地蔵ヶ淵のとね坊(ジゾウガフチノトネボウ)
神奈川県茅ヶ崎市に伝わる。地蔵ヶ淵にいたという大きな鰻。大きな鰻を釣り上げた男が、早速家に持ち帰ってぶつ切りに刻み、鍋で煮てみたところ、裏口から「地蔵ヶ淵のとね坊ヤーイ」という声が聴こえて来た。すると鍋の中の鰻が「オーイ」と返事をし、ぶつ切りにされる前のすがたに戻って家の外へ出て行ったという(「茅ヶ崎市史」三 考古・民俗編)。「とね坊」という名前は出て来ないが、ぶつ切りにされた身が再び寄り合ってもとに戻り、出て行ったという地蔵ヶ淵の鰻のはなしは、神奈川県藤沢市でも語られており、そちらでは耳の大きな鰻(「藤沢の民話」三)と語られている。【耳の大きな鰻(耳の生えた鰻)】は大鰻の特徴としてよく語られている要素でもある。
出典:
日本怪異妖怪事典 関東(笠間書院)
作者ひとこと:
地蔵ヶ淵のとね坊のデザインは、大きな鰻の姿に描きました。イラストの地蔵ヶ淵のとね坊には、説明文に出て来る、地蔵ヶ淵の耳の大きな鰻の要素も入れて、耳がある大鰻の姿にしてみました。
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