自己紹介

このブログでは、僕が描いた神話や伝説などに関する絵や、その絵の解説を載せています。
(イラスト、記事の執筆:マゴラカ、ワンタ) ※2024年度より、月・水・金曜日の21時に更新していきます。

2025年5月30日金曜日

「金山毘古神」


金山毘古神(カナヤマビコノカミ)<金山彦>


日本神話に登場する、鉱山の神。「古事記(こじき)」では、「火之迦具土神(ヒノカグツチノカミ)」を生んだ「伊邪那美神(イザナミノカミ)」が陰部を火傷し、床に臥せって嘔吐した際、「金山毘売神(カナヤマビメノカミ)」とともに誕生した。「日本書紀(にほんしょき)」一書(あるふみ)にも同様の話が載っているが、金山彦しか誕生していない。天の岩屋戸の段に、「天の金山の鉄を取りて、『鍛人天津麻羅(カヌチアマツマラ)』を求(ま)ぎて、『伊斯許理度売命(イシコリドメノミコト)』に科(おほ)せて鏡を作らしめ」とある。この神がここに出てくるのは、火から鍛冶鍛工に想い及んでのことであろうが、「へどが鉱石を火で溶かした有様に似ている所からの連想」(「大系本古事記」)という。下の屎、また尿になれる神云々のくだりと考えあわせると、おそらくこうした連想が働いているものと思われる。

出典:
古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)
日本書紀 一(岩波文庫)

作者ひとこと:
金山毘古神のデザインは、金属で出来た身体を持った男神の姿に描きました。

2025年5月28日水曜日

「波邇夜須毘売神」


波邇夜須毘売神(ハニヤスビメノカミ)<埴安神(ハニヤスノカミ)、埴山姫(ハニヤマビメ)、埴山媛>

日本神話に登場する、土の神。「古事記(こじき)」では、「火之迦具土神(ヒノカグツチノカミ)」を生んだ「伊邪那美神(イザナミノカミ)」が陰部を火傷し、床に臥せって糞尿をした際、「波邇夜須毘古神(ハニヤスビコノカミ)」とともに誕生した。「日本書紀(にほんしょき)」一書(あるふみ)にも同様の話が載っているが、埴山姫(埴山媛)の一柱しか誕生していない。また、「伊弉諾尊(イザナキノミコト)」と「伊弉冉尊(イザナミノミコト)」のあいだに生まれた子(「埴安神」)として、普通に誕生するような挿話もある。「和名抄」に、「釈名云、土黄而細密曰埴」とあるように、ハニとは土器や染料に使う、粘土のことをいう。「記伝」には、「字鏡」に泥物をつくるをネヤスとあるのに従い、この神の名義はハニネヤスだとしている。このハニは、埴輪のハニでもある。糞と埴との連想と、埴を火で焼いて土器をつくることとが重なっているのであろう。

出典:
古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)
日本書紀 一(岩波文庫)

作者ひとこと:
波邇夜須毘売神のデザインは、体が土で出来ている女神の姿に描きました。手にはミズゴケと水藻を丸めた玉と、水の入っている瓢で出来た柄杓を持っています。

2025年5月26日月曜日

「波邇夜須毘古神」


波邇夜須毘古神(ハニヤスビコノカミ)<埴安神(ハニヤスノカミ)>

日本神話に登場する、土の神。「古事記(こじき)」では、「火之迦具土神(ヒノカグツチノカミ)」を生んだ「伊邪那美神(イザナミノカミ)」が陰部を火傷し、床に臥せって糞尿をした際、「波邇夜須毘売神(ハニヤスビメノカミ)」とともに誕生した。「日本書紀(にほんしょき)」一書(あるふみ)にも同様の話が載っているが、「埴山姫(ハニヤマビメ。埴山媛)」のみの誕生で、ハニヤスビコ、あるいはハニヤマビコという神は登場しない。また、「伊弉諾尊(イザナキノミコト)」と「伊弉冉尊(イザナミノミコト)」のあいだに生まれた子(「埴安神」)として、普通に誕生するような挿話もある。「和名抄」に、「釈名云、土黄而細密曰埴」とあるように、ハニとは土器や染料に使う、粘土のことをいう。「記伝」には、「字鏡」に泥物をつくるをネヤスとあるのに従い、この神の名義はハニネヤスだとしている。このハニは、埴輪のハニでもある。糞と埴との連想と、埴を火で焼いて土器をつくることとが重なっているのであろう。

出典:
古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)
日本書紀 一(岩波文庫)

作者ひとこと:
波邇夜須毘古神のデザインは、体が土で出来ている男神の姿に描きました。手には鍬を持っています。

2025年5月23日金曜日

「豊雲野神」


豊雲野神(トヨクモノノカミ)


「古事記(こじき)」によると、「国之常立神(クニノトコタチノカミ)」の次に生まれた、七番目の神だという。神世七代(かみよななよ)においては、二世代目に生まれた神である。神名の由来は、はっきりとはしていないが、漢字を見る限り、大地に浮かぶ豊かな雲であろうか。国之常立神についで生まれたと考えれば、天と地の中間に位置する神と思われる。ただし、神名に「雲」が含まれた例は豊雲野神しかなく、借字(しゃくじ。漢字の意味に関係なく音を表したもの)の疑いがあり、それに基づくと「野の神」であるとも考えられる。「日本書紀(にほんしょき)」の本文では、「豊斟渟尊(とよくむぬのみこと)という名前で書かれ、三番目に生まれた神とされる。一書(あるふみ)でも、「豊国主尊(トヨクニヌシノミコト)」「豊組野尊(トヨクムノノミコト)」「豊香節野尊(トヨカブノノミコト)」「浮経野豊買尊(ウカブノノトヨカフノミコト)」「豊国野尊(トヨクニノノミコト)」「豊齧野尊(トヨカブノノミコト)」「葉木国野尊(ハコクニノノミコト)」「見野尊(ミノノミコト)」の別名が書かれ、これらも同一のものと考えられている。先に生まれた神々と同様「身を隠した」と書かれ、それ以降の一切の記述はなく、神話に絡んでくることもない。「先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)の「神代系紀」には、豊国主尊の名前で書かれている。二世代目の神として、国常立尊とともに生まれたとされる。ここでも別名として、豊斟渟尊・豊香節野尊・浮経野豊買尊の記載あり。トヨはもともと擬音語であり、のちに転じて、豊富なことを形容する語となった。古代日本において「a」「o」「u」の母音は結合しやすく、また、交替しやすい音でもある。それとは別に「m」と「b」も交替しやすい。日本語の「h(は行)」は奈良時代頃、両唇音(りょうしんおん。上下の唇を使って発音する)の「f(ふぁ、ふぃ、ふぅ、ふぇ、ふぉ)」であったとされ、さらに古い時代は「p(ぱ行)」であったと推測される。そのため「は行」の子音は、同じように唇を閉じたのちに発音する「b(ば行)」「m(ま行)」とも結びつきやすかった。そういう長い間、口承によって信仰された神だったため、「クモ」「クム」「カフ」「カブ」など多くの変化を見せたと考えられる。また、一度「豊斟渟」や「豊組野」と文字化されたものを、トヨクムヌ・トヨクムノと読まず、トヨクミヌ(toyokuminu)・トヨクミノ(toyokumino)と読んだことで、トヨクニヌ(toyokuninu)やトヨクニノ(toyokunino)という形で「豊国主」や「豊国野」が生じたと思われる。最後の「見野」は、頭につけるべき「ク」が抜け落ちてしまったものと見られる。「葉木国」だけは、どの神名ともかけ離れているが、その由来については明確なものが存在しない。ただ、日本書紀の一書第二には「葉木国、此云播挙矩爾」という注記があり、この当時から「ハコクニ」という読み方だったと考えられる。面白い話としては、「豐(豊)」の古体字に「丰(現在、中国で使われている簡体字)ふたつに豆」という形があり、その上部「丰丰」が「葉」の上部に似ているので、文字を正しく読めなかった人物が、その字を「葉」かと疑い「木」を書いて置いたところ、それが次の書写者によって、日本書紀に取り入れられてしまった、といった説である。

出典:
神さま別に読む「古事記」「日本書紀」

作者ひとこと:
豊雲野神のデザインは、雲に覆われた野で出来た身体を持っている、巨大な神の姿に描きました。

2025年5月21日水曜日

「天鏡尊」


天鏡尊(アマノカガミノミコト)

「日本書紀(にほんしょき)」の一書(あるふみ)にのみ登場する神である。「国常立尊(クニノトコタチノミコト)」の子であり、「天万尊(アメヨロヅノミコト)」の親である。さらにその一書には、天万尊が「沫蕩尊(アワナギノミコト)を生み、その沫蕩尊が「伊弉諾尊(イザナギノミコト)」を生んだと書かれている。名義は未詳であり、天鏡尊も天万尊も、宋史日本伝の引く年代記のほかには確認できない。それによれば「初主号天御中主。次曰天村雲尊。其後皆以尊為号。次天八重雲尊。次天弥聞尊。次天忍勝尊。次膽波尊。次万魂尊。次利々魂尊。次国狭槌尊。次角龔魂尊。次汲津丹尊。次面垂見尊。次国常立尊。次天鏡尊。次天万尊。次沫名杵尊。次伊弉諾尊。次素戔烏尊。次天照大神尊。次正哉吾勝速日天押穂耳尊。次天彦尊。次淡尊。次彦瀲尊。凡二十三世。並都於筑紫日向宮」とある。この系譜について津田左右吉は、クニノトコタチからイザナギまでの順が一致することを指摘し、一書は書紀編纂前に生じた神々の系譜の変形のうちで、最も新しいものであり、それが奝然(ちょうねん)の時代(938年~1016年)までに、さらに潤色を加えられるに至ったのであろうと推測している。アメヨロヅという名は、孝徳天皇(第36代。654年没)の国風諡号にも見える。あるいは、この伝承となにか関係があるのだろうか。

出典:
日本書紀 一(岩波文庫)

作者ひとこと:
天鏡尊のデザインは、頭が鏡になっている神の姿に描きました。

2025年5月19日月曜日

「天火人」


天火人(テンカジン)


群馬県上陽村上福島(現・玉村町)に伝わる怪火。ふわふわと飛びまわって背後から飛びあがって花火のように飛び散り、びっくりしたひとが倒れている間に生き血を吸ったりしたという。上杉家に攻め寄せられて討死した那波又太郎の亡霊がこれになったといわれる。また、馬ぐらいの大きさの貂が化けていた火であったともいい、ある飛脚が火を斬って大貂が死んでいるのが確認されて以後、出没しなくなったと語られていた。「てんかじん」ということばの意味は不明瞭で、「天火人」という用字は『旅と伝説』に報告文を寄せた高井義信の独自なあて字であると明記されている。また同記事は「那波氏」や「那波郡」なども含め登場する【那】の字が全て【邦】という活字で組まれてしまっていたミスがあり、「邦波又五郎」と紹介されることもある。

出典:
日本怪異妖怪事典 関東(笠間書院)

作者ひとこと:
天火人のデザインは、鬼の様な顔がある怪火の姿に描きました。

2025年5月16日金曜日

「ヌグ」


ヌグ


パプアニューギニアに伝承されている魔物、または怪物の一種。別名を「ラビ」ともいう。このヌグは、ワニに似た姿で、足はヒクイドリに似ているという。ヌグは奇声を発し、このヌグの声を聞くと、女性や子供は失神してしまう者もでるという。また一方で、このヌグは神であるという説もある。大規模な狩猟儀礼が行われるとき男性たちは二つのクロコダイルの彫像を中心として踊るが、それらのうちひとつは「ヌグ」と呼ばれる神の表現であるという。ヌグは人間の姿で表現されることもある。彫像は豚の脂肪を塗られ、カヴァ酒が捧げられる。

出典:
幻想世界神話辞典
ピクシブ百科事典
幻想動物の事典

作者ひとこと:
ヌグのデザインは、ヒクイドリのトサカ、肉垂、足、羽毛を持ったワニの姿の怪物に描きました。

2025年5月14日水曜日

「アトバラナ」


アトバラナ


ニューギニアに伝わる妖怪、または悪しき精霊の一種。このアトバラナは、人間をマラリアにする妖怪である。アトバラナは、昼はジャングルの奥深くに隠れているが、夜になると活動し始めるという。ニューギニアでは、アトバラナが家に入ってくるのを避けるため、部屋の中で火を燃やして煙を充満させ、入り口の戸を閉めておく。さもないと、夜になるとアトバラナがジャングルからやって来て、入り口の戸の隙間から屋内に侵入して人間を襲い、襲った人間をマラリアにしてしまうからである。アトバラナには雄と雌がおり、夕方(または夜)になると雌の方は「ボーボー」という鳴き声を出す。雄の鳴き声はまた異なるらしい。

出典:
幻想動物の事典
ピクシブ百科事典

作者ひとこと:
アトバラナのデザインは、獣の様な姿の妖怪に描きました。

2025年5月12日月曜日

「𩹂魚」


𩹂魚(イギョ)

古代中国の地理書「山海経(センガイキョウ)」の西山経に記されている怪魚、または怪蛇。𩹂魚は、西山の楽遊山を西に流れて稷沢に注ぐ、桃水という川に多く生息している魚である。𩹂魚は四本の脚をもつ蛇の様な姿をしている(𩹂魚は、蛇の様な胴体に脚が四本生えた姿をした魚である、とも)。この𩹂魚は魚を食う(魚を主食としている、とも)。

出典:
幻想類書
幻想動物の事典
神様コレクション
ピクシブ百科事典
神魔精妖名辞典
山海経 中国古代の神話世界(平凡社ライブラリー)

作者ひとこと:
𩹂魚のデザインは、水かきのある四本脚をもった蛇の様な姿に描きました。

2025年5月9日金曜日

「ウグジュクナーパク」


ウグジュクナーパク


アラスカのイヌイットの伝承と信仰に登場する巨大な齧歯類の動物。このウグジュクナーパクは、非常に長い、物をつかむのに適した尻尾を持つ巨大なネズミとされる。その尻尾を使って海獣の皮を張った木造の小舟である「ウミアク」をひっくり返し、なかから犠牲者をつかみ出す。ウグジュクナーパクの毛皮は猟師が使うような武器では傷つけることはできず、また滅多にない聴力とスピードを持っている。つまり、このウグジュクナーパクは特に危険な生物ということであり、猟師も漁師もウグジュクナーパクが棲む島には決して近づかない。

出典:
世界の怪物・神獣事典(原書房)

作者ひとこと:
ウグジュクナーパクのデザインは、「物を掴むのに適した尻尾」という特徴を、イラストでは、尻尾の先に手を付けて、本当に掴めるという感じにした、巨大なネズミの怪物に描きました。

2025年5月7日水曜日

「䖪鼠」


䖪鼠(シソ)


作者ひとこと:
シソのデザインは、体に鼠の毛を生やし、鼠の様な尾を持った鶏の姿の怪鳥に描きました。

2025年5月5日月曜日

「コグクプク」


コグクプク



アラスカのベーリング海沿岸に住むイヌイットの伝説と伝承に登場する怪物。コグクプクは、地中に棲息する巨大な怪物で、地表に出る事なく穴を掘り進めて、食物を探す事を強いられているが、コグクプクが地下にいる、より大きな理由は、コグクプクは、日の光を浴びると死んでしまう為である。真冬に一夜だけ、暗闇の中に姿を現わす。しかし、地表に長く留まり過ぎて太陽の光のために死んでしまったものは、今では白く色褪せた巨大な骨になっている。これがこの地方で発見されたマンモスの骨の説明になっている。

出典:
世界の怪物・神獣事典(原書房)

作者ひとこと:
コグクプクのデザインは、大きな耳と長い牙を持った怪物の姿に描きました。

2025年5月2日金曜日

「アマロック」


アマロック(アマロク)



イヌイットの伝承や神話に登場する怪物の一種。このアマロックは、巨大な狼である。アマロックは、夜間ひとりで狩りをする人間に襲い掛かり、貪り喰うと言われている。

出典:
幻想動物の事典
世界の怪物・神獣事典(原書房)

作者ひとこと:
アマロックのデザインは、巨大な狼の姿に描きました。