自己紹介

このブログでは、僕が描いた神話や伝説などに関する絵や、その絵の解説を載せています。
(イラスト、記事の執筆:マゴラカ、ワンタ) ※2024年度より、月・水・金曜日の21時に更新していきます。

2022年10月12日水曜日

「天羽槌雄命」


天羽槌雄命(アメノハヅチオノミコト)<建葉槌命(タケハヅチノミコト)、武羽槌命(タケハヅチノミコト)、武羽槌雄命(タケハヅチノオノミコト)、天羽槌雄神(アメノハヅチノオノカミ)、天羽雷命(アメノハヅチノミコト)、倭文神(シズノカミ)>

日本神話に登場する神の内の1柱で、この天羽槌雄命は「日本書紀(にほんしょき)」や「古語拾遺(こごしゅうい)」などに言及される神である。この天羽槌雄命は機織の祖神として信仰されている神である。名前の「羽(は)」は、動物の身を覆うものという意味から「布帛(ふはく)(木綿や絹織物)」を表し、「ツチ」の「チ」は威力を意味し、「ハツチ」で着物の神である事を表している。「古語拾遺」の天岩戸神話には、『天羽槌雄神(倭文の遠祖なり)をして文布(しず)を織らしめ、天棚機姫神(アメノタナバタヒメノカミ)をして神衣(かむみそ)を織らしむ』とある。天羽槌雄神は、「天照大御神(アマテラスオオミカミ)」の岩戸隠れにおいて文布(あやぬの)を織って供物とした神である。この時、天羽槌雄神が織り出したのは、「倭文(しず)の綾織り」というものだったという。倭文とは、古代の織物の一種の「倭文織(しずおり)」の事で、楮や麻などを材料として布を織る時に、ヨコ糸を赤や青い色に染めて乱れ織りにしたものである。古代において美しい織物は、神を祀る時の最高の供え物の一つだった。そういう貴重な織物を生み出す機織りを司るのが天羽槌雄命なのである。天羽槌雄命は、別名「倭文神(シズノカミ)」とも呼ばれる。天羽槌雄命は機織りを生業とする倭文氏の遠祖であるとされる。また、天羽槌雄命は「天日鷲神(アメノヒワシノカミ)」の御子神とされる場合がある。この天羽槌雄命を織物業の祖神として祀っているのが、鳥取県の倭文(しとり)神社である。社伝によると、昔この地方には、織物を生業とする倭文氏が住んでいて、彼等が信仰する神を祀ったのが始まりとされている。その他にも、倭文織の産地を示すものとして「続日本紀(しょくにほんぎ)」に『諸国の神への供え物のうち、倭文は常陸国(茨城県)から奉献される』と記されている。当時、常陸国あたりが倭文織物の特産地として有名だった事がうかがえる。現在、茨城県那珂郡瓜連町に織物業者の信仰を集める静(しず)神社があり、その祭神が天羽槌雄命である。天羽槌雄命は、別名の倭文神としても織物の産地に祀られている。また天羽槌雄命(建葉槌命)は、高天ヶ原に従わない「天津甕星神(アマツミカボシノカミ)」を服従させるために、「経津主神(フツヌシノカミ)」「建御雷之男神(タケミカヅチノオノカミ)」の二神に加えて更に派遣された神で、建葉槌命によって天津甕星神は服従するに至った。

出典:
神魔精妖名辞典
「日本の神様」がよくわかる本(PHP文庫)

作者ひとこと:
天羽槌雄神のデザインは、六本の腕が織物になっている神の姿に描きました。イラストの天羽槌雄神は、腕の織物の中に星の神である天津甕星神を封じたイメージで、織物に星座である二十八宿を織り込んだ感じで描きました。

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