鬼髑(キドク)
玄紀先生「日東本草図纂(にっとうほんぞうずさん)」(巻十二)に記述のある妖怪。寛延2年(1749年)8月13日の出来事という。常陸相馬郡の将門山の頂には、平将門の時代からあるといわれる松の大樹が聳えていた。しかし折からの長雨により山の土が流され、溢れた水が松の根に注ぎ、そこへ大風が吹きつけたために大樹はついに根本から倒れてしまった。すると松の根元に埋まっていたらしい「鬼髑(キドク? 未詳)」があらわになり、それが雨に打たれて苦しみ叫びはじめた。城下数里四方、幼き者から老いた者まで皆この絶叫に怯え、気絶する者まで出る事態となった。城の物頭が鉄砲隊を率いてこの怪物退治に向かい、数挺の銃で撃つことによりようやく仕留めたという。こうして撃ち取られた怪物の形は鬼か蟹のよう、鋺のごとき目は爛々と光り輝き、頭頂部はへこんでいて、朱の髪は棕櫚のよう、顎下にもするどい毛が生えていた。そして大きさは8畳あまりもあったという。添えられている「鬼髑」の姿は本文の記述と合致するもので、棘だらけの大きな頭だけの妖怪が歯を剥き出しにしている様が描かれている。
出典:
【妖怪図鑑】新版TYZ
作者ひとこと:
鬼髑のデザインは、大きな鬼の頭の様な姿をした怪物に描きました。
0 件のコメント:
コメントを投稿