自己紹介

このブログでは、僕が描いた神話や伝説などに関する絵や、その絵の解説を載せています。
(イラスト、記事の執筆:マゴラカ、ワンタ) ※2024年度より、月・水・金曜日の21時に更新していきます。

2022年11月1日火曜日

「エルリク」


エルリク


アルタイ共和国を中心とし、アルタイ地方やケメロヴォ州などに居住しているアルタイ人の神話に登場する(モンゴルのアルタイ人の神話に登場するとも言われている)悪魔。エルリクは、悪魔であり、死者の国の君主でもある。ある神話では、世界には三つの層があり、創造神「バイ・ユルゲン」は上界、人間は中界、エルリクは下界に住んでいるという。エルリクは、最初の人間とも言われており、バイ・ユルゲンによる大地の創造に関わったという神話がある。だがエルリクは、性格が傲慢で、バイ・ユルゲンと同じ様に自分も人間を造れるなどと豪語したため、地獄に投げ込まれ、悪魔になったのだという。しかし、エルリクは地獄にじっとしてはいずに、「マイデレ(バイ・ユルゲンに仕えている英雄神の一柱)」が創造神の命令で最初の女性を造った時には、エルリクは密かに、マイデレが造った女性に生命を吹き込み、更に「七つの気まぐれ」と「九つの気分」を与えるという悪戯をした。これは神話によると、原初の時代、バイ・ユルゲンは大地を創造した後で、地上に八人の男性と八本の樹木を造った。この時、八番目の男性として、金の山の上に造られたのがマイデレだった。しかし、造られたのは男性だけだったので、七年経っても人類の数は増えなかった。これを見た創造神は、マイデレに人間を増殖させる力を与え、女性を造らせた。だが、マイデレは、造った女性に生命を与えられず、一匹の毛のない犬に女性の番をさせ、創造神の助けを求めに天に向かった。この隙にエルリクが、「毛皮をやるから女を見せろ」と言って、番をしている犬を籠絡し、女性に生命の他に、「七つの気まぐれ」と「九つの気分」まで与えてしまった。マイデレは、これを見て大いに怒り、「お前は死ぬまで人間にこき使われろ」と言って犬を呪ったという。またエルリクは、ある時、地獄から「カラシ」と「ケレイ」という助手を呼び出し、神の使者である「マンディシレ」「マイデレ」と争った事もある。このため、地上は炎の洪水で一度は滅び、創造神バイ・ユルゲンによって新たに造り直されたという。また、悪魔エルリクは、あらゆる災厄を司る存在で、最初の女性「エジ」を誘惑し、彼女に「禁断の果実」を食べさせた、という神話も伝わっている。エルリクは悪魔であり、地下界の神であるとも言われている。悪魔の王であるエルリクは「カラ・ネメ(黒いもの)」とも言われる。エルリクは、創造神バイ・ユルゲンと対立する魔であり、最初の人間達を罪へと導き、バイ・ユルゲンの怒りをかったとされている。ある時バイ・ユルゲンはマイデレを下界に派遣して、人々が自分(バイ・ユルゲン)を畏れ敬う様にしようとしたが、下界に派遣したマイデレはエルリクに殺されてしまった。しかしこの時、殺されたマイデレの血から吹き出した炎は天界に達し、エルリクの手下達は、皆、この炎に焼き殺された。こうしてエルリクは冥界へと追放された。このエルリク、最初の人間とも、創造神バイ・ユルゲンの兄ともされる。普通エルリクは、恐ろしい形相をした人物として描かれるが、時には熊や黒髭を蓄えた老人として描かれる事もある。こういったエルリクの神格は仏教の「閻魔(エンマ)」の特徴がみえる。エルリクは、創造神バイ・ユルゲンが土の塊から造った原初の人間であった。しかし、造られたエルリクは、思い上がりが激しかった為、バイ・ユルゲンの怒りを買い、罰として地下の世界へ退けられて、冥界の王となった。バイ・ユルゲンは冥界においても、自らを至高の神として敬うよう、エルリクを説きふせるため、マイデレを冥界へと送り込んだ。冥界にやって来たマイデレを、エルリクは返り討ちにして殺したが、殺されたマイデレの身体から吹き出した血から炎が上がり、冥界は火の海になったと言われている。エルリクは地下界、死者の世界の支配者である。仏教の入った地域では閻魔大王を指す。エルリクは、元来は至高神「ウリゲン」の兄弟として天界に在り、ウリゲンとエルリク、共に大地や人間の創造に関わるが、善悪の二元論的な枠組みでは、エルリクは悪役を付与され、「悪魔」と訳される事が多い。大地の創造が水鳥の潜水によってなされたとする「潜水神話」は西シベリアを中心として広範な地域に知られているが、天神や創造神が潜水する例も少なくない。アルタイの神話では、エルリクが潜水してウリゲンと共に大地を造り、ウリゲンの造った平坦な土地に、エルリクは山や沼沢を設け、ウリゲンが造った人間に、エルリクが魂を入れて、それを人間の死後、自分のものと定めた。また、鍛冶の道具を使って様々な悪しきものや熊、穴熊、土竜などを打ち出したともいう。エルリクがどのようにして天界から地上に追われ、更には地下に追放されて、その地下世界の主になったのかははっきりしない。一説では、エルリクは毎夜、地下から地上に現れて、煙の出ない銃で人間達を撃ち殺して、その霊魂を奪うといい、エルリクは、人間に死をもたらすばかりでなく、病気や、ありとあらゆる悪をなすという。その反面、エルリクには七人、または九人の息子があって、氏族の守護者となっていると言い、また、二人、もしくは九人の娘がいるとも言う。エルリクが死者の世界の主、悪霊の主であるという観念の他に、ショル人やハカス人では、エルリクはシャマンに人間の守護者となる助手を与えたと伝えている。テレウト人では、子供の霊魂はエルリクから授かるという信仰もある。クマンジン人やショル人では、エルリクは三兄弟で、地下界にはそれぞれに従属する精霊がいるという。また、死後の世界は恐ろしい地獄ではなく、死者はこの世と同じ生活を送っているのだという観念もあり、エルリクの性格は全体としてかなり多岐多様である。

出典:
神魔精妖名辞典
神様コレクション
神の文化史事典(白水社)
東洋神名事典(新紀元社)
「天使」と「悪魔」がよくわかる本(PHP文庫)

作者ひとこと:
エルリクのデザインは、髭を蓄えた、三眼の魔王の様な姿に描きました。

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