悪竜(アクリュウ)
埼玉県秩父市上影森の橋立堂に伝わる。この地を治めていた領主は、狩りで殺生を重ね、地蔵像を壊したりした邪見な人物で、死後に無間地獄に落とされそうになったが橋立堂の灯明を一度だけ掻き立てた功徳があった事から罪を減じられ、竜に転生した。竜への転生は仏教では「蛇身の報(じゃしんのほう)などと言われており、「三熱(さんねつ)」などの様々な苦しみを受け続けることになるとされる。この悪竜は、村人や馬を襲って食べはじめたので、困り果てた人々が祈ったところ、橋立堂から白馬が現われ、悪竜に呑み込まれた。すると、そのまま悪竜はまるくわだかまって石になったという。「秩父三十四所観音霊験円通伝(ちちぶさんじゅうよんしょかんのんれいげんえんつうでん)(巻四)」では、元気のなくなった馬や牛には、この山の笹を食べさせるとよいと記している。
出典:
日本怪異妖怪事典 関東(笠間書院)
作者ひとこと:
悪竜のデザインは、頭に灯明をのせた竜の姿に描きました。イラストの悪竜の頭は、竜というよりも、蝮の様な毒蛇をイメージして描きました。
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