月光菩薩(ガッコウボサツ)
仏教の信仰対象である菩薩の内の一尊。月光菩薩は、サンスクリット語での名前を「チャンドラプラバ」という。月光菩薩は、「日光菩薩(ニッコウボサツ)」と共に「薬師如来(ヤクシニョライ)」の脇侍をつとめ、日光菩薩と月光菩薩は、薬師如来の両脇を固めている。この月光菩薩は、月の清涼な光と力で、熱による苦しみを取り除くとされる菩薩である。月光菩薩は日光菩薩とともに薬師如来に随侍し、夜間、信仰者を守護する。月光菩薩は、薬師如来の右側(向かって左側)が定位置。月光菩薩は、手には月輪、もしくは蓮華茎(れんげけい)に乗せた月輪を持つ。月光菩薩の外見は日光菩薩と非常に似た形であるため、持物か、もしくは持物がない場合は並びの位置で区別する。この月光菩薩は、日光菩薩と同じく、「薬師経疏(やくしぎょうしょ)」には、薬師如来の息子「月照(ガッショウ)」と記されている。修行者時代の薬師如来が重病の人々を救うという大悲願を発した後、月照は、その父に次いで菩薩になったという。日光菩薩と月光菩薩は、それぞれ「日光遍照(ニッコウヘンジョウ)」「月光遍照(ガッコウヘンジョウ)」ともいう。「薬師如来本願経(やくしにょらいほんがんきょう)」では、日光菩薩は、1000の光明を発して天下をあまねく照らして、生死や諸苦の闇を消滅させ、月光菩薩は月の光の象徴として、両菩薩ともに薬師如来の薬師瑠璃光浄土(やくしるりこうじょうど)に住し、如来の説く正しい教えを守る役目を担うとされる。したがって一般的には、病を癒すとされる薬師如来の脇侍として登場し、薬師三尊を構成する事で知られるが、単独で造像される事はほとんどない。その姿は、日光菩薩が右手を上げて左手を下げる場合は、月光菩薩が左手を上げるという様に、対称的な姿に造られ、それぞれ上げた手(または両手)の親指と人差し指で輪をつくる事が多い。また宝冠に日・月を示す日輪・月輪という標識を付け、手に日輪・月輪のある蓮華を持つ事もある。作例では、奈良・薬師寺金堂の銅造薬師三尊像の両脇侍立像が特によく知られる。また奈良・東大寺法華堂の塑像は、両手を胸前で合わせる姿の像で、当初から日光・月光菩薩として表されたかは定かでないが、清楚で穏やかな姿は、とりわけ知られた名像である。この他、平安時代の京都・醍醐寺像、奈良・法隆寺大講堂の木彫像は、やはり薬師三尊を構成する脇侍の遺例として重要である。
出典:
エソテリカ事典シリーズ(1)
仏尊の事典(学研)
仏教画伝極彩色で蘇った一〇八の仏尊(GB)
作者ひとこと:
月光菩薩のデザインは、三日月の上に乗り、手に月輪を持った姿の菩薩に描きました。
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