ラートリー
インド神話に登場する神の内の1柱。ラートリーは夜を司る女神で、ラートリーという名前も「夜」の意味である。ラートリーは、天空神「ディヤウス」の娘であり、また、曙の女神「ウシャス」の姉である。このラートリーは、星をちりばめた美しい女神とされる。人々は狼や盗人など夜の危害からの安全をこのラートリーに祈った。ラートリーは、夜空の星々を目として地上のあらゆる場所を監視しており、妹のウシャスと交代して暗闇を遠ざけて帰路につく者達を守護し、狼や盗賊達を遠ざけてくれるとされている。インド・ヨーロッパ語族の共通神話では、曙のウシャスは太陽の養母であり、毎朝新たに生まれる太陽に自らの乳房から乳を与えて養う。この太陽の実の母はラートリーで、ラートリーは太陽を生むと同時に夜の存続が不可能となるので、すぐに姿を消さねばならない。そこで生まれたばかりの太陽を、ウシャスが姉の手から受け取り、養母として惜しみなく慈愛を注ぎ養育するという。ウシャスは偉大なものにも貧しいものにも、あらゆるものに富と光をもたらし、全てに幸せを与える。慈しみ深く美しいウシャスは、人間の友として民衆に最も人気のある女神でもあった。ウシャスの姉には夜の女神ラートリーがいるが、ラートリーもまた、全てのものに安息を与える役割を持っているとされる。ラートリーとウシャスの二柱は、合わせて讃えられる事が多い。
出典:
ピクシブ百科事典
神の文化史事典(白水社)
ゼロからわかるインド神話(イースト・プレス)
作者ひとこと:
ラートリーのデザインは、分離した四本腕を持った女神の姿に描きました。四つの腕には星を持ち、頭には三日月を模した冠を被っています。
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