自己紹介

このブログでは、僕が描いた神話や伝説などに関する絵や、その絵の解説を載せています。
(イラスト、記事の執筆:マゴラカ、ワンタ) ※2024年度より、月・水・金曜日の21時に更新していきます。

2024年8月30日金曜日

「狢雪洞」


狢雪洞(ムジナノボンボリ)

空に出ている月とは別に、ぼんやりと薄暗い光りの月を出して人を驚かしたりするもので、ムジナの化け種目の一つ。茨城には、これが得意なムジナが多かったようである。茨城県東茨城郡茨城町では、ムジナが提灯をつけたりお月様に化けるのは夏が多い。土手に上がっていると、明るい月があるのに、提灯のようなぼんやりした月がでた。出てから数分でだんだん消えていった。「ムジナノボンボリ」と言われていた、というはなしもある。

出典:
怪異・妖怪伝承データベース
和漢百魅缶

作者ひとこと:
狢雪洞のデザインは、満月に化けている狸の様な獣の姿に描きました。

2024年8月28日水曜日

「千軒の火」


千軒の火(センゲンノヒ)

茨城県神栖市に伝わる。千軒の火は、暴風雨の夜などに砂浜に現われる怪火である。むかし青塚千軒・黒塚千軒というたいへん豊かな長者たちが暮らしていた村があったが、鹿島の神を怒らせたことから一夜のうちにどちらの村も滅んで砂浜になってしまった。あやしい火は黒塚千軒のあったところから飛ぶとされる(「民話のふる里」)。茨城県の海岸部には「千軒」と称される交易などで繁栄した豊かな村のはなしが多数あり、このはなしもそのひとつである。

出典:
日本怪異妖怪事典 関東(笠間書院)

作者ひとこと:
千軒の火のデザインは、燃え盛りながら飛ぶ怪火の姿に描きました。

2024年8月26日月曜日

「むじな玉」


むじな玉(ムジナダマ)

茨城県東茨城郡茨城町に伝わる怪火の一種。竹藪から大きな火の玉が飛んで来た。急に周囲が明るくなり、火の玉は赤黄色でその周りは青みがかっていた。波打って飛び、上に行くと光は広がった。近くの人はむじな玉だと言う。

出典:
怪異・妖怪伝承データベース
神様コレクション

作者ひとこと:
むじな玉のデザインは、真ん中にぼんやりと獣の顔が浮かび上がっている火の玉の姿に描きました。

2024年8月23日金曜日

「赤菜の婆さん」


赤菜の婆さん(アカナノバアサン)

栃木県芳賀郡茂木町に伝わる。むかし居たというふしぎな老婆で、畑の野菜をことごとく真っ赤な色に変えてしまうちからを使い、ながいこと農民たちを苦しめていたという。昔、魔法使いの婆さんが住んでいて、どんな野菜も真っ赤にする術を知っていた。魔法を使い、百姓をいじめて米や味噌をもらって生活していたが、誰も相手にしてくれなくなり、すべての作物を赤くする呪いをして、血を吐いて死んだ。神主にお払いしてもらったが効果はなく、赤い作物しかできなかったという。

出典:
怪異・妖怪伝承データベース
和漢百魅缶

作者ひとこと:
赤菜の婆さんのデザインは、西洋の魔女の顔をイメージした顔の老婆に描きました。イラストの赤菜の婆さんは、手に持っている杖から、野菜を真っ赤にする魔法を出すというイメージです。

2024年8月21日水曜日

「泥鑵子」


泥鑵子(ドロカンス)

神奈川県相模原市の下九沢に伝わる妖怪。石室と呼ばれる場所に出たとされるが、何をする妖怪なのかについては残されていない。鑵子(かんす)というのは、お湯を沸かせるための銅や鉄でできた茶釜のような器のことである。

出典:
日本怪異妖怪事典 関東(笠間書院)

作者ひとこと:
泥鑵子のデザインは、鑵子の様な頭を持った妖怪の姿に描きました。イラストの泥鑵子の体は、泥や砂、土から出来ているイメージです。

2024年8月19日月曜日

「すいけんぼう」


すいけんぼう(スイケンボウ)

埼玉県名栗村(現・飯能市)に伝わる妖怪。すいけんぼうは、昼間は山蔭にひそんでいるが、夜になると川を転がって来て人里に出て、夜遊びをしている者を戒めに来たという妖怪である。このすいけんぼうの頭は西瓜みたいだと語られていたという。

出典:
日本怪異妖怪事典 関東(笠間書院)

作者ひとこと:
すいけんぼうのデザインは、西瓜の様な大きな頭を持った妖怪の姿に描きました。

2024年8月16日金曜日

「棚婆」


棚婆(タナババ)

神奈川県津久井郡青根村(現・相模原市)に伝わる妖怪。「たなばんばあ」とも。棚婆は、家の棚(たな。農家にあった養蚕などをしていた屋根裏にある部屋のこと)に出るという恐ろしい婆である。または、棚婆は、家の棚に棲む恐ろしい婆であるとも言われている。

出典:
日本怪異妖怪事典 関東(笠間書院)
日本妖怪大事典(角川書店)

作者ひとこと:
棚婆のデザインは、蚕の様な芋虫の顔や手足を持った老婆の姿の怪物に描きました。

2024年8月14日水曜日

「トラマツの火」


トラマツの火(トラマツノヒ)

埼玉県秩父郡東秩父村に伝わる怪火。昔、白石に乞食の親子が居ついていたが、子どものトラマツが盗み食いをして、村人に殺されてしまった。村人はその死骸を峠の木の枝につるしておいたので、親の乞食は「この土地に祟れ」と言ってどこかへ行ってしまった。その後、白石では何かよくないことが起る度に峠に青い火が見えた。その火を「トラマツの火」といった。後に村の人たちはトラマツのために地蔵を峠に建てて祀り、それをトラマツ地蔵という。

出典:
怪異・妖怪伝承データベース

作者ひとこと:
トラマツの火のデザインは、泣いてる子供の様な顔がある怪火の姿に描きました。

2024年8月12日月曜日

「とうかん火」


とうかん火(トウカンビ)<稲荷火>

狐火のこと。狐が起こすという怪火。提灯のような赤い火が飛んで見えたりする。千葉県などで呼ばれている。「とうか」は「稲荷(いなり)」の意味で狐を示していることば。千葉県佐倉市などでは、この「とうかん火」が、水田と川の間を飛ぶという。「とうかん火」は、気温の生ぬるい夜によく出たという。

出典:
瓶詰妖怪
日本怪異妖怪事典 関東(笠間書院)

作者ひとこと:
とうかん火のデザインは、飛び回る赤い怪火というイメージで描きました。イラストのとうかん火は、狐が古い骨に点した狐火という設定にしたので、下からその古い骨が覗いています。

2024年8月9日金曜日

「馬魂」


馬魂(ウマダマ)

夜空に現れて光り、やがて点滅して消えたという、かなり大きなふしぎな光物(ひかりもの)で、50㎝ぐらいに見えたという。一緒にいた八人ぐらいが同時に目撃したのだが、そのうちのひとりだけは、他のひとが見えると語っている横で同じ方角を見ても一切これが見えなかったという。府中競馬場の近くで見られたことと、人魂というには寸法が大きい印象から、馬の魂なんじゃないか、などと語られた。東京都府中市で語られる。「馬魂」という呼び名や解釈は話者の女性(大正5年生まれ、18歳ごろだと語っているので、昭和初期のはなしか)たちの「競馬場だから馬の馬魂なんじゃないか」といった会話のなかで既に構築されているもので、発想としておもしろい。

出典:
日本怪異妖怪事典 関東(笠間書院)

作者ひとこと:
イラストの馬魂は、本当に馬の魂だったらというイメージで、馬の蹄紋様が沢山ある怪火の姿に描いてみました。

2024年8月7日水曜日

「もんどり婆様」


もんどり婆様(モンドリバアサマ)<もんどり婆(モンドリバア)>

栃木県黒磯市(現・那須塩原市)に伝わる妖怪。百村(もむら)にある東福寺というお寺のあたりに出たという老婆の姿の妖怪。また、この「もんどり婆」は、栃木県黒磯市百村(現・那須塩原市百村)に伝わる山姥である、とも言われている。このもんどり婆は、付近の村の人々を大変困らせていたといわれるが、ある日、鉄砲で傷を負わされてからは姿を現さなくなったといわれる。

出典:
和漢百魅缶
妖怪邸・妖堂 日記帳
日本怪異妖怪事典 関東(笠間書院)

作者ひとこと:
もんどり婆様のデザインは、鬼女や山姥をイメージした姿の老婆の妖怪に描きました。

2024年8月5日月曜日

「足かき婆あ」


足かき婆あ(アシカキババア)<足掻婆>

栃木県芳賀郡茂木町に伝わる妖怪。橋の下にいて、上を通る人の足をひっかく。清水の山口境の土橋の下にいる「足かき婆あ」が、そこを通る人の足を引っかくという。

出典:
怪異・妖怪伝承データベース
神様コレクション
和漢百魅缶

作者ひとこと:
足かき婆あのデザインは、人の足を引っかくための大きく長い爪を生やした手を持った妖怪の姿に描きました。

2024年8月2日金曜日

「天狗坊淵の主」


天狗坊淵の主(テンゴンボウブチノヌシ)

神奈川県日連村(現・相模原市緑区)の天狗坊淵にいたぬしで、巨大な鰻だという。「天言坊(テンゴンボウ)」(「神奈川の伝説」)とも。大水が出たとき、よその川に大鰻が打ち上げられたことがあったが、その背に「テンゴンボウ」という字が現われていた。また、この淵で多くの鰻を釣って帰ろうとすると、山のほうから「てんごんぼーうー」という声が響いて来て、魚籠の中の鰻たちが「さらばよー」と答えた、などのはなしも伝わる。この淵の深さによって、その年の豊作・凶作を占ったりもしたという。神奈川県煤ヶ谷村(現・清川村)の「おとぼうが渕」に伝わる話では、ぬしである大きな山女魚が釣られてしまったあと、「天狗坊や、おとぼうはいま仏坂を負われて行くゾ」と、淵に向かって声を上げた(「煤ヶ谷村話」)と語られており、群馬県の「おとぼう鯰(オトボウナマズ)」との重なりもみられる。内郷村の隣の日連村を流れる青田川に天狗坊淵という大深淵がある。この淵の深浅で年の豊凶を占った。また鰻の宝庫といわれ、あまり古いことではないが、野良坊という鰻捕りの名人がやって来たという。野良坊は様々に仕掛けを工夫したが、餌をとられたり糸を切られたりした。ある時は水中から大蜘蛛が糸をかけてきて引き込もうとしたという。そしてどこからともなく「天狗坊の何太郎」という声が聞こえたかと思うと、魚籠の鰻が皆消え失せてしまった。野良坊はこれがぬしかと気がつき、それ以来淵へはいかなかった。また、ある人が鰻を沢山捕って帰ろうとすると山から「テンゴンボウ」と呼ぶ声がし、魚籠の鰻が、「さらばよー」と答えたので、魚籠を投げ捨てて帰ったという話もある。このぬしは大洪水の時に、流れ出してどこかの河原へ打ち上げられたが、その背に「テンゴンボウ」という字が現れていたともいう。また、天狗坊渕で釣りをしていて、何心なく「天狗坊……」と言いかけたら釣った魚がすべて木の葉に変わった、という話も伝わっている。

出典:
怪異・妖怪伝承データベース
龍鱗
日本怪異妖怪事典 関東(笠間書院)

作者ひとこと:
天狗坊淵の主のデザインは、背に「テンゴンボウ」という字が現れている大鰻の姿に描きました。