金山毘古神(カナヤマビコノカミ)<金山彦>
日本神話に登場する、鉱山の神。「古事記(こじき)」では、「火之迦具土神(ヒノカグツチノカミ)」を生んだ「伊邪那美神(イザナミノカミ)」が陰部を火傷し、床に臥せって嘔吐した際、「金山毘売神(カナヤマビメノカミ)」とともに誕生した。「日本書紀(にほんしょき)」一書(あるふみ)にも同様の話が載っているが、金山彦しか誕生していない。天の岩屋戸の段に、「天の金山の鉄を取りて、『鍛人天津麻羅(カヌチアマツマラ)』を求(ま)ぎて、『伊斯許理度売命(イシコリドメノミコト)』に科(おほ)せて鏡を作らしめ」とある。この神がここに出てくるのは、火から鍛冶鍛工に想い及んでのことであろうが、「へどが鉱石を火で溶かした有様に似ている所からの連想」(「大系本古事記」)という。下の屎、また尿になれる神云々のくだりと考えあわせると、おそらくこうした連想が働いているものと思われる。
出典:
古事記注釈 第一巻(ちくま学芸文庫)
日本書紀 一(岩波文庫)
作者ひとこと:
金山毘古神のデザインは、金属で出来た身体を持った男神の姿に描きました。