自己紹介

このブログでは、僕が描いた神話や伝説などに関する絵や、その絵の解説を載せています。
(イラスト、記事の執筆:マゴラカ、ワンタ) ※2024年度より、月・水・金曜日の21時に更新していきます。

2023年1月31日火曜日

「エル」


エル

ウガリット神話に登場する神の内の一柱で、ウガリット神話では最高神である。エルは多くの神々の父親で、「バアル」「ヤム」「モト」などの神々が、エルの子供である。エルの配偶神は「アシラト」。神話「シャハルとシャリム」では、女神「アナト」もエルの妻とされ、このアシラトとアナトという二柱の妻との間に「シャハル(夜明け)」と「シャリム(夕方)」という二柱の神を儲けた。神話によると、エルが海に向けて波の様に手を伸ばすと、二柱の妻(アシラトとアナト)が受胎し、シャハルとシャリムが産まれたのだという。エルは牡牛をシンボルとし、長い顎髭をたくわえ王座に坐す、牡牛の角を生やした老人の姿で描かれる。またエルは「神々の父」「大地の創造主」と称された。神名リスト、儀礼文書などでは神々の中にあって最高神の地位にあり、年老いた父、王である賢者とされるが、度々、若い神々(バアル、ヤム、モトなど)にその地位を脅かされる。海や水の神ヤムはエルに王座を譲るように強要するし、女神アナトもバアルに神殿建設の許可を与えるようにと、なかば強制的な要請をしている。また、エルは間接的な形でしか力を示すことはなく、そのエルの意思を体現するのはバアルなどの他の神々である。神話の中で「息子を与えて欲しい」と願う「ダンイル」のためにエルにとりなしをして、実際に事を動かしたのはバアルであるし、家族を求める「キルタ(ケレト)」には、夢でのお告げという形でしか動こうとしない。一方でエルは、川の流れにより土地を肥沃にした神、豊穣さと剛力を持った神であるともされている。エルは、海岸の近くに住んでいたとも、サフォン山の上に住んでいたともいう。

出典:
神魔精妖名辞典
幻想世界神話辞典
神の文化史事典(白水社)

作者ひとこと:
エルのデザインは、頭に牡牛の角を生やした老人姿の神に描きました。

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