自己紹介

このブログでは、僕が描いた神話や伝説などに関する絵や、その絵の解説を載せています。
(イラスト、記事の執筆:マゴラカ、ワンタ) ※2024年度より、月・水・金曜日の21時に更新していきます。

2024年9月20日金曜日

「山颪」


山颪(ヤマオロシ)


江戸時代中期の画家、浮世絵である「鳥山石燕(とりやま せきえん)」の妖怪画集「画図百器徒然袋(がずひゃっきつれづれぶくろ)」に、下ろし金の妖怪として描かれたもので、【豪豬といへる獣あり。山おやじと言ひて、そう身の毛はりめぐらし、此妖怪も名とかたちの似たるゆへにかく言ふならんと、夢心におもひぬ】とある。「和漢三才図会(わかんさんさいずえ)」によれば、「豪豬」とは猪のようで、背中には一尺(約30㎝)ほどの針を生やし、ひとたび怒ると、その針が矢のように飛ぶとあり、豪豬と書いてヤマアラシと読ませている。どうやらこれは齧歯類の動物であるヤマアラシのことのようである。石燕は下ろし金の突起とヤマアラシの棘を掛けて、このような妖怪を描いたものと思われる。

出典:
日本妖怪大事典(角川書店)

作者ひとこと:
山颪のデザインは、頭が下ろし金になっている、鬼か魔獣の様な姿の妖怪に描きました。

2024年9月18日水曜日

「シャコガイタバハナアルキ」


シャコガイタバハナアルキ

ハラルト・シュテュンプケが著したとされる「鼻行類(びこうるい)」の中で紹介されている、奇妙な構造を持つ動物の一種。鼻行類の原産地は、日本軍の捕虜収容所から脱走したスウェーデン人のエイナール・ペテルスン=シェムトクヴィストが発見した、南海のハイアイアイ群島である。クダハナアルキ科のタバハナアルキ属に含まれる2種のうちの一つ。シャコガイタバハナアルキは、群島全域の潮間帯に分布する。幼獣と雄は、干潟の波の静かな場所にたまった泥のなかや、サンゴ塊のすきまにある泥のなかに棲んでいる。他の鼻行類、とくに他の管鼻類にくらべても恒温性の発達がなおきわめて不完全である。この種が酸化的代謝を相当に阻害されてもかなり長時間耐えることができるのは、このことと関連している。実際この小動物は、1日に15分から30分くらいしか波をかぶらない潮間帯上部に棲んでいる。けれども彼らは3時間にわたって大気を遮断されても耐えられる。そのようなときには一種の麻痺状態に陥って、(体にまったく毛がないので)体全体が青白くなり、ふたたび空気を吸うと、ただちにもとの黄色味を帯びた肉色にもどる。性的成熟に達したシャコガイタバハナアルキの雌たちは、満潮時にシャコガイの開いた貝にとりつき、すばやく外套膜と貝殻のあいだにもぐりこむ。まもなくそこには、こぶし大から子どもの頭大の外套瘤ができるが、真珠層を形成するのはその一部だけである。干潮時にこの瘤はシャコガイによって空気を満たされ、鰓室内にヘルニア蓑のように隆起する。寄生者はその口吻で寄主の体液と生殖物質の一部を摂取する。交尾は漂流中の雄によって夜間の満潮時におこなわれる。ごく小さな子が産みおとされるのも、やはり夜間の満潮時でろうと思われる。

出典:
鼻行類(平凡社)

作者ひとこと:
シャコガイタバハナアルキのデザインは、長く伸びた口と鼻を持った動物の姿に描きました。

2024年9月16日月曜日

「シュノーケルタバハナアルキ」


シュノーケルタバハナアルキ

ハラルト・シュテュンプケが著したとされる「鼻行類(びこうるい)」の中で紹介されている、奇妙な構造を持つ動物の一種。鼻行類の原産地は、日本軍の捕虜収容所から脱走したスウェーデン人のエイナール・ペテルスン=シェムトクヴィストが発見した、南海のハイアイアイ群島である。クダハナアルキ科のタバハナアルキ属に含まれる2種のうちの一つ。この種は二、三の小さな湖の泥のなか、および潮間帯上部の流れのゆるやかな川沿いに生息し、おもに貧毛類と昆虫の幼虫を食べている。鼻のように長く伸びた口で食物を探し、すすりこむのである。そのさいタバハナアルキは、ふつうは約30cmの深さで1日に1~2m掘り進む。呼吸はサイフォンのように伸長した鼻を通しておこなわれる。この鼻は40cm、つまり頭胴長の4倍先まで伸ばすことができる。鼻が左右非相称になっている(先端が花型に開いた左の鼻管は空気を吸いこむのに使われ、右の鼻管は呼気をはきだすのに使われる)ため、気道が長くても呼吸用の空気は十分供給される。交尾と繁殖について、正確なことは何もわかっていない。妊娠中の雌と生後まもない幼獣は1年じゅうみることができる。

出典:
鼻行類(平凡社)

作者ひとこと:
シュノーケルタバハナアルキのデザインは、長く伸びた鼻と口を持った動物の姿に描きました。

2024年9月13日金曜日

「キンカイショクミツオハナアルキ」



キンカイショクミツオハナアルキ<金灰色ミツオハナアルキ>

ハラルト・シュテュンプケが著したとされる「鼻行類(びこうるい)」の中で紹介されている、奇妙な構造を持つ動物の一種。鼻行類の原産地は、日本軍の捕虜収容所から脱走したスウェーデン人のエイナール・ペテルスン=シェムトクヴィストが発見した、南海のハイアイアイ群島である。ツツハナアルキ科のミツオハナアルキ属に含まれる19種のうちの一つ。この種はカオリミツオハナアルキとともにミタディーナ島に生息するが、キンカイショクミツオハナアルキはこの島の東半分に、カオリミツオハナアルキは西半分に分布する。これらのミツオハナアルキ属の特徴は、真に固着性の種であるということである。すなわち、彼らは鼻で固着して立ち、ふつうは幼獣期に選んだ付着場所から離れることはない。鼻で立ち、鼻から赤味を帯びた黄色の分泌液を出す。この分泌液は時がたつにつれて、大きな柱状の足状部、すなわち鞍になり、この小動物の体(頭胴長約8cm、尾長11cm)はしだいに高く持ち上げられていくことになる。尾、とりわけ毒爪のある先端に皮膚腺が分布し、果実のような香りのする粘着力の強い分泌物を出す。この匂いにおびき寄せられて尾にとまった昆虫は、そこにくっついてしまい、この動物の前肢ではぎとられて口へ運ばれる。きわめて小さな昆虫が飛んできて付着した場合には、いちいち摘まみとったりせずに、ときどき尾を口でしごいてなめとる。海に近い石ころだらけの斜面にコロニーを作って生息する。このコロニーはふつう小さな陸生のカニと共生しており、カニはこのハナアルキの食べこぼしを食べて暮らし、その糞も片づける。繁殖期になると、雄は薄明時に自分の鞍を捨て、すべりながら、かつ前肢でいざりながら雌に近づく。そして交尾を終えると、ふたたび自分の鞍にもどる。

出典:
鼻行類(平凡社)

作者ひとこと:
キンカイショクミツオハナアルキのデザインは、鼻から出る分泌物で固着し、尾からネバネバした分泌物を出している小動物の姿に描きました。

2024年9月11日水曜日

「ハナススリハナアルキ」


ハナススリハナアルキ

ハラルト・シュテュンプケが著したとされる「鼻行類(びこうるい)」の中で紹介されている、奇妙な構造を持つ動物の一種。鼻行類の原産地は、日本軍の捕虜収容所から脱走したスウェーデン人のエイナール・ペテルスン=シェムトクヴィストが発見した、南海のハイアイアイ群島である。ハナススリハナアルキは、ツツハナアルキ科のハナススリハナアルキ属に分類される。ハナススリハナアルキは、小形のハツカネズミ大の動物であるとのこと。この種族は、ハイダダイフィ島の流れの緩やかな小川の岸辺に生息するとされ、水の上に張り出した植物の茎にしがみつくようにとまっている。餌の捕まえ方が変わっており、長く伸びた鼻から細く長い糸を、鼻水のように水中へ垂らす。粘着力のあるこの糸に、小形の水生動物がくっついたところを、獲物(主として甲殻類や幼虫であるが、稀に小さな魚も含まれる)をある程度釣り上げてから、その極端に長い舌で鼻先から嘗めとる。これらの挙動緩慢で鈍感な小動物は、防衛手段としてよく動く長い尾を備えている。尾の先端には毒腺があり、その毒液は、毛が変形して生じた中空の爪に流れ込むようになっている。たいていは小群をなして暮らしているので、全員が一斉に尾を振り回して身を守ることができるという。

出典:
鼻行類(平凡社)

作者ひとこと:
ハナススリハナアルキのデザインは、長い鼻から鼻水の様な細く長い糸をたらした、小動物の姿に描きました。

2024年9月9日月曜日

「如意自在」


如意自在(ニョイジザイ)


江戸時代中期の画家、浮世絵である「鳥山石燕(とりやま せきえん)」の妖怪画集「画図百器徒然袋(がずひゃっきつれづれぶくろ)」に描かれた妖怪で、【如意は痒(かゆき)ところをかくに、おのれがおもふところにとどきて、心のごとくなるよりの名なれば、かく爪のながきも痒ところへ手のとどきたるばけやうかなと、夢心に思ひぬ】とある。【如意(にょい)】とは仏具の一種で、僧侶が使う孫の手のようなものである。室町時代の「百鬼夜行絵巻」には空を飛ぶ如意の妖怪が描かれているが、石燕はこれをモデルにしているらしい。

出典:
日本妖怪大事典(角川書店)

作者ひとこと:
如意自在のデザインは、三ツ目で、手に鋭い爪を生やした妖怪の姿に描きました。

2024年9月6日金曜日

「狢の提灯」


狢の提灯(ムジナノチョウチン)


狢や狸の悪戯だとされており、夜空にぼんやりと大きな提灯のあかりのようなものが突然浮かんで、人を驚かしたりする。茨城県・千葉県などに伝わる。必ず木の枝に寄り添って出ているので、すぐ「狢の仕業だな」とわかったりもしたという(「子どもの歳時と遊び」)。光が赤い色や黄色をしている(「龍ヶ崎市史民俗調査報告書」一馴柴・八原地区)という特徴は「狐火(キツネビ)」や「狢火(ムジナビ)」に共通する部分であり、「人魂(ヒトダマ)」などとは異なる部分でもある。

出典:
日本怪異妖怪事典 関東(笠間書院)

作者ひとこと:
狢の提灯のデザインは、狢が口から怪火を出して、それを空中に上げようとしている姿に描きました。

2024年9月4日水曜日

「ちからここ」


ちからここ(チカラココ)

方郁作「百物語化絵絵巻」(江戸時代)に描かれている妖怪。「化物絵巻」(国立歴史民俗博物館蔵)にある「大化(オッカ)」や尾田淑太郎「百鬼夜行絵巻」にある名称記載のない妖怪と同系統のもので、土佐派の「百鬼夜行絵巻」の類に描かれた丸く赤い妖怪が元と思われる絵姿のみの妖怪である。「ちからここ」なる名前がつけられているのは現状これが唯一の例で、どのような意味かもよくわかっていない。

出典:
【妖怪図鑑】新版TYZ

作者ひとこと:
ちからここのデザインは、一本脚を持った妖怪の姿に描きました。

2024年9月2日月曜日

「大化」


大化(オッカ)

化物尽くしの絵巻に描かれている妖怪の一種。丸みを帯びた体に足が一本ついているという姿は、土佐派の絵師らが描いてきた「百鬼夜行絵巻」にみえる丸く赤い妖怪が元になっているものと思われる。この形の妖怪は複数の作に描かれているが、今のところ「大化」という名がつけられていることが確認できるのは国立歴史民俗博物館蔵「化物絵巻」(作者不詳)のみである。お化けなど恐ろしいものを表す児童語として「おっか」を用いる地域もあり、同系統の絵巻にみられる「うわん」「がごぜ」のような命名との共通点も見出せるが、「大化」という名付けが「化物絵巻」独自のものか否かも現時点では不明である。

出典:
【妖怪図鑑】新版TYZ

作者ひとこと:
大化のデザインは、鳥の脚の様な一本脚を持った妖怪の姿に描きました。