自己紹介

このブログでは、僕が描いた神話や伝説などに関する絵や、その絵の解説を載せています。
(イラスト、記事の執筆:マゴラカ、ワンタ) ※2024年度より、月・水・金曜日の21時に更新していきます。

2023年3月27日月曜日

「網剪」


網剪(アミキリ)

江戸時代中期の画家、浮世絵師の鳥山石燕(とりやま せきえん)の妖怪画集「画図百鬼夜行(がずひゃっきやこう)」に描かれた妖怪。石燕による解説はなく、網剪がどのような妖怪かは、描かれたその姿から想像するしかない。海老の様な身体で、蟹の鋏の様な手をした妖怪を石燕は描いているが、多田克己(ただ かつみ)の「絵解き 画図百鬼夜行の妖怪」によれば、これは網とアミ(海老に似たアミ科の節足動物。釣餌や佃煮などに使われる)とをかけて創作したものとしている。山田野理夫(やまだ のりお)の「東北怪談の旅」には、網切り(アミキリ)という妖怪が登場し、その網切りは山形県庄内地方の妖怪とされている。網切りは、庄内の漁村に現れ、人目のないときに修繕中の漁網をズタズタに切り裂く 金之助という者の家ではこの害を防ぐため、昼飯時は網を家に取りこんだが、寝ている間に蚊帳がズタズタに切られたという。鳥山石燕の画図百鬼夜行には網剪という妖怪が描かれており、これが山田野理夫の作品の網切りの元になったと推察される。鳥山石燕の網剪は絵姿だけの妖怪だが、妖怪図鑑形式の記事や書籍では、網切り(網剪)は網や蚊帳を切り落とす妖怪として紹介され「東北怪談の旅」の話が例話として用いられる事が多い。

出典:
日本妖怪大事典(角川書店)
日本怪異妖怪事典 東北(笠間書院)

作者ひとこと:
網剪のデザインは、手が鋏になっている、海老の様な姿の妖怪に描きました。

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