自己紹介

このブログでは、僕が描いた神話や伝説などに関する絵や、その絵の解説を載せています。
(イラスト、記事の執筆:マゴラカ、ワンタ) ※2024年度より、月・水・金曜日の21時に更新していきます。

2022年7月31日日曜日

「タナトス」


タナトス

ギリシア神話に登場する、死そのものを神格化した神。このタナトスは、夜の女神「ニュクス」が一柱で生んだ息子、または、幽冥の神「エレボス」と夜の女神「ニュクス」の間に生まれた息子であるとされ、タナトスは眠りの神「ヒュプノス」と双子の兄弟である。タナトスを「亡者の王」や「ハーデース(同一視して)」と呼ぶ事もある。タナトスは概念的な存在で、古くはその容姿や性格は希薄であったが、次第に「柔和で優しいヒュプノス」に対して「鉄の心臓と青銅の心を持つ非情な神タナトス」とされ、タナトスは人間にとっても神々にとっても忌むべき者となった。タナトスの姿は有翼で、手に剣を持ち、黒い服を着た蒼ざめた老人であるとも、ヒュプノスによく似た青年であるとも言われている。タナトスは寿命を迎える人間の髪を剣で一房切り取り、冥王「ハデス」に捧げ、魂を冥界に連れて行き冥界の住民とする。英雄の魂は「ヘルメス」が冥府に運び、凡人の魂はタナトスが冥界へ運ぶともされる。太陽はタナトスとヒュプノスの姿を見ようとはせず、ヒュプノスとタナトスは大地の遥か下方の奈落「タルタロス」の領域に館を構えて住んでいる。または、冥界の門の近くにある「オネイロス達(夢)」が絡まるニレの巨樹の周りにタナトスとヒュプノスは住むとも言われている。ホメーロス「イーリアス」第十六歌では、「ゼウス」の息子「サルペドン」が死ぬ運命にある事を知っていたゼウスは、「アポロン」に遺体を清めさせた後、タナトスとヒュプノスにサルペドンの亡骸をトロイアからリュキアへと運ぶように命じた。エウリピデスの悲劇「アルケースティス」では、ペライ王「アドメトス」の妻「アルケースティス」が夫の身代わりに死ぬ事になったが、約束の日の丁度の時に館に来たタナトスは、運命の女神「モイラ」達を騙して人間の寿命を変えさせたアポロンを非難する。タナトスは「アルケースティスの魂は奪われる」とアポロンから予言されても聞く耳持たず魂を連れて行こうとするが、そこにアドメトスの友人「ヘラクレス」が館を訪れ事情を知ると、ヘラクレスは、タナトスからアルケースティスの魂を力でもって奪い返した。また「シシュポス」がゼウスの怒りを買った時、連行しようとするタナトスをシシュポスは罠にかけて捕らえた。タナトスが捕らえられた為、地上の人間達が死ななくなり、これに気付いた戦神「アレス」はタナトスを助け出し、冥界に連れて行った。「イソップ寓話」一三三・薮医者では、薮医者に「お前は明日には死ぬ」と言われた病人の男が快復し、その後、薮医者に会った男は「冥界でタナトスとハデスが最近、人が死なないのは医者の所為だと怒り、帳面に医者の名前を書き出していましたが、私は貴方(薮医者)だけはいわれの無い罪です、と言っておきました」と話した。「イソップ寓話」七八・老人と死では、老人が薪を担いで歩いていたが、老人は疲れて荷物を下ろすと自暴自棄になって、死神に呼びかけて助けを求めた。すると老人の目の前に本当に死神が現れ「自分に何か用か?」と尋ねると、老人は慌てて「荷物を持ち上げてもらうためです」と答えた。アイリアノス「ギリシア奇談集」第2巻35話「死と眠りは兄弟なること、ゴルギアースの死」において、レオンティノイのゴルギアースの最晩年、体は弱り、いつの間にかうとうとする状態で病床にあった時「眠りの神は、私を兄弟神に引き渡し始めた」と親友に言った。一説にはタナトスは、女神「レーテー」と兄弟であるとも言われる。また、ヒュプノスとタナトスの兄弟は後に、ドイツにおいて「ザントマン」とその弟の死神のモデルとなった。

出典:
Wikipedia

作者ひとこと:
タナトスのデザインは、カラスの頭と翼を持った神の姿に描きました。

2022年7月30日土曜日

「ファウヌス」


ファウヌス

ローマ神話に登場する神の一柱。ファウヌスは、「イヌウス」という別名で呼ばれる事もある。このファウヌスは女神「ファウナ」と共に、田園の神である「ピクス」の子供で、ファウヌスとファウナは、農耕神「サトゥルヌス」の孫にあたる。ファウヌスは、父であるピクスから予言の力を受け継いでおり、予言の神としては「ファトゥウス」と呼ばれる。ファウヌスは、家畜と田野と森を守護する神でもあり、また、多産を司る神でもある。また、森の中で不意に不思議な音が聞こえてくるのは、このファウヌスの仕業だと言われている。またファウヌスは、自身の娘である女神「ボナ・デア」を無理矢理犯して、ボナ・デアを自身の妻にしたという神話も伝わっている。ファウヌスはラティウムの古王とも言われている。神話では、父であるピクスの後継者として「ラティヌス」に先立ち、ラティウムを支配したとも言われる。牧畜の神として古くからパラティウムの丘に祭祀されていたと言われている。ファウヌスは、ギリシア神話の「パーン」や、ローマ神話の農耕神「ルベルクス」と同一視される事もあり、中世以降はパーンや「サテュロス」などの神々や精霊達のイメージと混同され、財宝の守護者、夢魔とも言われるようになり、ファウヌスは山羊の角と足を持つ半人半獣の姿として表象された。ファウヌスを象徴する持ち物は、狼の毛皮、花や草で作った冠、酒杯(ゴブレット)である。

出典:
Wikipedia
ピクシブ百科事典
神魔精妖名辞典

作者ひとこと:
ファウヌスのデザインは、羊の姿の神に描きました。

2022年7月29日金曜日

「レモラ」


レモラ

ギリシア神話やローマ神話に登場する幻獣、または怪魚の一種。このレモラは、古代ギリシャやローマの海に棲息していたとされる怪魚である。レモラという名前の語源は、ラテン語で「遅延・障害」を意味する「Remorari」である。このレモラは岩礁などに群れる、青白い体色をした、とても小さな魚で、頭部には軟骨で出来た吸盤がある。この吸盤がくせもので、ひとたびレモラが船に張りつくと、船は一気に速度が落ちてしまったり、船の進行を、その船に張り付いたレモラが妨げたりするという。大プリニウスは、たった1匹のレモラが400人の漕ぎ手のいるカリグラのガレー船をびくとも動かなくしたと書いている。紀元前31年、クレオパトラに恋をしたマルクス・アントニウスがオクタウィアヌスと一戦を交えようとした時、アントニウス軍の艦隊が予定通りに出航できなかったのも、このレモラのせいだとされる。またレモラは、出産や裁判の判決すらも遅らせる力を持つと言われている。このレモラ、一説には足があるとも言われている。

出典:
Wikipedia
幻想世界幻獣事典(笠倉出版社)
ピクシブ百科事典

作者ひとこと:
レモラのデザインは、頭に吸盤のある怪魚の姿に描きました。

2022年7月28日木曜日

「エリス」


エリス

ギリシア神話に登場する、不破と争いを司る女神。ホメーロスの叙事詩「イリアス」では、エリスは戦神「アレス」の妹とされ、ヘーシオドスの「神統記」では、エリスは夜の女神「ニュクス」が一人で生んだ娘とされている。ヒュギーヌス「神話集」では、夜のニュクスと闇のエレボスの娘に不和「ディスコルディア(エリス)」が生まれたとしている。エリスは戦場では、血と埃にまみれた鎧を着て、手には槍を持ち、口から火炎の息を吐く。またエリスは、通常、有翼の女性として描かれる。エリスは多くの災いの神々達の母となり、「ポノス(労苦)」「レーテー(忘却)」「リーモス(飢餓)」「アルゴス達(悲歎)」「ヒュスミーネー達(戦闘)」「マケー達(戦争)」「ポノス達(殺害)」「アンドロクタシアー達(殺人)」「ネイコス達(紛争)」「プセウドス達(虚言)」「ロゴス達(空言)」「アムピロギアー(口争)」「デュスノミアー(不法)」「アーテー(破滅)」「ホルコス(誓い)」を生んだ。ウェルギリウスによると、冥界の門の近くには有象無象の「オネイロス達(夢)」が絡まるニレの巨樹があり、周りには冥界の神々や怪物達が住み、血染めの紐で蛇の髪を結んだエリス(ディスコルディア)も、そこに住んでいる。ヘーシオドスは教訓詩「仕事と日々」の中で、二種のエリスについて書いている。片方のエリスは、忌まわしい戦いと抗争を蔓延させる「残忍なエリス」だが、もう片方のエリスは、夜の女神ニュクスが生んだ長女であり、怠け者も相手への羨望によって切磋琢磨する闘争心を掻き立てる、益のある「善きエリス」がいるとした。エリスは「イソップ寓話」にも不和や争いの寓意として登場している。ヘラクレスが旅をしていると、狭い道に林檎に似たものが落ちているのを見て、踏み潰そうとした。しかしそれは倍の大きさに膨れ、もっと力を入れて踏みつけ、棍棒で殴ると、更に大きく膨れ上がって道を塞いでしまった。呆然と立ちつくすヘラクレスのもとに、女神「アテナ」が現れて言った。「およしなさい。それはアポリア(困難)とエリス(争闘)です。相手にしなければ小さいままですが、相手にして争うと大きく膨れ上がるのです」。アントニヌス・リベラリス「変身物語集」では、パンダレオスの娘「アエドン」と大工「ポリュテクノス」は仲の良い夫婦だったが、「ゼウスとヘラよりも深く愛し合っている」と自慢したため、女神「ヘラ」の怒りを買い、エリス(夫婦の不和)を送り込まれた。散逸した叙事詩「キュプリア」によると、エリスは女神「テティス」と「ペレウス」の結婚式に招かれなかった腹いせに、「最も美しい女神に」と記した黄金の林檎を宴の場に投げ入れ、「ヘラ」「アテナ」「アフロディーテ」の三女神の争いを引き起こした。その結果、三柱の女神は、トロイアの王子「パリス」による裁定(パリスの審判)を仰ぐ事になり、トロイア戦争の遠因を作った。「イーリアス」では、トロイア側で激昂するアレスと、アカイア側で鼓舞するアテナの二神の戦いに、恐怖「デイモス」と敗走「ポボス」、アレスの妹であり戦友のエリスが加わる。エリスは飽くこと無く猛り狂い、両軍の兵士達に敵意を吹き込み、普段は小柄だが、争いが膨らめば大地に足をつきながら頭は天に届くほど巨大な姿になり、軍勢の中を駆け巡った。3日目の早朝、ゼウスはエリスに「戦いの兆し」を持たせ、エリスはアカイア軍の船に立ち、すさまじい大声で雄叫びを上げると、兵士達は闘争心と不屈の気力が湧き、戦いを好む様になり、アカイアとトロイア両軍の荒れ狂う戦闘を見て、エリスは大いに喜んだ。またアテナが纏う「アイギス」の姿の描写に、総が垂れ、縁には「ポボス(敗走)」が取り巻き、表には「エリス(争い)」「アルケ(武勇)」「イオケ(追撃)」に怪物ゴルゴーンの首がある。鍛冶の神「ヘパイストス」が作ったアキレウスの盾にも、人間共の激しい闘いに「エリス(争い)」と「キュドイモス(乱闘)」と「ケール(死)」といった神々が参戦する様が描かれている。これに似たものにウェルギリウスの叙事詩「アエネーイス」があり、ヘパイストス(ウゥルカーヌス)はアフロディーテ(ウェヌス)の息子「アイネイアス」のために盾を作るが、その盾の表にアレス(マルス)とエリニュス達と共に、裂けた衣を纏ったエリスと、その後ろに女神「ベローナ」が血色の鞭を持って従い、戦闘のただ中で荒れ狂う姿が描かれている。

出典:
Wikipedia

作者ひとこと:
エリスのデザインは、頭に林檎を載せ、片方の翼を背中に生やした姿の女神に描きました。

2022年7月27日水曜日

「カプリコーン」


カプリコーン<カプリコルヌス>

ギリシア神話やローマ神話に登場する半獣半魚の姿をした幻獣、または神獣。カプリコーンは、上半身は山羊、下半身は魚という姿をしている。「カプリコーン(カプリコルヌス)」という名前はラテン語「山羊(caper)」と「角(cornu)」の合成語で、「角のある山羊」つまり雄山羊を意味する。「カタステリスモイ(星々や星座の神話的な起源を、ヘレニズム期の解釈で語ったアレクサンドリアの散文)」が引くエピメニデスの説では、牧神「パーン」がオリュンポスの神々とともに、ティターンの神々と戦った際に、貝殻を法螺貝の如く吹き鳴らしたところ、ティターン達はその轟音にパニックを起こして潰走した。そのため、「ゼウス」がその戦功を嘉して星座(「やぎ座」カプリコーン、カプリコルヌス)とした。下半身が魚であるのは、パーンが魚と化して海に潜り、貝殻を手に入れた際の姿であるという。しかし一般の説では、ある時、ナイル川の岸辺で神々が宴会を開いていたところ、突然、怪物「テューポーン」が現れ、それに驚いた神々は動物に姿を変えて逃げた。笛を吹いて神々を楽しませていた、山羊頭のアイギパーン(パーン)はナイル川に飛び込んだところ、慌てていた為に、上半身は山羊でナイル川の水に浸かっていた下半身だけが魚という姿になってしまった。その姿を見た神々は、こぞって笑いものにした。ゼウスは、上半身が山羊で下半身が魚のパーンを空に差し上げ、星座(やぎ座)にしたのだと伝えられている。

出典:
Wikipedia(「カプリコルヌス」のページ、「やぎ座」のページ)
幻想世界幻獣事典(笠倉出版社)

作者ひとこと:
カプリコーンのデザインは、山羊の上半身と魚の下半身を持った姿の幻獣に描きました。

2022年7月26日火曜日

「ピュリプレゲトン」


ピュリプレゲトン<ピュリプレゲトーン、プレゲトン、プレゲトーン>

ギリシア神話に登場する神の内の一柱。ピュリプレゲトンは、冥界の河の神である。川の神ピュリプレゲトンが司る「プレゲトーン川」は、ギリシア神話に登場する冥府に流れる炎の川である。ギリシア語で「燃え盛る」という意味である。「ピュリプレゲトーン」もしくは「ピュリフレゲトーン(「燃え盛る炎」の意)」、長母音を省略して「プレゲトン」「ピュリプレゲトン」「ピュリフレゲトン」とも表記される。プラトンが執筆したソクラテスの死刑当日を舞台とした対話篇「パイドン」に記述されている。その内容を要約すると「オケアノスとアケローン川の中間を流れ、出てくる場所の近くで広大な火の領域に流れ込み、地中海より大きい水と泥を沸騰させる湖を形成する。そして地をドロドロと曲がりくねりながら進み[アチェルシア湖(アケルーシアス湖)]の端にたどり着くが、この湖の水とは交じり合わない。その後地を巡り巡って[タルタロス]に流れ込む。これがピュリフレゲトーンであり、大地の様々な場所から吹きあがるのもそう呼ばれる」とある。プレゲトーン川の川の神であるピュリプレゲトンは、海神「オケアノス」と女神「テテュス」の間に生まれた子である。

出典:
Wikipedia
神様コレクション

作者ひとこと:
ピュリプレゲトンのデザインは、頭に王冠を被っている、巨大なアザラシの様な姿の河神の姿に描きました。

2022年7月25日月曜日

「アケローン」


アケローン

ギリシア神話に登場する神の内の一柱。アケローンは、川の神である。川の神アケローンが司る「アケローン川」はギリシア北西部のイピロス地方を流れる川。アケローンという名前は「嘆きの川」「苦悩の川」と訳す事が出来、ギリシア神話では「カロン」が死者の魂を冥界「ハデス」へと渡す、地下世界の川「ステュクス」の支流と信じられた。「アケルージア」と呼ばれる湖と今もアケローンと呼ばれる川が、近接するネクロマンテイオンの遺跡とともに、コルフ島対岸の本土側パルガ近郊にある。アケローン川のもう一つの支流が、「アケルージアン洞窟(今のトルコのエレーリ)」で地表に湧き出ると信じられ、ロドスのアポローニオスの伝えるところでは、アルゴ船の乗組員によって目撃されたとの事である。イタリア半島に植民したギリシア人達は、アケローン川が流れ込むアケルージア湖と、アヴェルナス湖を同一視した。プラトンは「パイドン」の中で、アケローン川を世界で2番目に大きな川であるとし、これを超えるのは「オケアノス」のみであるとしている。プラトンは、アケローン川は人の住まない地の大地の下を、オケアノスとは逆の方向に流れていると主張した。ウェルギリウスは、「アエネーイス」第6巻の地下世界の記述の中で、他の地獄の川とともにアケローン川に言及している。ダンテの「神曲」地獄篇において、アケローン川は地獄前域で地獄との境界をなしている。ギリシア神話に従えば、渡し守カロンがこのアケローン川を越えて、死者の魂を地獄へ渡しているという。アケローン川の川の神であるアケローンは、海神「オケアノス」と女神「テテュス」の間に生まれた子(大地母神「ガイア」を母とする説もある)である。川の神アケローンは、冥界のニュンペーの「オルプネー」、あるいは「ゴルギューラ」との間に「アスカラポス」をもうけた。現代ギリシャ語(ディモティキ)では、アケローン川は「アヘロンタス川」という語形になる。ヨアニナ県南西部のゾティコに源を発し、テスプロティア県東南部を通過して、プレヴェザ県パルガ付近でイオニア海に注ぐ。

出典:
Wikipedia

作者ひとこと:
神様コレクションアケローンのデザインは、ワニの様な、怪魚の様な、ドラゴンの様な姿をした川の神の姿に描きました。

2022年7月24日日曜日

「カロン」


カロン<カローン>

ギリシア神話に登場する、冥界の河「ステュクス(憎悪)河」、あるいは、その支流である「アケローン(悲嘆)河」の渡し守。カロンは、夜の女神「ニュクス」と幽冥の神「エレボス」の間に生まれた息子である。カロンは櫂を持ち襤褸を着た、光る眼を持つ長い髭の無愛想な老人で、冥界の河を渡ろうとしている死者の霊を、獣皮で縫い合わせた小舟で彼岸へと運んでいる。その時の渡し賃は1オボロスとされ、古代ギリシャでは死者の口の中に1オボロス貨を含ませて弔う習慣があった。1オボロス貨を持っていない死者は後回しにされ、200年の間、その周りを彷徨ってからようやく河を渡る事が出来たという。カロンは、基本的に生者は船に乗せずに追い払うが、冥界の女王「ペルセフォネ」と結婚しようと画策した「ペイリトオス」と、彼を手伝おうとした「テセウス」は舟に乗せている他、英雄「ヘラクレス」が「ヘルメス(旅人・商人などの守護神)」の協力で冥界に来た際には、カロンはヘラクレスに力ずくで打ち負かされて出航を許し、吟遊詩人「オルペウス」が妻「エウリュディケ」を冥界から連れ出しに来た際には、カロンはオルペウスの竪琴と歌声に魅了されて言われるままに船を出しただけでなく、冥界の王「ハデス」の館でもっとその歌を聴こうとオルペウスの後に付いて行った。なお、カロンは、ヘラクレスを通した件では、これが元でハデスに罰せられ、1年間鎖に繋がれた。この他にも、父「アンキセス」から未来を聞く為、冥府に赴こうとした「アイネイアス」が巫女「シビュレー」の協力で、ペルセフォネに捧げる「黄金の枝」を持ってやって来た時は、その尊い贈り物に機嫌を良くしてアイネイアスを通し、「プシュケー」が「アフロディーテ(愛と美と性を司る女神)」から出された「エロス(恋心と性愛を司る神)」と結婚する為の試練の一つとして、「ペルセフォネの美しさ」をアフロディーテの化粧に使うため分けて貰いに冥界へ向かった時には、まず冥界に行く為に高い塔から飛び降りようとしたプシュケーに、その塔自身が助言し、口の中に渡し賃の貨幣を2枚含み、それぞれ1枚ずつを行きと帰りに使ってカロン自身の手に取らせる方法を使い、無事にステュクスを往復した。エトルリアの壁画では、カロンは、槌を持って頭に蛇の生えた姿で描かれている。カロンは、ダンテの「神曲」では、地獄界に登場し、「ダンテ」と「ウェルギリウス」を乗せた。

出典:
Wikipedia

作者ひとこと:
カロンのデザインは、手に櫂を持ち船に乗っている老人の姿に描きました。

2022年7月23日土曜日

「ヒュプノス」


ヒュプノス

ギリシア神話に登場する神の内の一柱。ヒュプノスは、眠りの神である。ヒュプノスという名前はギリシア語で「眠り」の意味であり、ヒュプノスは眠りを神格化した存在である。ヘーシオドスの「神統記」によれば、夜の女神「ニュクス」の息子で、ヒュプノスの兄弟には「タナトス(死の神)」や「モロス(死の定業、運命を司る神)」などの「死」を意味する神々がいる。また「夢(オネイロス)」がヒュプノスの兄弟でもある。ヒュプノスは兄のタナトスと共に、大地の遥か下方の「タルタロス」の領域に館を構えている。そしてニュクスが地上に夜をもたらす時には、ヒュプノスも付き従って人々を眠りに誘うという。兄のタナトスが非情の性格であるのに対し、ヒュプノスは穏やかで心優しい性格であるとされる。また、人の死も、ヒュプノスが与える最後の眠りであるという。ヒュプノスは、一般には有翼の青年の姿で表され、疲れた人間の額を木の枝で触れたり、角から液体を注いだりして人を眠らせるという。オウィディウスによれば、眠りの神ヒュプノスはレムノス島の奥深い洞窟に眠っており、その周りに「モルペウス」をはじめとする3種類の夢の神「オネイロイ」が漂っているとされる。また、キムメリオス人の住むという世界の果ての島の近くに暮らすともいわれる。ヒュプノスは、英雄「ヘラクレス」を迫害する女神「ヘラ」に頼まれて、主神「ゼウス」を眠らせた事があり、その後ゼウスに罰せられる所を母であるニュクスに助けられた。また、トロイア戦争の際にも、戦争からゼウスの気をそらそうとしたヘラに頼まれてゼウスを眠らせており、その後ヘラから女神「パーシテアー」を妻とする事を許された。

出典:
Wikipedia

作者ひとこと:
ヒュプノスのデザインは、大きな翼を持った神の姿に描きました。

2022年7月22日金曜日

「ネメシス」


ネメシス

ギリシア神話に登場する女神。ネメシスは、人間が神に働く無礼「ヒュブリス」に対する、神の憤りと罰の擬人化である。「ネメシス」の語は元来は「義憤」の意である。この女神は擬人化による成立のため、成立は比較的遅く、その神話は少ない。ネメシスは主に有翼の女性として表される。ヘーシオドスの「神統記」では、ネメシスは夜の女神「ニュクス」の娘とされる。神話によると、主神「ゼウス」はネメシスと交わろうとしたが、ネメシスは色々に姿を変えて逃げ、ネメシスがガチョウに変じたところ、ゼウスは白鳥となって遂に交わり、ネメシスは卵を生んだ。この卵を羊飼いが見つけてスパルタの王妃「レダ」に与え、この卵から「ヘレネ」と「ディオスクーロイ」が生まれたとされる。ただしゼウスがこの時、白鳥となって交わったのはレダであるという伝承もある。また、ニュンペーの「エーコー」の愛を拒んだ「ナルキッソス」に罰を与えたのはネメシスであるとされる。ネメシスの最も知られた神殿はアッティカ北部のラムヌースにあり、彫刻家・ペイディアースの刻んだネメシスの神像があった。ここでのネメシスは「アルテミス(狩猟・貞潔の女神)」に似た性格の女神とされ、「ラムヌースの女神」とも呼ばれた。またボイオーティアではアドラーストスが始めたとされる「ネメシス・アドラステイア(遁れることの出来ない者)」、すなわち必然のネメシスの崇拝があった。ギリシア悲劇においては、「アーテー(狂気の神格化の女神)」や「エリーニュス(復讐の女神た)」らと似たような役割、神罰の執行者としてしばしば言及される。アテナイではネメシスの祭り「ネメセイア」が行われた。これは十分な祭祀を受けなかった死者の恨みが、生者に対して向かわぬよう、執り成しを乞う事を主な目的とした。スミュルナで崇拝されたネメシスは、二つの姿を持つものとされ、アルテミスより「アフロディーテ(愛と美と性を司る女神)」に似た性格の女神であった。この二重性の起源は不詳であるが、ネメシス自体の性格の二重性(復讐をなだめる恩恵をほどこす側面と、呵責のない復讐者)、あるいはスミュルナの市が新旧二つの部分からなっていた事の反映であるとも推測される。

出典:
Wikipedia

作者ひとこと:
ネメシスのデザインは、手に稲妻と水仙の花を持った女神の姿に描きました。

2022年7月21日木曜日

「ストリュモン」


ストリュモン<ストリューモーン>

ギリシア神話に登場する神の内の一柱。このストリュモンは、海神「オケアノス」と女神「テテュス」の間に生まれた子で、トラキア地方(バルカン半島南東部)のストリューモーン川(現在のブルガリアとギリシャを流れるストルマ川)の河神である。またはトラキア地方の王であるとも言われる。ストルマ川、またはストリモナス川の名はトラキア語の「ストリュモン」に由来するが、これはインド・ヨーロッパ語族で「流れ」を意味する語からきている。トラキア王が川で溺死したという伝承にちなみ、ギリシア神話で「ストリュモン」とは河の神、ないし溺死したトラキア王の名を意味した。前3世紀の古代ギリシャには、これにちなむ人名「ストリュモン」も全国的にいた。河神ストリュモンは、「ムーサ」あるいは「エウテルペー」、「カリオペー」、「テルプシコラー」、「クレイオー」との間にトロイア戦争の英雄「レーソス」をもうけた。またおそらく「オリュントス」と「ブランガス」をももうけた。「ネアイラ」との間には娘「エウアドネー」が生まれた。ストリュモンはまた、戦神「アレス」によって「トラッサ」を生んだ「テレイネー」の父でもあった。またストリュモンの別の娘「ロドペー」は海神「ポセイドン」によって「アトス」の母になった。

出典:
Wikipedia

作者ひとこと:
ストリュモンのデザインは、冠をかぶった魚の姿の河神に描きました。

2022年7月20日水曜日

「シモエイス」


シモエイス

ギリシア神話に登場する神の内の一柱。このシモエイスは、海神「オケアノス」と女神「テテュス」の間に生まれた子で、トローアス地方を流れるスカマンドロス川の支流シモエイス川の河神である。シモエイスは、娘に「アステュオケー」「ヒエロムネーメー」がおり、アステュオケーはトロイア王「エリクトニオス」の妻となって「トロース」を生み、ヒエロムネーメーは「アッサラコス」の妻となって「カピュス」を生んだ。トロイア戦争では、女神「ヘラ」が戦車を駆ってスカマンドロス川とシモエイス川の合流地点にやって来て、戦車から神馬達を放した時、シモエイスは神馬達が食べる為に「アムブロシアー(神々の食べ物)」を生え出させた。また、スカマンドロスが大水を起こして、英雄「アキレウス」を襲った時、シモエイスはスカマンドロスに乞われて助力した。

出典:
Wikipedia

作者ひとこと:
シモエイスのデザインは、魚の姿の河神の姿に描きました。

2022年7月19日火曜日

「スカマンドロス」


スカマンドロス

ギリシア神話に登場する神の内の一柱。このスカマンドロスは、海神「オケアノス」と女神「テテュス」の間に生まれた子で、小アジアのトローアス地方を流れるスカマンドロス川(現在のカラメンデレス川)の河神である。ホメーロスによれば、神々は「クサントス」と呼び、人間達は「スカマンドロス」と呼ぶとされ、トロイアの人々は河神・スカマンドロスを深く信仰したという。スカマンドロスは、ニュンペーの「イーダイアー」との間に「テウクロス」と、娘「カリロエー」「ストリューモー」「グラウキア」をもうけた。テウクロスはダルダノス以前にトローアス地方を支配したとされ、カリロエーはその子孫であるトロイア王「トロース」の妻となり、またストリューモーもトロイア王「ラーオメドーン」の妻となった。トロイア戦争では英雄「アキレウス」がスカマンドロス川でトロイア軍を殺戮した時、スカマンドロスは怒ってパイオニアの武将「アステロパイオス」に勇気を与え、アキレウスを討たせようとしたが、逆にアキレウスはアステロパイオスを討ち、更にパイオニア勢を殺戮した。この為スカマンドロスは人の姿となって現れ、川が死体であふれている事を非難し、川の外で戦うよう言った。しかしアキレウスは聞かなかったので、スカマンドロスは大水を起こしてアキレウスを押し流そうとし、トロイア兵に対しては水で覆って保護した。アキレウスは水の勢いに耐えられず神々に助けを求め、女神「アテナ」と海神「ポセイドン」がアキレウスを励ました。これによってアキレウスは川から抜け出して平野に向かったが、この大水で平野は水浸しになり、死体が浮き漂ったという。アキレウスに逃げられそうになったスカマンドロスは「シモエイス(シモエイス川の河神)」に助力を求めたが、女神「ヘラ」は鍛冶の神「ヘパイストス」に命じて激しい大火を起こさせた。これによって平野の水は乾き、死体が燃え、更に川の水が煮えたぎったので、スカマンドロスはたまらず降参したという。スカマンドロス川の水に髪や羊毛を黄金色にする力があった事から「クサントス(黄金色)」とも呼ばれ、女神「アフロディーテ」もパリスの審判を受ける前に、その水で髪を洗ったといわれる。

出典:
Wikipedia
コトバンク

作者ひとこと:
スカマンドロスのデザインは、体が水で出来ている、サメの様な姿の河神に描きました。

2022年7月18日月曜日

「ダプネー」


ダプネー<ダフネ>

ギリシア神話に登場する「ニュンペー(下級女神、または精霊)」の一柱。このダプネーは、テッサリア地方の河神「ペーネイオス」の娘、あるいはアルカディア地方の河神「ラードーン」の娘であると言われている。ダプネーという名前はギリシア語で「月桂樹」という意味である。「アポロン」に求愛されたダプネーが自らの身を月桂樹に変える話は、ギリシア神話の物語の中でもポピュラーであり、この物語に由来する芸術作品や風習が数多く存在している。神話によると、ある日アポロンは、弓矢で遊んでいた「エロス(恋心と性愛を司る神)」を揶揄する。その事で激怒したエロスは[相手に恋する金の矢]をアポロンに、逆に[相手を疎む鉛の矢]を近くで川遊びをしていたダプネーにそれぞれ放った。金の矢で射られたアポロンはダプネーに求愛し続ける一方、鉛の矢を射られたダプネーはアポロンを頑なに拒絶した。追うアポロンと逃げるダプネー、遂にアポロンはペーネイオス河の畔までダプネーを追いつめたが、ダプネーはアポロンの求愛から逃れる為に、父である河の神に自らの身を変える事を強く望んだ。ダプネーの望みを聞き届けた父は、ダプネーの体を月桂樹に変えた。あと一歩で手が届くところで月桂樹に変えられてしまったダプネーの姿を見てアポロンはひどく悲しんだ。そしてアポロンは、その愛の永遠の証として月桂樹の枝から月桂冠を作り、永遠に身に着けている(ヒュギーヌスによれば、ダプネーの願いを聞き届けたのはガイアである)。アルカディア地方やエーリス地方の伝承によると、ピーサ王「オイノマオス」の息子「レウキッポス」がダプネーに恋をした。しかしダプネーは男を避けていたので、レウキッポスは女装して、自分をオイノマオスの娘だと偽って近づいた。ダプネーは他の女よりも身分が高く、狩りの腕にも秀でていたので、すぐにレウキッポスの事を気に入った。しかしアポロンは腹を立て、ダプネーや他の女達にラードーン河で泳ぎたいという強い思いを抱かせた。しかしレウキッポスが泳ぎたがらないので、女達はレウキッポスの衣服を剥ぎ取り、レウキッポスが男である事に気付くと、レウキッポスを剣で殺した。なお、セレウコス一世はアンティオケイア近郊のダプネーの地にアポロンの神殿を造営したが、そこにはダプネーが変身したとされる月桂樹があったという。

出典:
Wikipedia

作者ひとこと:
ダプネーのデザインは、身体が半分樹木になっている女神、または女性の精霊の姿に描きました。

2022年7月17日日曜日

「セイレーン」


セイレーン<セイレン、複数形「セイレーネス」、ラテン語「シーレーン」、英語「サイレン」、フランス語「シレーヌ」、ドイツ語「ジレーネ」、イタリア語「シレーナ」、ロシア語「シリェーナ」>

ギリシア神話に登場する幻獣、または怪物の一種。このセイレーンは、海の怪物である。このセイレーンは、上半身が人間の女性で、下半身は鳥の姿をしているとされるが、後世には人間の女性の上半身と魚の下半身という姿をしているとされた。セイレーンは、海の航路上の岩礁から美しい歌声で航海中の人々を惑わし、その航海中の人々を遭難や難破に遭わせる。また、その歌声に魅惑された挙句、セイレーンに喰い殺された船人達の骨は、島に山をなしたという。セイレーンという名の語源は「紐で縛る」「干上がる」という意味の[Seirazein]ではないかという説が有力である。セイレーンは、2姉妹、または3姉妹、または4姉妹、または5姉妹であるとされている。セイレーンの姉妹の構成員には諸説あり、2姉妹の場合は「ヒーメロペー(優しい声)」と「テルクシエペイア(魅惑的な声)」。3姉妹説ではアポロドーロスが「ペイシノエー(説得的)」「アーグラオペーメー(美しい声)」「テルクシエペイア」を挙げ、ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌスもまた[ギリシャ神話集]で、「テルクシエペイア」「モルペー(歌)」「ペイシノエー」を挙げている。あるいは「レウコーシアー(白)」「リゲイア(金切り声)」「パルテノペー(処女の声)」からなるとも言われる。4姉妹説では「テレース」「ライドネー」「テルクシオペー」「モルペー」で構成されている。神話ではセイレーン達は、元はニュンペーで、女神「ペルセポネー」に仕えていたが、ペルセポネーが冥界の王「ハデス」に誘拐された後にペルセポネーを探す為に自ら願って鳥の翼を得たという。他、ヒュギーヌスでは、誘拐を許した事を地母神「デメテル」に責められ、鳥に変えられたとされる。[オデュッセイア]エウスタティウス注では、誘拐を悲しんで恋愛をしようとしなかった為、愛と美の女神「アフロディーテ」の怒りを買い、鳥に変えられたとされる。パウサニアースの[ギリシア案内記]では、女神「ヘラ」の要請で、セイレーンとムーサが歌で競い合い、勝負に負けたセイレーンは、ムーサの冠を作る為に羽をむしり取られたとされる。セイレーン達の住む島については、ホメーロスは魔女「キルケー」の住むアイアイエー島と、プランクタイの岩礁あるいは「カリュブディス」と「スキュラ」の棲む海域の間にあると述べている。またヘーシオドスは、セイレーン達は「ゼウス」によってアンテモエッサ島を与えられたとし、島の名前についても言及しており、ロドスのアポローニオスも[アルゴナウティカ]でそれを踏襲している。セイレーンは、ホメーロスの[オデュッセイア]に登場する。オデュッセウスは帰路の際、彼はセイレーンの歌を聞いて楽しみたいと思い、船員には蜜蝋で耳栓をさせ、自身をマストに縛り付け決して解かないよう船員に命じた。セイレーンの歌が聞こえると、オデュッセウスはセイレーンのもとへ行こうと暴れたが、船員はますます強く彼を縛った。やがて船が遠ざかり歌が聞こえなくなると、落ち着いた船員は初めて耳栓を外しオデュッセウスの縄を解いた。ホメーロスはセイレーンのその後を語らないが、ヒュギーヌスによれば、セイレーンが歌を聞かせて生き残った人間が現れた時には、セイレーンは死ぬ運命となっていた為、セイレーン達は海に身を投げて自殺した。セイレーン達の死体は岩となり、岩礁の一部になったという。またセイレーンは[アルゴナウティカ]にも登場する。英雄「イアソン」らアルゴナウタイがセイレーンの岩礁に近づくと、乗組員の「オルペウス」がリラをかき鳴らして歌を打ち消す事が出来た。しかし「ブーテース」のみは歌に惹かれて海に飛び込み泳ぎ去ってしまった。セイレーンは、人間の女性の頭部と鳥の体を持った人頭鳥身の姿とされる事もある。中世以降セイレーンは半人半鳥ではなく、人魚の様な半人半魚の怪物として記述されている。文献で確認出来る鳥から魚への変化の最初の例は7世紀から8世紀頃の「怪物の書」と言われている。

出典:
Wikipedia
図説幻獣辞典(幻冬舎コミックス)

作者ひとこと:
セイレーンのデザインは、女性の頭と水鳥の身体を持った姿に描きました。

2022年7月16日土曜日

「ミノタウロス」


ミノタウロス<ミーノータウロス>

ギリシア神話に登場する怪物、または魔物の一種。このミノタウロスは、クレタ島の王「ミノス」の妻「パシパエ」の子供で、牛頭人身の姿をした怪物である。神話によるとミノスは、クレタ島における王位に就いた後、クレタ島の統治を巡って、ミノスとその兄弟で争いが起きた。その為ミノスは、海神「ポセイドン」に祈り、神が支持している事の証として、美しい白い雄牛(一説では黄金)を送って欲しいと願う。後でその雄牛を生贄に捧げるという約束をミノスにさせた上で、ポセイドンは雄牛をミノスに与える。しかし、雄牛の美しさに夢中になったミノスは、ポセイドンとの約束を違え、別の雄牛を生贄としてポセイドンに捧げ、美しい白い雄牛は自分の物にしてしまう。これに激怒したポセイドンは、ミノスの后であるパシパエに呪いをかけ、パシパエが例の白い雄牛に性的な欲望を抱くように仕向ける。悩んだパシパエは、名工の「ダイダロス」に命じ、密かに雌牛の模型を作らせる。そしてパシパエは自ら、その雌牛の模型の中へと入って、白い雄牛に接近し、思いを遂げた。結果、パシパエは牛の頭をした子供・ミノタウロスを産む事となった。産まれた牛頭人身の子供は、[星]を意味する「アステリオス」と名付けられるが、後に[ミノス王の牛]を意味する「ミノタウロス」と呼ばれる。ミノタウロス(アステリオス)は成長するにしたがい乱暴になり、手に負えなくなる。そこでミノスはダイダロスに命じて[迷宮(ラビュリントス)]を建造し、そこにミノタウロスを閉じ込めた。そして、ミノタウロスの食料としてアテナイから9年毎に7人の少年、7人の少女を送らせる事とした。アテナイの英雄「テセウス」は3度目の生贄として自ら志願し、ラビュリントスに侵入してミノタウロスを倒した。脱出不可能と言われたラビュリントスだが、ミノスの娘「アリアドネ」からもらった糸玉を使う事で脱出する事が出来た。このミノタウロスは、ダンテの「神曲」では[地獄篇]に登場し、地獄の第六圏である[異端者の地獄]においてあらゆる異端者を痛めつける役割を持つ。

出典:
Wikipedia

作者ひとこと:
ミノタウロスのデザインは、牛の頭と人間の身体を持った姿の怪物に描きました。

2022年7月15日金曜日

「キュクロプス」


キュクロプス<キュクロープス、サイクロプス>

ギリシア神話に登場する巨人、または怪物、または下級神。キュクロプスは、卓越した鍛冶技術を持つ下級神の一族である。また、怪物であるともされる。このキュクロプスは、額の中央に丸い眼が一つだけ付いている単眼の巨人(一つ目の巨人)であり、また、その大きな身体は筋肉が盛り上がっている。このキュクロプス族は、天空神「ウラノス」と大地母神「ガイア」の息子達で、「アルゲース(落雷・稲妻)」「ステロペース(電光・雷光)」「ブロンテース(雷鳴)」の三兄弟から構成される。このキュクロプスの三兄弟は、いずれも雷に関連する名前であり、雷の精だったのではないかと言われている。彼らキュクロプス達は、父神のウラノスに嫌われ、同じくウラノスとガイアの息子達で、キュクロプス族とは兄弟族である「ヘカトンケイル」族と共に奈落「タルタロス」へ落とされた。その後、ティターン神族の「クロノス」がウラノスを追放し、新にクロノスが政権を握った後も、久しくキュクロプスとヘカトンケイルはタルタロスに拘禁されたままであった。しかし、「ティタノマキア(ゼウス率いるオリュンポスの神々と、クロノス率いるティターンの神々との戦い)」の時、キュクロプスとヘカトンケイルは、ゼウスらによってタルタロスから解放される。キュクロプスはタルタロスから解放してもらった礼として、「ゼウス」には[雷霆]を、「ポセイドン」には[三叉の銛]を、「ハデス」には[隠れ兜]を造った。それ以降キュクロプスは、鍛冶の神「ヘパイストス」の元で鍛冶業を続けたと言われている(キュクロプス達は、シチリアのエトナ山の地下に仕事場を持ち、ヘパイストスの指示の下でアポロンの弓やアテネの鎧も作った、とも言われている)。その一方で、息子の「アスクレピオス」をゼウスの稲妻で失った「アポロン」の八つ当たりを食らい、キュクロプス達はアポロンによって虐殺されたという悲劇的な異伝もある。一方で、ホメーロスの叙事詩「オデュッセイア」の第9歌に登場するキュクロプス族は、旅人を食らうただ粗暴なだけの怪物である。ポセイドンを父に持つキュクロプスの「ポリュペモス」も含めて、そうであった。

出典:
Wikipedia
幻想世界幻獣事典(笠倉出版社)

作者ひとこと:
キュクロプスのデザインは、一つ目の巨人か怪物の姿に描きました。

2022年7月14日木曜日

「ハルピュイア」


ハルピュイア<ハーピー、ハルピー>(複数形「ハルピュイアイ」)

ギリシア神話に登場する幻獣、または怪鳥の一種。ハルピュイアという名前は「掠める女」を意味する(「ひったくるもの」という意味であるという説もある)。ハルピュイアは女面鳥身の怪物で、人間の女性の頭に鳥の体、または有翼の乙女の姿をしているとも言われている。または、人間の女性の上半身に鳥の翼と鳥の下半身を持った姿をしているとも言われる。このハルピュイアは、男神の「タウマース」と、タウマースの妻である女神「エーレクトラー」の間に生まれた娘で、ハルピュイアは、虹の女神「イーリス」の姉妹である。ハルピュイアは、英雄「イアソン」による[アルゴー号の探索(アルゴナウタイの冒険)]に登場し、罪を犯した「ピーネウス」を苦しめるエピソードが有名(盲目になったピーネウスのもとに食事が用意されると、ハルピュイア達が空から飛び降りて来て、この食事をさらってしまうようになった。残った食べ物も臭気に満ちて食べる事が出来なかった)。他にもハルピュイアは、アイネイアースの放浪譚に登場している。このハルピュイアは、冥界の王「ハデス」または主神「ゼウス」、ないし復讐の女神達「エリニュス」の手下とされる。ハルピュイアの性格については、不潔極まりないともいわれており、食卓の上に美しく並べられた料理をめちゃくちゃにし、排泄物を撒き散らすとも言われている。またハルピュイアは、いつも腹を空かせている為、顔は青白く、食べ物を見ると奪い合いながら貪り食うともいう。また、その体からは悪臭を放ち、不快な声を常に発しているとも言われている。神話によっては、ハルピュイアは「アエロー(疾風)」「オキュペテー(速く飛ぶ女)」の二姉妹であるとも、「ケライノー(黒い女)」を加えた三姉妹であるとも言われている。またそこに、さらに「ポダルゲー(足の速い女)」を入れた四姉妹であるとする場合もある。ハルピュイアは、ダンテの叙事詩「神曲」地獄篇の中では、地獄第七圏第二の環「自殺者の森」において、自ら命を絶った者が変容した樹木を啄む怪鳥として描写されている。このハルピュイアは本来、風の精で、つむじ風や竜巻の様な、地上の物体や人間を攫って空に持ち上げ運ぶ現象を具現化した存在である。また、墓場においてハルピュイアに供物を捧げる習慣があり、死者の霊とも見做された様である。

出典:
Wikipedia
幻想世界幻獣事典(笠倉出版社)
図説幻獣辞典(幻冬舎コミックス)

作者ひとこと:
ハルピュイアのデザインは、女性の頭と、鳥の体を持った姿に描きました。

2022年7月13日水曜日

「ケートス」


ケートス<ケートゥス、セタス>

ギリシア神話に登場する幻獣、または怪物、または神獣の一種。ケートスという名前は、鯨類やアザラシなどの「海獣」を意味するギリシア語である。またケートスは、個別の存在だけでなく巨大な海洋生物全般を指す場合もある。怪物としてのケートスは、大きく膨れたイルカや鯨に似た胴体に猪や犬に似た頭部を持ち、下半身は魚で、尾鰭は扇形で二つに割れているという姿をしている。または、竜(ドラゴン)や大蛇の様な姿をしているとも言われている。ケートスは、その頭蓋骨だけで12m以上、背骨は1キュビットの厚さがあり、横たわる骨格だけで象よりも高さがあったとされる(船と変わらないほどという場合もある)。このケートスの出自については、主神「ゼウス」ないし海神「ポセイドン」によって作られたとも、巨人「テュポーン」と、テュポーンの妻である怪物「エキドナ」の間に生まれたとも言われており、伝承によって差異がある。またケートスは、海に住む女神達「ネーレーイス」等を運ぶ描写がされる事例も少なくない。最も有名なエピソードに於いて、ケートスはポセイドンによって作り出され、エチオピア人の王国を崩壊させる為に送り込まれている。エチオピア王「ケーペウス」の妃である「カッシオペイア」が自らの美貌を誇示し、女神「ヘラ」や海のニュンペー達よりも美しいと吹聴した為、ポセイドンの怒りを買った。ポセイドンが仕向けたケートスを鎮めるには、ケーペウスとカッシオペイアの娘の「アンドロメダー」を生贄にするしかなく、アンドロメダーは鎖に繋がれ、海岸の岩に縛り付けられた。束縛されたアンドロメダーがケートスに喰われようとした所に、メドゥーサを退治した英雄「ペルセウス」が通りかかった。ケートスはペルセウスによって退治され(剣で倒されたとする話と、メドゥーサの首を突き付けられ石と化したとする話とがある)、アンドロメダーは救われ、ペルセウスの妻となったという。またケートスは、ヘーシオネーを救うためにヘラクレスによって倒される逸話もある。エトルリアに伝わったケートスは、死者の魂を来世に運ぶ[プシュコポンポス(魂の導者)]の役割を担った為、骨壷や石棺に多くのケートスやイルカや「ヒッポカムポス(海馬)」が描かれている。またエトルリア神話に登場する、海も含む水全般を司る神「ネタンス」は、ケートスを象徴した兜を持っている描写がされる場合がある。

出典:
Wikipedia

作者ひとこと:
ケートスのデザインは、背中に汐を噴く穴がある、海竜の様な姿の怪物に描きました。

2022年7月12日火曜日

「キマイラ」


キマイラ<キマエラ、キメラ、キメイラ、カイメラ、シメール>

ギリシア神話に登場する幻獣、または怪物の一種。キマイラという名前は「牝山羊」という意味である。このキマイラは、巨人「テュポーン」と、テュポーンの妻である怪物「エキドナ」の娘である。キマイラは、ライオンの頭と山羊の胴体、蛇(または竜)の尻尾を持ち、口からは火炎を吐く。また、山羊の頭を持つ女性の姿で表される事もある。「イーリアス」では前半身がライオンで中程が山羊、後部が大蛇となっている。また、後代の絵画や彫刻では蛇の尾を持ち、胴から山羊の頭が飛び出したライオンの姿で表された。また、ライオンと雌山羊、蛇の三つの頭を持った怪物として描かれる事もある。このキマイラはリュキアに住み、カーリア王「アミソーダロス」に育てられた。キマイラは、口から吐き出す火炎によって、人間達が住む土地を荒らしていたとも言われている。キマイラは、天馬「ペーガソス」に乗る英雄「ベレロポーン」により、背中に矢を射られて退治された(ベレロポーンが鉛の塊をつけた槍をキマイラの口に差し込むと、キマイラは苦しさから火炎を吐いた。すると鉛が溶け、キマイラは窒息死した、とする説もある)。またキマイラは、父親のテュポーンが嵐の精であった様に、キマイラも嵐の雲の化身と考えられた。中世のキリスト教寓意譚では、キマイラは主に「淫欲」や「悪魔」といった意味付けを持って描かれた。12世紀の詩人マルボートによれば、様々な生物の要素を併せ持つ事から女性を表すとされている。この他、ライオンの部分を「恋愛における相手への強い衝動」、山羊の部分を「速やかな恋の成就」、蛇の部分を「失望や悔恨」をそれぞれ表すとされたり、その奇妙な姿から「理解できない夢」の象徴とされた。一般には、怪物の総称や妄想、空想を表わす普通名詞ともなっている。

出典:
Wikipedia
幻想世界幻獣事典(笠倉出版社)
図説幻獣辞典(幻冬舎コミックス)

作者ひとこと:
キマイラのデザインは、ライオンと山羊の頭を持った、ライオンの上半身と山羊の下半身の姿の怪物に描きました。尾は蛇になっています。

2022年7月11日月曜日

「サテュロス」


サテュロス(複数形「サテュロイ」)

ギリシア神話やローマ神話に登場する半人半獣の自然の精霊である。サテュロスは、ローマの森の精霊「ファウヌス」やギリシアの牧羊神「パーン」としばしば同一視された。またサテュロスは、「自然の豊穣の化身、欲情の塊」として表現される。サテュロスは、森や山に出没し、パーンや「ディオニュソス」がサテュロス達の仲間である。ホメーロスによる言及はないものの、ヘーシオドスの著作の断片では、サテュロスは、山のニュンペーや「クーレース(大地の女神レアーを崇拝する9人の男性の精霊の踊り手)」の兄と呼ばれており、サテュロスは怠惰で無用の種族とされている。サテュロス達はディオニュソス信仰と強く結び付いている。男性のディオニュソス信者がサテュロスで、女性のディオニュソス信者が「マイナス、マイナデス」である。サテュロス達は悪戯好きだったが、同時に小心者でもあった。また破壊的で危険であり、また恥ずかしがり屋で臆病だった。サテュロス達はワインと女性と男性(美少年)を愛した。アウロスという笛、シンバル、カスタネット、バグパイプといった楽器の奏でる音楽に乗って、ニュンペー達と踊ったり、彼女達を口説いたりした。サテュロスは、人間にとっては激しい恐怖だった。サテュロス達はディオニュソスのドンチャン騒ぎに絡めて語られる事が多く、ギリシアの神話や伝説の中ではマイナーな存在である。サテュロス達はスキニスという特徴ある踊りを踊った。またサテュロスは、本能的にあらゆる肉体的快楽をむさぼろうとした。サテュロス達は、葡萄と蔦で作った花輪を頭に載せ、ディオニュソスに倣って豹や山羊、子鹿の皮を纏っていたが、それ以外は裸で、ファルスを聳え立たせていた。またサテュロス達はワイングラスを手に持って描かれる事がしばしばであって、ワイングラスの装飾としても用いられる事がある。サテュロス達は、しばしば松毬を先に付けたディオニュソスの杖、テュルソスを持ち歩いている。サテュロス達は不死の神ではなく、歳を取れば死んだ。彩色花器等ギリシアの工芸品に、人間の人生の三段階に合わせたサテュロスの絵がある。成人したサテュロスは顎髭があり、禿げている。禿げている事はギリシア文化においては屈辱的で体裁の悪い事だった。高齢のサテュロスは通常「シーレーノス」と呼ばれた。半人半馬の飲んだくれであるシーレーノスは、パーンの息子といわれ、ディオニュソスの養父、先生にして酒のみ仲間である。またサテュロスは、暴力によっても死んだ。サテュロス達は、神話上のディオニュソスのインド行軍で戦死している。またノンノスによると、サテュロスの一人「マルシュアース」は、太陽神「アポローン」と音楽の腕を競って敗れ、罰として生きながら全身の皮を剥がされて死んだ。成熟したサテュロスは、前頭部に山羊の角を持つが、若いサテュロスはそこに骨ばった突起を生やしている。アッティカの彩色花器に描かれたサテュロスは平らな鼻、尖った大きな耳、長く巻いた髪、立派な顎髭、馬か山羊の尾部を持っている。乳首の様な突起を頚部に持つ事もある。サテュロス達は様々なスタイルで描かれる。上半身が人間で下半身が山羊というのが最も多い。時には頭に角を生やしている。また、それほど多くはないが、下半身が馬である事もある。いずれにせよ、長くて太い尾と、常時勃起しっぱなしの陰茎を持っている。時代が下るにつれ、人間風に描かれる様になり、獣としての性格を失っていく。最後は尻尾だけがサテュロスであることを伺わせるところまで至った。初期のギリシアでは、サテュロスは年老いた怪物的な姿で描かれ、下半身も人間の姿であった。ギリシアの彫刻や絵画に描かれているサテュロスも、紀元前4世紀以前のものは人の姿をしている事が多いが、それを境に半人半獣の姿で描かれる事が多くなっていった。後年の作品では、特にアッティカにおいて、獰猛な性格は和らげられ、もっと若く優美な特徴を示すようになった。プラクシテレースの複製と言われている有名な像では、サテュロスは笛を手にし、優美に木にもたれている。年寄りのサテュロスはシーレーノス、若いサテュロスは「サテュリスキ」と呼ばれた。ローマでは、サテュロスは森の精ファウヌスにまつわる広く知られた詩的な想像と混淆した。また、粗野な精であるパーンとも関連づけられ、サテュロスはパーンの眷属と見なされた。ギリシアでは優美なサテュロスが描かれるようになったが、ローマでは再び臀部から蹄までが山羊に似た姿にイメージされた。ローマのサテュロスは、しばしば大きな角を持って描かれる。小羊の角の場合もある。

出典:
Wikipedia

作者ひとこと:
サテュロスのデザインは、巨大なペニスを持った半人半山羊の姿の精霊に描きました。

2022年7月10日日曜日

「レムレース」


レムレース(単数形「レムール」)

ローマ神話に登場する霊の一種。レムレースは、騒々しく有害な死者の霊、または影を意味し、生きている人々を騒がしたり、怖がらせたりするという意味で悪霊「ラルヴァ」に近い。「レムレース」は文学にも稀に使われる語で、ホラティウスの作品やオウィディウスの「祭暦」で使っている。このレムレースは、埋葬や葬式や心のこもった祭儀を行ってもらえなかった霊が彷徨い出し、恨みを抱くようになったものを意味する事もある。また、墓や奉納文があるからといってレムレースにならないとは言えない。オウィディウスはレムレースを、放浪し常に満たされず執念深い、地下世界の祖先神(マネス神、またはパレンテス神)と解釈していた。オウィディウスにとって、それらの信仰儀礼は不可解なほど古風で、半ば神秘的で、おそらく、かなり古い伝統の根ざしているだろう事を示唆していた。後のアウグスティヌスは、レムレースとラルヴァの事を、騒がせたり怖がらせたりする悪い「マネス」だとし、一方で守護神ラレースを良い「マネス」だとした。霊であるレムレースは形を持たず、ほとんど知覚できないもので、レムレースは、暗闇や暗闇によってもたらされる不安と結びついている。共和制時代からローマ帝国時代にかけて、5月の9日、11日、13日をレムレースを慰め、家庭内から追い払う祭り「レムーラーリア(またはレムーリア)」の日としていた。家長がその夜、立った状態で黒い豆を後ろに投げ、豆の転がっていった方向を注視しないようにする。レムレースはその豆を好むものとされていた。レムレース自体は恐ろしいものであり、彼らが、家長の提供したものに満足出来なかった場合、青銅の壷を強打して打ち鳴らし、びっくりさせる事があると言われていた。また一方で、生前に悪行を働いた者は悪霊「ラルヴァ」になるが、逆に生前によい行いをした者は「レムレース」になるとも言われている。レムレースはよい行いをした者達の霊で、レムレース達は人間の姿をしている。しかし、レムレースもずっと無害だったわけではなく、放っておくと、家や地上にとどまり悪さをするようになってしまい、ついには邪霊になってしまうのだという。また元々、レムレースとラルヴァには厳密な区別がなかったとも言われている。そこで、ローマでは毎年5月になるとレムレースの祭りを行い、死後の霊達を祖霊として接待、もてなした後で、冥界へと追い払う儀式をした。レムレースの祭りの日の真夜中になると、家長は黒くなるまで乾かした豆を口に含んで外に出る。それから、レムレース目掛けて、その豆を吹きつけながら立ち去るよう呪文を唱えた。

出典:
Wikipedia
幻想世界幻獣事典(笠倉出版社)
幻想世界の住人たちⅡ(新紀元社)

作者ひとこと:
レムレースのデザインは、四本の髭を生やした精霊の姿に描きました。

2022年7月9日土曜日

「フォーン」


フォーン

ギリシア神話に登場する精霊の一種。このフォーンは、半人半獣の牧神「ファウヌス」の親類、または子孫であると言われている。フォーン自身も豊穣を司る。フォーンは、上半身は美しい青年、下半身は山羊、耳と脚は鹿に似ているとされる(山羊の脚、蹄、角を持った半人半獣の姿とも言われている)。また、フォーンの光沢のある毛は手触りもいいという。フォーンの容姿は牧神「パーン」や、半人半獣の精霊「サテュロス」に近いものの、性格はまったく違い、フォーンは穏やかで気品に満ちている。酔っ払ったり暴れたりするような事はほとんどなく、平和を好む大人しい精霊である。またフォーンは、ショームという楽器の達人であり、しばしば演奏会を開いては、素晴らしい音色で魅了する。フォーンは、自分の住んでいる森や野原に暮らしている動物達の守護霊であるという。またパラケルススは、フォーンを自然の元素の象徴として定義づけた。フォーンは動物の精霊で、動物の守護霊であるという。

出典:
幻想世界神話辞典
幻想世界幻獣事典(笠倉出版社)

作者ひとこと:
フォーンのデザインは、背中から蝶の翅が生えている、半人半獣の精霊の姿に描きました。

2022年7月8日金曜日

「マネス」


マネス<マーネース>

ローマ神話に登場する霊の一種。マネスは祖先の霊である。このマネスは、冥界に住んでいる祖先の霊である。マネスという名前は「善良なる霊」という意味で、マネスは、生きている人間に危害を加える事はなかった。またマネスは、神の如き力を得ている霊でもあった。人々はマネスの加護を祈って、2月に行われる「祖霊祭・パレンターリア祭(日本でいうお盆の様なもの)」を祝い、酒や食べ物などの捧げ物をマネスに捧げた。このパレンターリア祭の期間中の数日間に、マネス達が墓から戻ってくると信じられていた。またマネスは、鉱山や洞窟の奥などの地底に良く現れたとも言われている。なので、その様な鉱山や洞窟の奥に行けば、2月でなくともマネスに会う事が出来たとも言われている。なお、その様な地底に現れるマネスは、地底で人間を道に迷わす事もあったという。マルクス・トゥッリウス・キケロによれば、アヴェルヌス湖付近の特定の洞窟でマネスを呼び出す事が出来るという。マネスは、祖霊の霊とされる以外にも、弱い精霊の一種や、亡くなった愛する人の魂であるとも言われていた。マネスは、古代ローマでは無害な霊とされたが、宗教革命後のヨーロッパでは地獄に棲む悪霊や悪魔の一種と見なされるようになった。その姿も恐ろしい悪魔や獣の姿に変わっていった。

出典:
Wikipedia
幻想世界幻獣事典(笠倉出版社)
幻想世界の住人たちⅡ(新紀元社)

作者ひとこと:
マネスのデザインは、両手が翼、両足が蹄になっている精霊の姿に描きました。

2022年7月7日木曜日

「ラルヴァ」


ラルヴァ

ローマ神話に登場する悪霊の一種。ラルヴァは、正しく埋葬されなかった者や、生前に悪行を働いた者の霊である。ラルヴァ達は冥界に行く事が出来ず、死後も地上を彷徨い歩いている。ラルヴァは夜になると彷徨い歩き、生者を見つけると呪い殺す悪霊である。また、ラルヴァを降霊術で呼び出すのは、非常に危険な事であった。また悪霊であるラルヴァは、力の弱い低級の霊であるとも言われており、無駄に流された精液や経血から生まれてくる霊であるとも言われている。ラルヴァは、生きている人間を見つけると襲い掛かり、取り憑いて、その人間の生命力を吸い取るのだという。悪霊であるラルヴァの知能はないに等しく、本能的に煩悩のある人間を探し出すと、実体化して、その人間に纏わり付く。実体化したラルヴァは、人間の胎児や動物、死体、及びそれらを合成した様な姿をとるが、その姿は半流動的で一時として同じ姿をとる事はない。ラルヴァに取り憑かれた者は、様々な病気に陥り、生気がなくなっていく。目は落ちくぼみ、身体はやせ細って、その身体のあちこちに妙な痣や、奇怪な模様が浮かび上がってくる。取り憑いた人間が死んでしまうと、それ以上甘い汁が吸えなくなるので、ラルヴァは、取り憑いた人間を生かさず殺さず扱うという。ラルヴァが狙うのは、気弱な人間や病気の者であったとも言われている。古代ローマでは毎年5月に死者を祀る「レムーリア祭(死霊祭)」が三日間行われ、その時期はラルヴァ達も活発に活動した。5月は死者を悼む月であり、結婚などには向かない縁起が悪い月でもあった。

出典:
幻想世界幻獣事典(笠倉出版社)
幻想世界の住人たちⅡ(新紀元社)

作者ひとこと:
ラルヴァのデザインは、2本爪の両手が分離している姿の悪霊の姿に描きました。

2022年7月6日水曜日

「アパテー」


アパテー<アパテ>

ギリシア神話に登場する女神。アパテーという名前は「欺瞞」を意味している。このアパテーは、欺瞞・不実・不正・失望を擬人化した女神である。ヘーシオドスの「神統記」によると、アパテーは夜の女神「ニュクス」の娘であるという。またアパテーは、「パンドラの箱」の中の災いの一つでもある。

出典:
Wikipedia
ファンタジィ事典

作者ひとこと:
アパテーのデザインは、ドレスを身に纏った、一つ目の女神の姿に描きました。

2022年7月5日火曜日

「オネイロス」


オネイロス(複数形「オネイロイ」)

ギリシア神話に登場する神。オネイロスは夢の神、または夢の神々である。オネイロスという名前は、ギリシア語で「夢」を表す語であり、名前の通りオネイロスは夢を神格化した神である。オネイロスは、夜の女神「ニュクス」の息子である。人間が眠っている間に、オネイロスは夢を見せて、その眠っている人間の心を休ませる。心を休ませると同時に、オネイロスは夢によって神意を伝える神でもあり、その夢は重要な意味を持った。古代ギリシアでは、夢占いが盛んに行われた。これは、オネイロスが見せるメッセージとしての夢を解き明かす事であり、神々の意図を知る事でもあった。オネイロイは遙か西方、太陽が沈む西の彼方に住処を持っているとされる。その住処は死の国の近くでもあった。オネイロイは、この住処である夢の国から二つの門のどちらかを潜って人間の世界を訪れる。象牙の門を潜って出てくるオネイロスは、実りのない偽りを人々に伝え、他方、磨かれた角の門を潜って出てくるオネイロスは、真実を伝えるとされた。その為、夢占いで、神々のメッセージとしての夢を解き明かそうとしても、しばしば、象牙の門を潜ってやって来るオネイロス(夢)があるので、人々は迷わされる事になる。また、オウィディウスの「変身物語」が述べるところでは、眠りの神「ヒュプノス」の住処がキンメリオイの国の近くの深い山の中にあるとされる。ヒュプノスの住処は洞窟で、その最も奥深い場所でヒュプノスが象牙の寝台で眠っており、その周りに形の知れない空しい夢が妖しくも漂っているとされる。ここから人の夢に、定かならぬ姿や形が現れるのである。この眠りの洞窟の奥のヒュプノスの寝台のまわりに漂う夢達には、3種類があるとされる。人の姿を取る夢の「モルペウス」、獣の形を取る夢の「ポベートール」、物体の形を取る夢の「パンタソス」の3種類である。この3種類の夢(オネイロイ)、それぞれが人間達に様々な夢を見せるという。

出典:
Wikipedia
ファンタジィ事典

作者ひとこと:
オネイロスのデザインは、羊の引く車に乗っている巨大な眠っている頭の姿をした神の姿に描きました。

2022年7月4日月曜日

「アペリオテス」


アペリオテス

ギリシア神話に登場する神。アペリオテスは「アネモイ」と呼ばれる風の神達の内の一柱であり、このアペリオテスは下位のアネモイである。ヘーシオドスやホメーロスが記述している内容によると、元来、この下位のアネモイ達は、怪物「テュポン」によって生み出された邪悪で粗暴な精霊「アネモイ・テュエライ(「嵐」という意味)」であり、雄のハルピュイアである「テュエライ」であった。アペリオテスは南東の風の神である。このアペリオテスは、農耕に対して有益な、恵みの雨を齎す神でもある。アペリオテスは、親切げな表情をした、巻き毛で髭を生やしていない男神で、足には雨靴を履き、手には果物籠、あるいは花々や穀物を布で覆い包んだものを抱えている姿で描写される。アペリオテスは下位の風の神であったため、しばしば上位の風の神である、東風の神「エウロス」と習合される事もあった。

出典:
Wikipedia(「アネモイ」のページ)
幻想世界事典

作者ひとこと:
アペリオテスのデザインは、背中に片方だけの翼を生やした風の神の姿に描きました。頭を花々や葡萄などで飾っています。

2022年7月3日日曜日

「アイーウス・ロクーティウス」


アイーウス・ロクーティウス

ローマ神話に登場する神。アイーウス・ロクーティウスは、紀元前390年のガリア人の襲来をローマ人に告げたとされる神である。

出典:
神様コレクション
共和制ローマ(「古代ローマ神名事典」のページ)

作者ひとこと:
アイーウス・ロクーティウスのデザインは、頭にオリーブの冠を被った、目鼻が無く、口だけの顔をした神の姿に描きました。

2022年7月2日土曜日

「モルペウス」


モルペウス

ギリシア神話に登場する神。モルペウスは夢の神で、「オネイロイ」と呼ばれる夢の支配者である神々の内の一柱である。モルペウスという名前は、「形作るもの」や「造形者」という意味である。モルペウスは、人間の姿を取る夢の神で、このモルペウスは、人間にイメージを提供する神であると言われている。また、人間が見る夢や空想に人間の姿のイメージを送り、夢を形作ったり、夢に宿るものたちに形を与えたりする神であるとも言われている。モルペウスは、大きな黒い翼を持った姿をしているとも言われ、その翼で音もなく飛翔したという。オウィディウスの「変身物語」によれば、モルペウスは薄暗い洞窟の黒檀のベッドに、ケシの花に囲まれて眠り、特別な力により、夢の中で人間の姿形や声色を真似る事が出来るという。モルペウスは、夜の女神「ニュクス」の息子である。また別の説では、眠りの神「ヒュプノス」と、女神「パーシテアー」の間に生まれた子供であるとも言われている。薬物のモルヒネ(旧名・モルフィウム)の名前は、その夢を誘発する力からモルペウスにちなんで名付けられた。

出典:
Wikipedia
ファンタジィ事典
神様コレクション

作者ひとこと:
モルペウスのデザインは、頭巾の様なフードの様なものを頭に被っている神の姿に描きました。

2022年7月1日金曜日

「アクィロー」


アクィロー<アクィロ、アクィロン、セプテントリオ>

ローマ神話に登場する風の神の一柱 アクィローは、北風の神である。

出典:
Wikipedia(「アネモイ」のページ)
神様コレクション
共和制ローマ(「古代ローマ神名事典」のページ)

作者ひとこと:
アクィローのデザインは、天を飛び回る竜の様な、蜥蜴の様な姿をした風の神に描きました。