自己紹介

このブログでは、僕が描いた神話や伝説などに関する絵や、その絵の解説を載せています。
(イラスト、記事の執筆:マゴラカ、ワンタ) ※2024年度より、月・水・金曜日の21時に更新していきます。

2020年5月3日日曜日

「コックリさん」



コックリさん(コックリサン)<狐狗狸さん>

日本において明治時代から現代に至るまで多くの人々に親しまれている占いの一種であり、また降霊術でもある。コックリさんの方法は大きく分けて二つあり、現在一般的なものは、机の上に「はい、いいえ、鳥居、男、女、0~9(出来れば漢字で書いた方が良い)までの数字、五十音表」を記入した紙を置き、その紙に書かれている鳥居の上に十円玉を置き、参加者全員が、その十円玉の上に人差し指を添えていく。そして全員、十円玉の上に人差し指を置き終えたら、全員が力を抜いて「コックリさん、コックリさん、おいで下さい」と言った呪文を唱える、と言うもの。成功すると、参加者が指を置いている十円玉が動きだすが、これは、コックリさんで呼び出された霊が現れ、十円玉を動かしているとされ、この霊は十円玉を動かしてどんな質問にも答えてくれるのだとされている。これに似た方法では十円玉ではなく、真ん中で束ねた三本の割り箸を使用し、その割り箸が指すもので答えを聞くというものもある。もう一つは明治時代から伝わる方法で、三本の竹の上にお櫃を載せ、その上に布を被せたものを用いる。参加者は、この布を被せたお櫃の上に軽く手を載せ、その三本の竹で支えられているお櫃の傾きによって占うというもの。どちらの占いも降霊術の一種として考えられており、コックリさんに「狐」「狗」「狸」の文字を当て「狐狗狸(コックリ)」と当て字をする為か、この降霊術で現れる霊は、狐の霊が現れるとされる例が特に多い。このコックリさんは、元々は西洋の「テーブル・ターニング」や「ウィジャボード」という占いに起源を持つ。テーブル・ターニングは、丸いテーブルの周りに複数人が集まり、テーブルに手を載せて、神を呼ぶ呪文を唱え、そして一回ならイエス、二回ならノーなど、そのテーブルの足が独りでに地面を叩く回数で占いをするというもの。明治時代の哲学者・井上円了の著作「妖怪玄談 狐狗狸」によれば、1884年にアメリカの帆船が伊豆・下田近海で破損した際、修理に立ち寄った下田にて、このテーブル・ターニングが伝えられ、この占いに用いられる装置が、こっくり、こっくりと傾く様子から「こっくりさん」という名前が与えられた事が日本におけるコックリさんの起源なのだという。それが全国に広まる過程で「狐狗狸」の漢字が与えられたようである。一方で紙に五十音などを書くタイプのコックリさんは、ウィジャボードが元になっていると思われる。ウィジャボードは1892年にアメリカのパーカー・ブラザーズ社が占い用のゲーム商品として開発・発売したもので、一枚のボードにアルファベットとアラビア数字、それにYes、Noの文字と降霊術を終わらせる為のG--dbyeの文字が用意されているというもの、これが日本に伝わった際にコックリさんの占いの方法の中に取り入れられたものと思われる。この方法は1970年代前半には全国の小中学生の間で流行していた事が中岡俊哉著「狐狗狸さんの秘密」に記されており、その当時からコックリさんを行った事で不可思議な現象に見舞われたという報告が多々あったという。また岡本和明他著「コックリさんの父 中岡俊哉のオカルト人生」には、中岡俊哉氏が1971年に、その著書「テレパシー入門」でコックリさんに触れていた事、またテレビ番組での出演でも折に触れてコックリさんの方法等を紹介していた事について記されており、全国の子供達の間にコックリさんが広まったのは中岡俊哉氏の力によるものも大きいと思われる。また、日本国外でもコックリさんが行われていた話がある。松谷みよ子著「現代民話考2」には、戦時中、戦地で日本兵達が行ったコックリさんの話が二例載る。一例目は大東亜戦争の際、戦争がいつ終結するのかと、コックリさんに問うと「昭和二十三年、日本が大勝利に終わる」と答えたが、戦争は敗北で終わった。後にその理由を再びコックリさんに尋ねてみると「原子爆弾に驚いた」とコックリさんが答えた、というもの。二例目は戦地にてコックリさんを迎え、戦争の勝敗をコックリさんに伺ったところ、「マ、ケ、ル、ライネン七ガツ」と答えたというもの。この話では日本を遠く離れてもやって来てくれる。コックリさんは、兵隊を励まし導いてくれる存在であるとされており、兵士達の心の救いとなっていたという。また同シリーズの「現代民話考6」にも終戦を予言したコックリさんの話が載り、小松和彦監修「日本怪異妖怪大事典」によれば、戦中は他にも復員の有無もコックリさんに占われていたという。また、コックリさんをやった為に恐ろしい目に遭ったという体験談も多い。「お帰り下さい」と言っても帰ってくれない、とか、「コロス」、「ノロウ」などの不吉な言葉が質問に関係なく回答として返ってくる、とか、コックリさんをしていた人が失神したり、おかしな事を口走る様になる、というものが多いが、他にも久保孝夫編「女子高生が語る不思議な話」には、コックリさんをやっている内に一人の女子生徒の首が一回転して死亡した、とか、顔や行動が狐の様な状態になった、という話が載る。学校の怪談編集委員会編「学校の怪談大事典」には、コックリさんをやっていると、急に息が出来なくなった。学校の怪談編集委員会編「学校の怪談2」には、毎晩狐の夢を見て翌朝鼻血が出る、無理やり自殺させられる。松谷みよ子著「現代民話考7」には、数時間に渡って金縛りにあう、猫の死骸が何よりの好物、大きな白狐が夢に現れ、教室の中を覗いていた。フジテレビ出版「木曜の怪談 紫の鏡」には、トイレの花子さんの居場所をコックリさんに聞いたところ、一人の子供が降霊した花子さんに取り憑かれ、トイレの中で泡を吹いて倒れていた、などの恐怖体験が語られている。韓国でもコックリさんは「分身娑婆(ブンシンサバ)」と呼ばれ、主に子供の世代に浸透している。朝鮮半島のコックリさん(分身娑婆)は、日本の統治時代に日本で流行したコックリさんが、朝鮮に流入し始まったと見られる。台湾では、コックリさんを「碟仙(ディエシェン)」と呼び、新聞の上に皿を載せる形で行われる。

出典:
Wikipedia
日本現代怪異事典(笠間書院)

作者ひとこと:
コックリさんのデザインは、耳の大きな獣姿の霊に描きました。首周りには鳥居の描かれた布を付け、お腹には十円玉を付け、体中に五十音が付いています。

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