紙舞(カミマイ)
日本に伝わる妖怪、または怪異の一種。紙舞は、風もないのに何枚もの紙がひとりでに舞飛ぶという怪異である。この紙舞は、昭和初期の小説家・民俗学者の藤沢衛彦(ふじさわ もりひこ)の著書「妖怪画談全集 日本篇 上」にあるもので、そこには[紙舞(風なきに自ら紙一枚一枚づつ舞ひ歩く神無月の怪)]とあり、紙舞は神無月(10月)に現れ、紙がひとりでに一枚ずつ舞飛ぶものであるとされる。また、詩人・文芸評論家・翻訳家の山室静(やまむろ しずか)や小説家の山田野理夫(やまだ のりお)らによる書籍「妖怪魔神精霊の世界」によれば、この風もないのに紙を舞飛ばしているのが「紙舞」という名の妖怪の仕業とされている。ただし、妖怪研究家の村上健司(むらかみ けんじ)の指摘によれば、「妖怪画談全集 日本篇 上」で紙舞の解説に用いられている挿絵は、江戸時代の怪談「稲生物怪録(いのうもののけろく、いのうぶっかいろく)」のもので、主人公・稲生平太郎(いのう へいたろう)の体験した、家で鼻紙がひとりでに舞うものであり、これは平太郎の体験した数々の怪異の一つに過ぎず、紙舞という名の固有の妖怪ではない。なお「妖怪画談全集 日本篇 上」では紙舞の出現時期は神無月とされているが、「稲生物怪録」の時期は神無月ではなく7月である「妖怪魔神精霊の世界」では「紙舞」の名で、天保時代に強欲な金貸しが証文の束を見ながら算盤を弾いていたところ、証文が一枚一枚空中に飛び去ったという伝承が述べられている。これは、山田野理夫の著書「おばけ文庫」にある紙舞の物語が元となっているが、これも村上健司により創作と指摘されている。山田野理夫の著書には他にも、京都で小説家の書いた原稿がひとりでに舞い上がるという紙舞の話がある。
出典:
Wikipedia
日本妖怪大事典(角川書店)
作者ひとこと:
紙舞のデザインは、舞飛ぶ習字紙に「へのへのもへじ」などの文字で出来た顔を持った姿の紙の妖怪に描きました。
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