カルキ
インド神話に登場する神の内の1柱。カルキは「ヴィシュヌ」の化身(アヴァターラ)の内の1体である。宇宙維持の神であるヴィシュヌは、世の中が乱れて危機が訪れるたびに、様々に姿を変えて天下り、危機を解決する。ヴィシュヌの第十の化身にして最後の化身が、このカルキである。第十の化身である、白馬に跨がった騎士のカルキは、まだ現れていない。人類が堕落しきった時、悪を滅ぼして正義を復活させるべく現れるのだと言われている。神話によると、末法の世には、人々はあらゆる非法を行うようになる。しかも、これは年とともに酷くなっていく。やがて人間が堕落しきった世界の終わりが来ると、ヴィシュヌはカルキとして天下り、悪人達を皆殺しにする。この時、世界そのものが揺れ動き、破滅するともいう。いずれにせよ、カルキはこうして悪と不道徳と不法を滅ぼし尽くし、この世に「ダルマ(法)」を取り戻すのである。なお、なにしろカルキは「未だきたらざるもの」だけに、このカルキの姿形は定かではない。白馬に跨がった騎士、もしくは、馬頭の人間の姿で描かれる事が最も多い。カルキは、かつて預言され、未だ姿を見せない、ヴィシュヌの十番目の化身にして、最後の化身である。カルキという名前は「時間」「永遠」もしくは「汚物を破壊する者」を意味している。インド神話の宇宙の循環において、宇宙消滅の年期「カリ・ユガ」にカルキは登場する。このカルキは、預言の英雄であり、今より遠い未来に出現し、宇宙に跋扈するあらゆる悪(不徳・アダルマ・蛮族)を滅して善(法・ダルマ)を再構築する事で、新たな黄金時代「クリタ・ユガ」の到来を促す救世主であるとされる。このカルキの師匠は、同じヴィシュヌの化身である「パラシュラーマ」である。またカルキは、チベット仏教などに伝わる「シャンバラ」の支配者であるとされ、チベット仏教においては22人のカルキの称号を持つ王が存在していたとも言われている。インド神話でも、カルキの生まれ故郷はシャンバラであるとされているという。
出典:
ピクシブ百科事典
東洋神名事典(新紀元社)
ゼロからわかるインド神話(イースト・プレス)
作者ひとこと:
カルキのデザインは、鎧に身を包み、刀を手にした勇猛な英雄の様な姿の神に描きました。
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