木霊(コダマ)
樹木に宿る精霊。あるいはその樹木の魂や、宿った樹木そのもの。森にある古木には精霊が宿っていると言われ、人はこの精霊を「木霊(コダマ)」、または「木魂(コダマ)」と呼び慣わしていた。木霊の宿る木は、主に立ち入りを禁ずる聖域に多く、侵入者を追い払う性質があった。聖域が山全体の場合には「イラズ山」「タタリ山」「アゲ山」「イセチ」などと呼んで、山作業のできない山として恐れられた。もし禁忌を破り、あえてその山を侵すと、恐ろしい体験や怪我はもちろん、最悪の場合には生命を失う羽目に陥る。そのため林業を営む人々は聖域以外でも祟りを恐れ、木霊供養などを行っていた。木霊は宿っている木から遊離して、怪音や妖しい火、または獣や人の様な姿となる事がある。この様な姿をとって人前に現れる場合は、木霊が警告や訓戒をするためだと考えられる。聖域を侵されたときや、自分が宿っている木を伐られそうになっているなどの危機の時に、木霊は人前に姿を現すという。木霊の宿り木を伐ろうとしている者には、木霊が人の姿となって夢枕に現れる。木霊にとって宿り木を伐られるという事は、自分の生死に関わる事なので必死に説得しようとする。この時、木霊の説得を聞き入れた者には、木霊から何らかのお礼があるが、いくら説得しても聞き入れぬ者には、木霊は容赦なく祟りをなすという。また、山や谷で音が反射して遅れて聞こえる現象である「山彦(やまびこ)」は、精霊である木霊の仕業であるとされていた。また、「延喜式(えんぎしき)」には、遣唐使船をつくるための樹木を伐採する時、木霊ならびに山の神を祭ったという記事がある。「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」では樹神を「和名 古多万(こだま)」としている。「源氏物語(げんじものがたり)」や「徒然草(つれづれぐさ)」では、木霊を妖怪の様なものとして記しており、木霊は古くから怪異をなす霊とされていた。「嬉遊笑覧(きゆうしょうらん)」などでは、木霊は天狗の事とされている。
出典:
ピクシブ百科事典
コトバンク
幻想世界の住人たちⅣ 日本編(新紀元社)
作者ひとこと:
木霊のデザインは、体から葉や、枝が生えている、木の精霊の姿に描きました。
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