風木津別之忍男神(カザモツワケノオシオノカミ)(カザモツワケノオシヲノカミ、カザゲツワケノオシヲノカミ)
「古事記(こじき)」において、国土を生み終えた「伊邪那岐命(イザナキノミコト)」と「伊邪那美命(イザナミノミコト)」が、「大屋毘古神(オオヤビコノカミ)」の次に生んだ神。「石土毘古神(イワツチビコノカミ)」から始まる、住居に関する六神を総称した「家宅六神(かたくろくしん)」の一柱に数えられる。家宅六神の六番目。家宅六神は、家屋の成立までを順序だてて系列的に語るものと解され、家の材料や建築作業を神格化した家の守り神である。風木津別之忍男神の「木津」の意味は不明だが、字面のとおりだすれば、風に縁のある神名であると解釈される。風害を防ぐ家の神。「木」を仮名に用いた例は「万葉集(まんようしゅう)」にある「木丘開道乎(もくさくみちを)」の一点のみである。本居宣長(もとおり のりなが)の「古事記伝(こじきでん)」では、この訓注には字の誤りがあるとして、「カザゲツワケ」と訓(よ)んでいる。西郷信綱(さいごう のぶつな)によれば、「今はしかし、「得」「俗」などをト、ゾの仮名に用いているのからして、仮名の木の音はモであろうから、意味はわからぬが、カザモツという訓みに従っておく」としている。
出典:
古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)
日本の神々 完全ビジュアルガイド(KANZEN)
図解 日本神話(新紀元社)
東洋神名事典(新紀元社)
新版 古事記 現代語訳付き(角川ソフィア文庫)
作者ひとこと:
風木津別之忍男神のデザインは、手に矛を持ち、鎧に身を包んだ男神の姿に描きました。イラストの風木津別之忍男神は、家の屋根を吹き飛ばそうとする悪い風の神を、手に持った矛で追い払う、家を護る神という感じで描きました。