に伝わる死霊、霊魂であるニオノは普段は人間の体内にあるが、その人間が寝ていたり、気が遠くなった時に体外に出る。人間が病気に罹るのは、その人間のニオノが体内から離脱した事によって起こる。また人間が死ぬと、その人間のニオノは体外に出る。死んだ人間のニオノは体外に出ると、霊魂の国である「マタナ・ニオン」に行く。生前貧しかった人間のニオノは「ヤクピラ」と呼ばれる所に行く。この様なあの世に関しては、この世で臆病な者は、あの世に行くと勇敢になるという伝承もある。また、この世に現れた霊魂(ニオノ)はカブトガニの形で病人の周囲をうろつく事がある。
出典:
幻想動物の事典
作者ひとこと:
ニオノのデザインは、カブトガニの姿で描きました。
2019年10月19日土曜日
2019年10月18日金曜日
2019年10月17日木曜日
「ツイ・デライ・ガウ」
2019年10月16日水曜日
「タウゴウ」
タウゴウ
パプアニューギニアのビスマルク諸島にあるニューアイルランド島(ニューメクレンブルグ島)に伝わる死者の霊で、地中に埋葬された死者の霊が、このタウゴウになる。タウゴウの姿は、昼間には生きている人間の目には見えないが、夜になると火花や灯火といった怪火の姿で現れる。生前男性だったタウゴウは生きている女性に、生前女性だったタウゴウは生きている人間の男性に忍び寄って追い掛けるが、タウゴウは病気や苦しみ、不幸や死をもたらす存在である為、タウゴウが近づいて来ると人間は彼等から逃げる。
出典:
幻想動物の事典
幻想世界神話辞典
作者ひとこと:
タウゴウのデザインは、顔が浮き上がった火の玉の様な姿に描きました。
2019年10月15日火曜日
2019年10月14日月曜日
「サルディド・ジンボ」
サルディド・ジンボ
オーストラリアの先住民であるアボリジニに伝わる人食い巨人で、サルディド・ジンボは好物の人間を食べる為に追跡する。天地創造の時代「ドリームタイム」に、サルディド・ジンボは、ある日「ママルバリー」という男がカンガルーを巧妙に追跡して殺し、キャンプにいる二人の妻の元へ持ち帰ろうとしているのを物陰からじっと見ていた。ママルベリーが今まさに獲物のカンガルーを肩に担いで、二人の妻のいるキャンプに帰ろうとしている時に、サルディド・ジンボがママルベリーの前に立ちはだかり、ママルベリーに獲った獲物を見せてくれと言った。ママルベリーはこの言葉に少しも疑いもせず、この巨人に獲物を見せようと屈んだところ、巨人は彼の頭を噛みちぎり、更に手足をもぎ取って、夕食用にと、その手足を料理した。サルディド・ジンボは料理した手足をすっかり食べ終えると、ママルベリーの残りの体を持って、ママルベリーの足跡を辿って、彼の待つ二人の妻のいるキャンプへとやって来た。キャンプにやって来たサルディド・ジンボはママルベリーの二人の妻の前に、ママルベリーの頭と胴体を地面に放り投げ、この頭と胴体を料理して食事を作るようにと言った。二人の妻は驚いたが、日頃からママルベリーは二人の妻に、常に頭を働かせるようにと教えていたので二人の妻は夫が殺されて死んだ悲嘆を抑えて巨人の前では何でもない風を装った。そして巨人に言われた通りに食事を作っているふりをしながら、計略を立てた。妻達は、自分達は人間の肉を食べても美味しいとは思わないので大きくて勇敢な貴方に獲って来て欲しい特別な物がある、とサルディド・ジンボに言った。二人の女性にこう言われ、舞い上がったサルディド・ジンボは愛用の棍棒を手に、彼女達が汁気たっぷりのディンゴの雌がいると教えた洞窟に入っていった。洞窟に入っていった巨人を見た二人の妻は洞窟の突き当たりに雌のディンゴがいるので、奥まで進むようにと巨人にけしかけた。その一方で大急ぎで二人の妻は、火の点きやすい低木を集めて、その低木を洞窟の入り口の天井に届くほど積み上げて、その低木に火を点けた。まもなく風によって濃い煙と炎が洞窟に充満し、サルディド・ジンボは洞窟から出ようにも出れなくなった。焦った巨人は燃え上がる炎を飛び越そうとしたが、背の高い巨人である為に、飛び上がった時に頭を洞窟の岩の天井に強く打ち付けて気を失い、燃え上がる炎の真上に落ちて、遂にサルディド・ジンボは焼け死んだ。巨人が死んだのを見届けた二人の妻は、巨人によって切り刻まれた愛する夫の亡骸を葬りながら涙にむせんだ。愛する夫を失った二人の妻の悲しみはあまりにも深く、食事をとる事も、埋葬した場所に夫を残して立ち去る事も出来なかった。二人の妻の父親は偉大な呪術師であり、妻達は父親が此処に来てくれる様にと狼煙(ノロシ)を上げた。狼煙を見て、到着した父親は娘達から娘達の夫が死んだ顛末を聞いて悲しみながらも、死んで光を纏っている人間を生き返らせる権利は誰にも無いのだと娘達に言った。しかし娘達の悲しみがあまりにも深いのを見た父親は娘達に、もし、そこまで夫を愛していて夫と結婚したままでいたいと願うのなら、今の姿を捨ててでも夫と一緒にいたいかと尋ねた。娘達はその言葉を承諾した。父親は娘達の決心がそこまで固いのを知り、愛する娘達を前に大きな悲しみの中、最後に娘達を抱きしめてから、娘達に儀式を執り行い、呪文の詠唱を始めた。間もなく、金色の光に包まれたママルベリーの姿が彼等の前に現れた。ママルベリーは妻達の父親に祝福を与えると、二人の妻の手を優しく取った。すると二人の妻達も金色の光に包まれた。金色の光に包まれた三人は去って行った。父親は一人、ママルベリーの亡骸と娘達の体の方に向かい、それらを埋葬した。
出典:
世界の怪物・神獣事典(原書房)
作者ひとこと:
サルディド・ジンボのデザインは、四つの目を持った鬼の様な姿の巨人に描きました。手には棍棒と、食べたばかりで骨になった人間の腕の部分を持っています。
2019年10月13日日曜日
2019年10月12日土曜日
2019年10月11日金曜日
2019年10月10日木曜日
2019年10月9日水曜日
「ソクィ・ヤボスガス」
2019年10月8日火曜日
2019年10月7日月曜日
「カネ」
カネ<カーネ>
ハワイ神話に登場する神で、神々の中でも主要な4柱の神々である「四大神」の一柱。カネは創造神であり、豊穣や生殖を司る神でもある。カネという名前はハワイ語で「男性」を意味し、多産信仰の男性的な側面を象徴する神であるとも言われる。ハワイ王国の王家に代々伝えられてきた創世神話「クムリポ」などのハワイの神話では、最初、世界は永遠の闇(ポー)であったが、カネは永遠の闇から生まれ出て神々が住む上の天と下の天などの天を創造し、その天に太陽や月、星々も創った。次に大地や海などの地を創造し、海には海の生物達、大地には植物や動物などの陸の生物達を創った。そして地上を楽園として住むようにと人間の男女を創り出した。また「クムリポ」の創世神話では、カネが一柱で世界を創造したのでは無く、カネが主な働きをして、そこに戦いの神クーと農耕神ロノが助力をして最初の大地や最初の人間の男女を創造したとも言われる。この世界を創造したカネに人々は敬意を払い、大地は「カネの偉大なる大地」、海は「カネの偉大なる青い海」と呼ぶ。また人間も創り出したカネに、支配者階級のアリイ達も一般の人々もカネは自分達の祖先であると篤く崇拝した。また人々は農耕儀礼や家の新築、カヌーの進水式、病気平癒などの様々な儀礼の祭りでカネに豊穣や様々な事柄の成功を祈った。信仰する際には、他の神と違ってカネは生贄を必要としない穏やかな神であると言われる。
出典:
Wikipedia
ハワイの神話と伝説
神の文化史事典(白水社)
面白いほどよくわかる世界の神々(日本文芸社)
作者ひとこと:
カネのデザインは、球状の頭と四つの手だけの姿で、カネが創造神なので宇宙人なども意識して描きました。
2019年10月6日日曜日
「ジュラワドバド」
ジュラワドバド
オーストラリアの先住民であるアボリジニの中でも、オーストラリア北部のアルンヘムに住むグンウィング族の伝説に登場する蛇人間。天地創造の時代「ドリームタイム」に、ジュラワドバドは、とある人間の女性を妻にしたいと願うが、相手の女性はジュラワドバドを拒み、その上、女性と女性の母親はジュラワドバドを笑いものにした。それから程なくして女性は水棲の蛇人間「ブルグ」と恋仲になり、それを知ったジュラワドバドは正気を失い、その女性とその母親に復讐の計画を立てる。ある時、その母と娘が食べ物を探して歩き回っていたところ、ジュラワドバドは先回りして中が空洞になった大きな丸木の中にするすると入り込んだ。そうとは知らない娘は目を凝らして、その丸木の空洞を覗き込み食べ物を探した。ジュラワドバドは目を閉じて、丸木の中にいかにも食べ物が隠されていそうな雰囲気を装った。今度は娘の母親がやって来て、丸木の空洞を覗き込んだ。ジュラワドバドは母親が覗き込んだ時に、思い切り目を見開いた。それを見た母親は、丸木の空洞が向こう側まで突き抜けて太陽の光が漏れているのだと信じ込んだ。母親と娘は丸木の空洞に手を差し込んで、中に食べ物があるか探したが、空洞の中にいるジュラワドバドは差し込まれて来た母親と娘の手に噛み付き、母親と娘の二人とも殺してしまった。この伝説は、グンウィング族の人々に雨乞いの儀式として演じられている。
出典:
世界の怪物・神獣事典(原書房)
作者ひとこと:
ジュラワドバドのデザインは、蛇の頭と下半身のある人間の姿に描きました。
2019年10月5日土曜日
「サギネ」
サギネ
オーストラリアの先住民であるアボリジニが崇拝する、大蛇の姿をした虹の精霊「虹蛇(ニジヘビ、レインボー・サーペント)」の内の一種。サギネを信仰し、その伝承を伝えているのはオーストラリア北部のアボリジニである。伝説では、ある時、二人の幼い少年が、大人の男達が北の浜辺へ狩りに行くのに同行する事を許可された。北の浜辺に到着すると少年達は一日中キャンプの側にいなくてはならないと男達に言い聞かされた。二人は今まで海を見たことがなく、海で釣りがしたかったので、とてもがっかりした。しかし男達は少年達に海は非常に危険だと言い聞かせた。しかし男達が狩りに出掛けて行くと二人の少年は好奇心を抑えきれず、見るだけなら危なくないと考え、海岸に行き波が寄せる海を見ていた。この日はとても暑い日だったので、二人は海に入った。海に入った二人は水中に黒い渦巻きを見つけた。二人はそれが何か知る前にサギネに巻き付かれ、海の深みに引きずり込まれた。狩りから戻って来た男達はキャンプに少年達がいない事に気づき、少年達の足跡を見つけた。男達が少年達の足跡をたどって海岸までやって来ると、その海岸に以前はなかった二つの小さな岩があるのを見た。二つの岩を見た男達は口々に、サギネが少年達を攫(サラ)って二人の少年を岩に変えてしまったのだと言いあった。その時、男達の目の前の海中から体が七色に彩られたサギネが飛び上がり、二つの岩の上をアーチ形になって飛び越して、再び、海中深くに泳ぎ去って行った。
出典:
世界の怪物・神獣事典(原書房)
作者ひとこと:
サギネのデザインは、魚と蛇が合わさった様な姿に描きました。
2019年10月4日金曜日
「クー」
クー
ハワイ神話に登場する神で、神々の中でも主要な4柱の神々である「四大神」の一柱。クーは戦いの神であり、男性的な側面(または男性の豊穣原理)を神格化した神である。クーは戦いの神だけでは無く、山や海、森の神でもあり、雨を司る神でもあり、農耕や漁労をしている人々を守護する神でもあった。またクーは1年の内、農耕神ロノが支配する「マカヒキ(ハワイ先住民の新年)」の期間を除いては、1年を通常クーが支配している。ハワイ神話についての本「Hawaiian Mythology」を書いたマーサ・ベックウィズは、この本の中で、男神であるクーがよく女神のヒナと対比して語られる事を述べている。クーは夫、ヒナは妻であるとされ、この二柱は天地を創造し、地上に豊かさを齎(モタラ)し、ハワイ人を生んだハワイ人達の先祖の神である。クーの名前はハワイ語で「真っ直ぐ上へ立つ」、ヒナの名前はハワイ語で「下へ横たわる」という意味である。昇る太陽はクーであり、沈む太陽はヒナであるとされ、一日の内、午前はクーが午後はヒナが支配しているとされる。またクーに祈りを捧げる時は東へ、ヒナに祈りを捧げる時は西へする。クーとヒナは両者で天と地を治めているとされる。長引く日照りなどの重大な事態となると、人々はヘイアウ(聖所)という神々を祀る聖域を新しく建ててクーを祀り、クーへの捧げ物として豚、ココナツレッドフィッシュ、白い布、そして人身御供を捧げた。また戦争時には特に人間の生贄がクーに捧げられた。ハワイ諸島を初めて統一し、ハワイ王国を建国し、ハワイ王国の初代国王となったカメハメハ1世は、戦いの神としてのクーの化身「クーカイリモク(島をかすめ取るクー)」を奉じており、人身御供を要求するクーカイリモクの為に従兄弟を生贄に捧げ、その後ハワイ島統一を成した。カメハメハ1年が奉じた事により、クーの地位が高められ絶大的に信仰された。
出典:
Wikipedia
ハワイの神話と伝説
神の文化史事典(白水社)
面白いほどよくわかる世界の神々(日本文芸社)
作者ひとこと:
クーのデザインは、鬼神の様な狂戦士の姿に描きました。
2019年10月3日木曜日
「カウレケ」
カウレケ<ワイトレケ、ワイトテケ>
ニュージーランドの先住民であるマオリに伝わる幻獣、または未確認動物。カウレケは、ニュージーランドの南島のマオリに伝わっている謎の哺乳類の動物で、体長は兎かアヒルぐらいで、その体は茶色い毛に覆われており、鋭い鳴き声を発する。このカウレケは半水生の動物で、姿はオットセイの様だとも、カワウソ、またはビーバーの様だとも言われている。この事は1950年、英国の学会にて、時のニュージーランド国務大臣ウォルター・マンテルが発表した。この発表で「カウレケはカワウソの様で、白い毛皮を持ち、カモノハシより原始的な哺乳類」と紹介され、たちまち学会は騒然となった。なぜならば、ニュージーランド産の動物は鳥と爬虫類のみで、羊などの哺乳類は全て人間が持ち込んだものしかいないと言われてきたからである。
出典:
UMAファン~未確認動物
モモの缶詰
本当にいる世界の「未知生物」案内(笠倉出版社)
作者ひとこと:
カウレケのデザインは、カワウソとカモノハシを合わせた様な姿に描きました。尾はビーバーの様に平たくしました。