天鏡尊(アマノカガミノミコト)
「日本書紀(にほんしょき)」の一書(あるふみ)にのみ登場する神である。「国常立尊(クニノトコタチノミコト)」の子であり、「天万尊(アメヨロヅノミコト)」の親である。さらにその一書には、天万尊が「沫蕩尊(アワナギノミコト)を生み、その沫蕩尊が「伊弉諾尊(イザナギノミコト)」を生んだと書かれている。名義は未詳であり、天鏡尊も天万尊も、宋史日本伝の引く年代記のほかには確認できない。それによれば「初主号天御中主。次曰天村雲尊。其後皆以尊為号。次天八重雲尊。次天弥聞尊。次天忍勝尊。次膽波尊。次万魂尊。次利々魂尊。次国狭槌尊。次角龔魂尊。次汲津丹尊。次面垂見尊。次国常立尊。次天鏡尊。次天万尊。次沫名杵尊。次伊弉諾尊。次素戔烏尊。次天照大神尊。次正哉吾勝速日天押穂耳尊。次天彦尊。次淡尊。次彦瀲尊。凡二十三世。並都於筑紫日向宮」とある。この系譜について津田左右吉は、クニノトコタチからイザナギまでの順が一致することを指摘し、一書は書紀編纂前に生じた神々の系譜の変形のうちで、最も新しいものであり、それが奝然(ちょうねん)の時代(938年~1016年)までに、さらに潤色を加えられるに至ったのであろうと推測している。アメヨロヅという名は、孝徳天皇(第36代。654年没)の国風諡号にも見える。あるいは、この伝承となにか関係があるのだろうか。
出典:
日本書紀 一(岩波文庫)
作者ひとこと:
天鏡尊のデザインは、頭が鏡になっている神の姿に描きました。
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