野守虫(ノモリムシ)
日本に伝わる幻獣、または妖怪の一種。野守虫は、信州松代(現在の長野県長野市)に現れた怪蛇で、この野守虫については、江戸時代中期の俳人、小説家、国学者、絵師である「建部綾足(たけべ あやたり)」による随筆「折々草(おりおりぐさ)」、「漫遊記(まんゆうき)」に記述がある。その昔、信州松代のある若者が、友人と山に柴刈りに行った時、山中で大きな蛇が若者の足にくるくると巻き付いて来て、若者の喉に食いつこうとして来た。若者は強力者だったので、友人から鎌を受け取って、その巻き付いて来た蛇を切り裂いた。見れば、その蛇は全長一丈(約3m)あまりで、足が6本あり、その6本の足それぞれに6本の指が生えている。胴体は桶の様に太いが、頭や尾はそれに比べると細くなっていた。若者は武勇の証に、その蛇の死体の一部を山から持ち帰ったところ、若者の父親は「それは山の神に違いない。必ず祟りがあるだろう」と言って、若者を家から追い出した。家から追い出された若者は仕方なく小屋に住んだが、2日~3日経つと蛇の死体は悪臭を発し、若者にもその臭いが移った為に、それが原因で若者は病気となり、頭痛で寝込む羽目になった。その為医者を呼んで、医者から薬をもらい、それから入浴で蛇の臭いを落とす事で、すっかり病気も治り、身心ともに回復した。その医者が言うには、「これは蛇ではなく、野守という虫である。井に生ずる虫を井守(イモリ)、家に生ずる虫を家守(ヤモリ)と言い、野に生ずる虫を野守(ノモリ)と言う」との事であった。それから3年後、若者は、国で禁じられた山で官木を伐採した罪で処刑されてしまった。人々は若者の不運を、野守虫を殺してしまった事への祟りだろうと噂しあったと言う。
出典:
Wikipedia
日本妖怪大事典(角川書店)
作者ひとこと:
野守虫のデザインは、伝承通り、6本指の生えた足が6本ある蛇の様な姿に描きました。
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