アリアドネ
ギリシャ神話に登場する人物、または女神。アリアドネという名前は、五世紀の事典編纂者「ヘシュキオス」によると、「アリハグネ」「アリアグネ」と同様の意味で、「いとも清らかで尊い女」と解される。または別の説では「純粋な女」という意味であるとも言われている。アリアドネはクレタ王「ミノス」とその妻「パシパエ」の娘である。アリアドネの父ミノスは毎年若者を男女7人ずつ「ミノタウロス」の生贄として差し出すよう、征服したアテナイに命じていた。このミノタウロスは、ミノスの妃であるパシパエと白い牡牛の間に産まれた半人半牛の恐ろしい怪物である。ある時アテナイより「テセウス」がミノタウロスを退治しに来た際、アリアドネはテセウスに恋し、自らを妻にする事を条件に協力し、まずミノタウロスの住む迷宮ラビュリントスの脱出方法を、ラビュリントスの製作者「ダイダロス」から聞き出し、次にテセウスにラビュリントスから迷わず帰還できるよう糸玉と、戦う為の剣を渡した(このアリアドネの所有していた糸玉は「アリアドネの毛糸玉」と呼ばれており、ほどけても自動的に巻き戻るという不思議な毛糸玉であったという)。テセウスはアリアドネから受け取った剣でミノタウロスを殺し、アリアドネにもらった糸をたどってラビュリントスを脱出した。その後、アリアドネはテセウスと共にクレタを発つが、ナクソス島で置き去りにされてしまう。アリアドネがテセウスに置き去りにされた理由は諸説あり、一説にはテセウスがアリアドネに飽きて、彼女をナクソス島に置き去りにしたとも言われている。置き去りにされたアリアドネは神「ディオニュソス」の花嫁になったとされる。アリアドネとディオニュソスの結びつきは強く、アリアドネは恐らく、元々はクレタを中心に崇拝されていた女神と考えられ、ディオニュソスと夫婦神であった可能性も高い。また別の説では、アリアドネは元来、クレタ島の豊穣の女神であったとされ、ギリシャ神話に組み込まれた際に、ミノスの娘という事にされたという説もある。
出典:
神の文化史事典(白水社)
よくわかる「世界の女神」大事典(廣済堂)
知っておきたい世界の女神・天女・鬼女(西東社)
作者ひとこと:
アリアドネのデザインは、羽の付いた冠を頭に被り、手に糸玉を持った女神の姿に描きました。
0 件のコメント:
コメントを投稿